20 ダンジョンに入りました その1
「今日はダンジョン探索の実習である。準備はできてるか?」
「おう!」「はい」「お任せくださいまし」
バブ先生、カガミ、自分、マリの四人である。
人数多すぎても目が届かなくなるとのことで、フォーマンセルで実習をするらしい。
そして返事をしたはいいもの、何を準備すればいいのか正直分かっていない。
「先生、ほぼ手ぶらなのですけれど、問題ありませんの?」
マリナイス!
「あくまで訓練だ。そう深くまで潜らないので大丈夫だろう。
知識だけ詰めるならば、食料、消毒薬や他の薬、場合によって寝袋やテント、明かり、あと個人によるが魔道具や魔法材料、武器などだな」
魔道具なんかはともかく、登山のような装備ってことかな。
「わたくし水は要りませんの?どちらにせよあまり長くは維持しておきたくはないのですが」
「必要ない。これも覚えておくと良いのが、各ダンジョンの特色である」
「学園地下って聞いたな」
「そうだ。そして昔ここは大きな湖のほとりだったらしい。その影響でダンジョン内にも水路がある」
「それを扱えばいいということですわね」
「そういうことだ。加えてもう一点。その環境に合わせて魔獣は形を成すことが多い」
「つまり、水棲の生き物ってこと?」
先生は目しかローブから出てないが、YESと訴えてきた。と思う。
「安全のため今回は正解を言ってしまうが、水中は魚類、陸地はカエル型魔獣、トカゲ型魔獣が主だ。
ただし、その辺りの動物よりは狂暴だから気を付けるように。
そのようにそれぞれの土地の特色を知ることが大事である」
狂暴っていうと、あの巨大猪よりも攻撃的ってことだろうか…。正直怖くなってきた…。
「七太郎、心配しなくても大丈夫だぜ!この俺が必殺パンチで倒してやるよ!」
いや、腕折れるよ?角で投げ上げられるよ?それで池ポチャして、狂暴な肉食魚に食べられ…あああ。
「七太郎さん。大丈夫ですわよ。ほら、何かあった時のために先生もついてきてくださりますから。ね?」
そうだ。先生もいるのか、なら安心だ。
「それでは行くぞ。他のことは随時説明できるときに説明しよう」
「お願いしますわ」
学園一階、奥まったところにある部屋の大きな大きな扉の閂があけ…られない。
「すまない、カガミ、ナナタロー、開けてくれ」
そもそもバブ先生は手が届かなかった。こういうところかわいい。
「はいはい」
「子ども扱いするんじゃない」
「はいはい」
何の属性か分からない魔法弾がカガミにぶつけられる
「あががっ!!?」
「では行くぞ」
倒れたカガミを尻目に、奥の階段を下りていく。
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下りた先は、今まで学院内だったとは思えないような場所だった。
例えるなら、陸地が多めの鍾乳洞みたいな雰囲気。魔力で点く魔道具のライトが点在しており、それぞれ明かりが灯っている。
宝箱…はなさそうだ。確かに実習やるくらいだし、今でも何組か入っているようだし、残念だけどこんなところにあるわけないか。というか宝箱が置かれていること自体よくよく考えるとおかしいか?誰かが置いた結果そこにあるってことだもんなぁ。
だとすると、ダンジョンに入る意味って何だろう…。
「あ、いましたわ!」
「そうだな、アレが魔獣だ」
「カエル型だな!」
20mほど先に1mくらいの大きさはありそうなカエルがいる。色もなんだか緑とか一色じゃなく。透明と灰色と赤や黒が入り混じったような不思議な色をしている。
う~ん狂暴かは分からないけど、あの猪ほどじゃなさそうだなぁ。でも見た目で判断してはいけない油断は禁物だ。
「あれは予想通りカエルの性質を持つ。なので水魔法よりも、柔らかな体に直接ダメージを与えられそうな技が良いぞ」
「それなら俺が!」
カガミの身体が光り、ボーリングの球くらいの大きさの岩を地面から魔法で取り出した。
そして身体強化(と思われる)で10mくらいすごい速さで近づき岩を投げる!
直接投擲!?
その岩がカエルに見事当たりカエルは倒れ、身体がドロッと崩れる。最後に石のようなものが残った。
「おお、よく当たったなぁ」
「練習したからな!」
「でもダッシュは学長の方が全然速かったよ?」
「七太郎さん…学長先生と比べるのは酷ですわ」
バブ先生も頷いている。
そうなのか、アレはそんなにすごかったんだ…。すまんカガミひどいことを言った。
先生はカエルだったものに近づき、
「この残ったものが魔石となる。魔道具の核となる部分だな」
「えっそうなんだ?」
「もう七太郎さんの世間知らずには驚きませんわよ」
「魔石もランクに応じて良し悪しがある。基本的には弱い敵ほどあまり良くないモノ。強い敵ほど良いものと思っておけばいい」
「その良し悪しはどういうことに繋がるんだー?」
「例えば」
先生が先ほどの魔道具のライトをゆびさす。
「あれは非常に簡単な仕組みでできていて、魔力を流すとそのエネルギーが切れるまで灯り続ける。
今回の魔石ならそういったものなら作れる。だが身近なところで自動販売機。アレは魔力を認証する、材料を判別し絞る。と少し工程がでてくるので、より性能の良い魔石が必要となる。
あとよく知っているところで言えばゲートだな。現在の人が通るものは第三世代と言っているが、
アレには複数のダンジョンボス級の魔石が使われている」
「ダンジョンボス級って?」
「ダンジョン最奥に一匹いるかいないかの強いボスですわよ」
「ちなみに強さは?」
「ん~、学会のトップランカーが何人かでパーティを組んでようやく倒せるか倒せないかってレベルかしらね…」
「強いじゃん!」
「だからダンジョンボス級なのですわ」
「そう。量産できない理由がそれだ。
ただこういう普通の魔石も生活に欠かせない上に、品質も段々と劣化してくる。なので交換も必要になるというわけである」
「だから、ダンジョンに入って魔石を取るんだなぁ」
「そうですわね」
「ああ、一応言葉だけの問題だが、昔からの慣例で魔石は掘るという」
へぇ~。体の中から取り出す→掘るってことなのかな?まぁいいや。
と、奥の方でまた一匹カエル型を見つけた。
「ではナナタロー、倒せ」
「はい!」
勢いのままに返事をしたのはいいものの、攻撃魔法が…。そうだカガミの真似をしよう!
地面から岩を取り出し…。
まて、全然出てこない。
「石灰岩地形だ。岩をくりぬくイメージじゃないと取り出せないぞ」
え、あそうか。普段は土だから岩とか石があればそのまま掘れるけど、全部岩盤でできてるのか。
そしたらちょっと小さめにくりぬくイメージで。よいしょ!
手の平の半分くらいのサイズの石をやっと取り出せた。
・・・カガミ凄いな!
これを、
ぶつけたいが届く気がしない!
走って、10m、まだまだ、5m、もうちょっと、2mよし、投げるぞ!
と振りかぶった瞬間。
カエルが延ばした舌にからめとられ、七太郎は頭を飲み込まれた。
「ぎゃーーーっ七太郎さん!?行け『氷球』!!」
ボゴン、ボゴン。
「ぷはーっ、た、助かった、え、えーと」
散らばった氷を見て。
「ありがとうマリ、いや~引っ張られる力強いのね、びっくりしたよ」
「こちらがびっくりしましたわよ!!」
「そうだぞ!」
「ごめんごめん」
バブ先生が何かメモ帳に書いている。げ、もしかして成績に反映される…?まぁでも何もできなかったのは事実過ぎるから何にも言えない…。




