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闘気?チャクラじゃなくて?

 生まれてから五年。あの日から、暇があれば政行と一緒に道場に入り浸っている俺。もうずっといるせいで、家にいるより長くなってるまである。そのせいか薫さんが不満気ではあるが……


 そんな道場では未だに立ち技とか投げ技はさせてもらえないが、見れるだけでも満足というものである。あの日は柔の日だったが、他の日では寝技に立ち技に絞め技など、色んなものが見れた。その中でも特に気になったのが、柔だ。


(合気道みたいなやつってのは分かるんだが、そうはならんやろって動きをする時があるんだよなぁ。わざと投げられてるとかなら有り得るけど、そうは見えねぇしなぁ)


 頭に?が浮かぶが、そういうときは聞くのが一番だ。俺は泉さんに聞きに行った。


「ねぇ泉さん、あの投げってどうしてあんな風になるの?」


「んー、あれはですね、闘気の流れに沿って投げているからですね」


(闘気……? あぁ、本に書いてあった体内エネルギーみたいな奴か。スピリチュアル的なやつかと思って無視してたんだけど)


「闘気について教えてくれませんか?」


「いいですよ。闘気とは、体に自然と流れているエネルギーのことです。循環していることを理解し身体中に意識的に駆け巡らせることで、身体を強化することができるんですよ。ここにいる人達も全員やっています。巡る量はその時の体調や気分に左右されることが多いですが、練度を上げれば安定して高出力を出し続けることも可能です」


(チャクラみたいな? それ使えば竜巻旋風脚とか出来んのかな)


「へぇ、それって見えるんですか?」


「極めれば見れますよ。最初は量、その次に練度、そして流れを読める様になりますね」


(つーことは、流れを読んで投げるから、自分の闘気と合わせて威力底上げってことか……てか、どうりでみんな身体能力高いと思ったわ。そういう世界かと思ったけど、そういう種があったのね)


 ここで問題なのは、俺が闘気を習得できるのかということ。魔法の例もあるし、ワンチャンできない可能性もあるよな。でも、前から体の奥に感じてたエネルギーってこれか?


「俺の闘気って見えます?」


「えぇ、見えますよ。というか、あなたは他の人よりも見やすいですね」


「ええと、それはなぜに」


「楽君は反魔病なんでしょう? 普通は魔力に阻害されて、闘気がはっきりとは見えにくいんですが、貴方は魔力がないので見えやすいんですね」


「それっていいことなんです?」「相手に読まれやすくなるので、悪いことですね」


 まじで反魔病碌なことねぇな。俺で良かったわ。


「でも悪いことだけじゃありませんよ。魔力が阻害しないから、他の人より闘気の練度を高めやすいし、出力も高くなりますよ。それに、他者からの魔法の効果もかなり軽減します」


 それはめちゃくちゃいいな、かなりでかいアドバンテージだ。ありがとう反魔病、初めてお前に感謝してるよ。


「じゃあ試しに、闘気の練度を高める修行でもしてみます? 別に怪我とかしないので、おすすめですよ」


「ぜひお願いします」


 俺は即答した。魔法が使えない分、闘気で補えるなら願ったり叶ったりだしな。


「では基本から始めましょう。まずは座って、目を閉じてください」


 泉さんの指示に従い、道場の隅で胡座をかく。五歳の体でも前世の記憶があるおかげで、こういう集中系の作業は慣れたものだ。


「闘気は体の中を循環しています。まずはその流れを感じ取ることから始めます。深呼吸をして、体の中に温かいものが流れているのを意識してみてください」


 目を閉じて呼吸に集中する。前世で瞑想とかやったことはなかったが、段々と体の奥底で、何かがゆらゆらと動いているのが分かってきた。


(あぁ、これか。前から感じてたエネルギーって。スッキリだわ)


「感じられましたか?」


「なんとなく……温かいものが胸の辺りにある気がします」


「いいですね。それが闘気の源です。今度はそれを手先まで流してみましょう」


 言われた通り、胸の温かさを腕に向けて押し流すイメージをする。前世で血流とか体の仕組みを何となく知ってるおかげか、イメージしやすい。すると、じんわりと手のひらが熱くなってきた。


「おぉ、なんかあったかくなってる気がするな」


「やはり楽君は飲み込みが早いですね〜。次は全身に流してみましょう。ただし、一気にやろうとすると疲れるので、少しずつですよ」


 今度は足先、頭、背中へと、順番に温かさを送っていく。どこに流せば効果的かが何となく分かる。全身がぽかぽかしてきて、なんだか力が湧いてくる感覚がある。


「どうです? 体が軽くなりませんか?」


(なるんだが、風呂入ってるみたいだなぁこれ。脱力しながらやるか)


 三十分ほど続けた後、泉さんが手を叩いた。


「今日はここまでにしましょう。初回にしては上出来です。大人顔負けの集中力ですね」


 立ち上がると、確かに体が軽い。というか、今までで一番調子がいい。


「毎日少しずつでも続けてくださいね。そうすれば必ず上達しますから」


「あざっす、必ず毎日やります」


 新しい力への第一歩を踏み出せた充実感で、俺の胸は熱くなっていた。魔法が使えなくても、闘気があれば強くなれる。前世の知識と経験も活かせそうだし、これは期待できるかもしれない。

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