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ソラと異国と綺麗な魔法  作者: みんみん
間章2 王子と王女と婚約話
73/130

プロローグ

本日、人物紹介とプロローグ、第1話、の合計3つを更新しています。

このプロローグからお読みください。


第二章『ソラとマーレの綺麗な魔力』の二年半前の話を、マドリガーレの姉アリアが語るお話です。主人公のソラがコントラルト国の事情を知らないので、補足するような形で間章をはさみます。時系列的には間章1『薔薇とスミレとマーガレット』の魔術対決が終わった直後のお話です。


※このお話のプロローグは、第二章が終わった日(ソラが魔力を使いすぎて倒れた数日後)の夜です。ややこしくてすみません。第一話から二年半前に遡ります。

「マーレ、お疲れ様」


 妹がサンルームに戻ってきた。


 ここは家族の気に入りの場所だ。陽が差せば暖かく心まで温まり、月夜はやわらかい月光に心慰められる。食後には皆なんとなくこの部屋に(つど)い、淹れてもらった茶を飲み語らうのだ。


 そうして今晩も、皆が揃った。


「マーレお姉さま、ソラ兄さまの様子はどうですか?」


 いつもはソラをからかってばかりの弟スピリトーゾも、ここ数日はずっとソラを心配している。ソラの寝室から戻ってきたマドリガーレに容態を聞いてきた。


「そうね。今眠ったところよ。一昨日目覚めたばかりなのに、もう昼の間ずっと目が覚めていられるなんて驚異的な体力だと、セリオ様も言っていらしたわ。ソラは日本でずっと運動を趣味にしていたから、魔法ばかり熱心に研究しているこちらの人とは違うのかも知れないわね」


「おや、それは僕のことを言っているのかい、マーレ?」


 パストラーレは笑って彼女をからかう。またこの人は、いつだってふざけてばかりなのだから。


「では、ソラの様子も分かったことだし、スーゾ、そろそろあなたもベッドに行く時間ですよ」


 母アンティフォナから微笑まれて「はぁい……」とスピリトーゾはつまらなそうに返事をした。今日、大好きな従妹のレミが日本に帰ってしまったのでとても寂しいのだろう。弟は大人ひとりひとりにおやすみなさいの挨拶をして渋々とサンルームを出て行った。


 それを見送っていると、パストラーレが「それでは」と話し始めた。


「それでは、マーレも戻ってきたし、今日の訪問理由の“ソラのこと”を話したいと思います。ソラの今後を考えると、今、僕らが共通認識を持って問題に当たらないとならないと思ったからです」


「それなんだが、パスト。奏楽の治癒魔術についての話だけではない、ということなのか?」


 今日、日本に帰ったのは奏楽の母親であるララ伯母とレミのふたりだけだ。父親であるレチタティーヴォ伯父は、ソラの容態を見守るためにこちらに残ったのだ。


「はい、レチタティーヴォさん。実は、すみません、ソラはあの日、もうひとつ、別の魔術を使ったのです。それをレッジェロが見ていました。もしかしたら気付いていないかも知れませんが、楽観視はできません。彼が気付いたとすれば、その情報は既に王家に流れています。カデンツァ殿下とブリランテ殿下がどう思われるかは分かりませんが、最悪、ソラを王家に取られます。ヴィヴァーチェ殿下の婚約者に、と」


 ヴィヴァーチェ、とはこの国の第二王女だ。御年十三歳で、利発で優しいお姫様だという評判だ。遠目で見かけたことしか無いが。


 その第二王女にソラを取られる、とはなんだろうか。

 カデンツァ第一王子が元老院と揉めていることと関係があるのだろうか。


 私は二年半前、ブリランテ第一王女から衝撃的な話を聞いたことを思い出した。


 そう、あれはレッジェロがイントラーダと婚約解消をし、新たな婚約者選びのために私に話を持ちかけ、パストラーレと魔術対決をした冬の日のこと。フラワーガーデンで『Pyramid of flowers』の感動的なスミレのピラミッドを見せてもらったあの日。嬉しさを噛みしめて帰宅した私を少しも休ませてくれず、あの日、第一王女から呼び出しがあったのだ。

 私はその時のことを、ゆるゆると思い出していた。

引き続き第1話をお楽しみください。

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