16 決闘から退出しました
「学長」
手を上げてこちらに視線を集め…ようと思ったが、そうだった手はもう上がらないんだった。
でも学長や先生がこちらを見てくれた。
「降参します」
「……え?」
マリはその泣きそうな顔のまま、こちらを見た。
こほん、咳ばらいをし、学長が声を出す。
「…七太郎君、少し質問しても良いかな」
「はい」
「今攻撃すれば勝てると思いますが、降参するのはなんでかな?」
・・・面接とかの独特なプレッシャーを感じてしまう。大勢から注目受けてるし…。
「えと、…恥ずかしながら僕の師匠には防御魔法や考え方は教わったんですが、まともな攻撃魔法を持ち合わせていなくて」
知り合いだろうナバナ学長に言えばなんとなく伝わるだろう。
「彼女を倒せば成績が上がりますよ?」
「正直身の丈にあっていない成績をもらっても自分でも困るというか…。それだったら一つ一つ力をつけていって、それに見合った評価をもらっていく方が自分に合っていると、そう思いました」
「そうですか、わかりました」
「それではこの勝負、マリの勝ちとする!では解散!」
学長の声が競技場全体に響いた。
「…まったく、彼女はとんでもない人物を渡してくれたものですね」
学長は独り言をぶつぶつ言いながら去っていく。
他の見学者たちも少しづつ移動していった。
「どうして、どうしてですの」
「いや、だって」
「情けをかけるのですかっ…!」
「…そんなんじゃないよ」
「そしたら、どうして…!」
言葉を発し始めてからは隠しもせずボロボロと涙を流し、
その苦しみから行き場のない怒りのようなものをぶつけられている。
「その…女の子には優しくしないとだし…、それに人を痛めつけるのは好きじゃないよ」
「それは…っ、それは強者だからこその言い分ですわっ!」
マリは走って去って行った。
「どうしたらよかったんだろ」
考えても、分からない。
「いいか?」
「うわっ先生!?いたの!!」
先生は小さな小さな手でこちらの腕と身体を触り、身体を発光させ、魔力を練り上げた手で撫でてきた。
「お前は女心が分かっていない」
幼児に言われる自分って…何も言えないな。
少し痛みが和らぎ、腕も動かせるようになった。
「おお」
「あくまで応急処置だ、腫れがちゃんと引くまで安静にしていること、痛みがひどくなったら医者に見せること。ではな」
バブ先生はそう言い、先ほどまで張っていた防壁を消し、眠そうにふらつきながら戻っていった。
抱っこでもして送っていった方が良かったかな…?などと思いながら腕を曲げ伸ばしする。痛い…。
「やっぱり師匠ってすごいんだなぁ。ケガするのはなるべく控えるようにしよう」




