エピローグ
本日、2話同時更新しています。
前話をお読みでない方は1話戻ってお読みください。
翌朝。
目が覚めるとすぐにメイドさんがまた天蓋のカーテンを開けてくれた。
閉めた覚えがないのになぜだ。
そして代わる代わる皆がおはようの挨拶をしに来てくれる。
最初に来てくれたのはもちろんマドリガーレで「おはよう、ソラ」の笑顔と共に、頬に軽くキスをしてサッサと部屋を出て行った。それをスピリトーゾと麗美が見ていて、次々に現れた大人達はもちろん全員それを聞いて知っていて、昨日何があったのか、どんなことを話したのかと根掘り葉掘り聞いてきた。だけど俺は昨夜のショックから抜け出せないまま、今朝の追加攻撃にすっかりノックアウトしてしまい、なんだか碌々(ろくろく)言葉を返せなかったので、大人達は大いに不満だったようだ。
それでもマドリガーレは機嫌が良く、俺の寝室に朝食を持ち込んで一緒に食べたし、学校に出かける時に「いってきます」とまたもや頬にキス攻撃を撃ち込んできた。
三度目の不意打ち攻撃に何も対処できないとは、俺は本当に鈍くさくて防御力皆無らしい。
そんなこんなで昼過ぎに訪問してくれた馴染みの医師が、少なくともあと三日、できたら五日間はベッドで安静にしているように、と言った。それから室内のみ歩く許可を出し、その後は様子を見ながら食堂まで、庭まで、と段階を踏んで許可を出すから、学校へ行けるようになるまでには二週間から三週間かかると言われた。
俺のことを小さい頃から定期的に診てくれていて、俺の身体を知り尽くしている医師だから、きっとその診立ては正確だろう。
しまった。
明日でゴールデンウィークが終わり、明後日からは学校があるのに、俺は日本へ帰れない。
医師の話を聞いたので、翌日、母親と麗美は日本に帰ってしまった。俺の学校には説明しておいてくれると言う。あきらめてサッサと体調を戻すように、体調が戻ったら体力を戻すようにと言われた。仕方ない、その通りなので大人しく寝ることにした。
こちらでの今日はまだ週の始め頃で、週末の休みまではあと四日ある。日本で言う土曜日の午後と日曜日がこちらでは休みに当たるのだ。
週末までに頑張って体調を戻して、今度の休日にはマドリガーレと軽く庭の散策でもしたいと思う。いつまでも室内にいたんじゃ、動きたくってうずうずしてしまい、俺の身体はきっと逆の意味で悲鳴を上げるに違いない。
散歩したいなんて言ったら、またマドリガーレが心配して怒るのだろうか。
泣かれるのは嫌だけど、彼女の怒った顔は、実は可愛くて好きなんだ。
一生懸命お願いしたら、少しふくれた顔をした後で「良いわ」と言ってくれ、それできっとすぐに笑顔になって、庭に一緒についてきてくれるに違いない。
その時の彼女の魔力は、きっとまた綺麗なんだろうな。
それを想像して、俺はわくわくしながら掛け布団を顎の下まで寄せ、くくくっと笑った。
第二章 ソラとマーレの綺麗な魔力 End
数日後、ようやく部屋を出られることになった頃、レッジェロと共に“三人おじさん・おばさん”と職人街のコモドおじさんがお見舞いにやって来てくれて、またもや「気軽におじさん、おばさんと呼んでくれ!」と迫られ、それを見たレッジェロに大笑いされるのですが、今の時点ではまだソラはそれを知りません。
そして第二章はこれで終わります。
次の章は1週間空けて、8月10日(金)からです。
ソラの寝ている間に相談会が行われ、更に過去を絡めたお話、という内容の間章となります。
プロローグと第1話の、2話同時更新します。
楽しみにお待ちいただけたら幸いです。




