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ゲートが開いた日、絶望した俺はすべてに復讐する  作者: まちゃ粉


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第8話 「優しさという拒絶」

ピッ、と小さな電子音が鳴る。

静まり返った部屋に、不釣り合いな軽い音。

ルミナがポケットから端末を取り出した。

「はーい」

気の抜けた返事。

まるで日常の延長のように、通話に出る。

数秒、適当な相槌を打ったあと——

「りょーかい」

あっさりと通話を切った。

そして、振り返る。

「じゃ、仕事の時間だよ」

軽く言いながら、レンとリンを見る。

二人は一瞬だけ躊躇う。

けれど——

「……行くぞ」

レンが、低く言った。

リンも、小さく頷く。

そして、サクヤの方へ歩み寄る。

「サクヤ……」

言葉を探すように、リンが口を開く。

「……その、俺たちは——」

続かない。

レンも同じだった。

何かを言おうとして、結局言えない。

「……無理すんなよ」

絞り出すような一言。

それが、限界だった。

二人は、それ以上何も言えずに背を向ける。

その瞬間——

「んー、それじゃ足りないな」

ルミナの声。

気づけば、すぐ目の前にいた。

異様に近い。

息がかかるほどの距離。

サクヤの視界いっぱいに、ルミナの顔が入る。

「君が悪いんじゃないよ」

柔らかい声。

けれど——

どこか冷たい。

「たださ」

ほんの少し、口角を上げる。

「その二人が“特別”なだけ」

囁くように言った。

逃げ場のない距離で。

サクヤは、動けない。

「じゃあね」

ルミナは、何事もなかったかのように離れる。

ひらひらと手を振る。

「バイバーイ」

そのまま、軽い足取りで部屋を出ていった。

レンとリンも、それに続く。

振り返ることはなかった。

扉が閉まる。

静寂。

取り残される。

「……サクヤ」

母親が、優しく声をかける。

「大丈夫よ。あんな子たちと比べなくても——」

「そうだ」

父親も続ける。

「お前は普通でいい。無理する必要なんてない」

その言葉は、温かいはずなのに。

サクヤの胸には、何も届かない。

(……違う)

心の中で、はっきりと思う。

(そんな言葉が欲しいんじゃない)

拳を握る。

震える。

(慰めなんて、いらない)

頭の中に浮かぶのは——

レンとリンの背中。

ルミナの言葉。

“特別”

(俺は——)

言葉にならない感情が、胸の奥で渦巻く。

悔しさか。

怒りか。

それとも——

ただの、空っぽか。

サクヤは、何も言わなかった。

ただ、俯いたまま。

残された静寂の中に、沈んでいった。

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