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ゲートが開いた日、絶望した俺はすべてに復讐する  作者: まちゃ粉


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第5話 選ばれなかった側

サクヤが再び目を覚ました。

ぼやけた視界の中、白い天井がゆっくりと輪郭を持ち始める。消毒液の匂い。機械の規則的な電子音。

「……ここ、は……」

身体を起こそうとした瞬間、視界の端に人影が動いた。

「おっ!生きてるじゃん!」

軽い声とともに、ひとりの少年——ルミナ・ノクスがベッドに駆け寄ってくる。

その明るさが、妙に現実感を削いだ。

サクヤはぼんやりとルミナを見つめ——そして、ふと自分の右腕に視線を落とした。

――ない。

その事実が、遅れて脳に叩きつけられる。

心臓が強く脈打つ。息が荒くなる。

叫び出しそうになる衝動を、サクヤは歯を食いしばって押し殺した。

シーツを握る左手が、わずかに震える。

「……っ……」

それでも、なんとか顔を上げる。

「……助けて、くれたんだよな……」

絞り出すような声だった。

ルミナは一瞬きょとんとしてから、軽く笑う。

「まあね。死なれると後味悪いし」

軽い。あまりにも軽い返し。

だが、それでもサクヤは小さく頷いた。

「……ありがとう」

短い沈黙。

やがてサクヤは、ゆっくりと口を開く。

「あの時の……あの力……なんなんだ」

ルミナの瞳が、わずかに細められる。

「ん?ああ、あれね」

まるで大したことでもないように肩をすくめる。

「僕みたいなの、最近どんどん増えてるよ」

「……?」

サクヤは眉をひそめる。

ルミナは少しだけ楽しそうに笑って、言った。

「“適合者”って呼ばれてる」

その言葉が、静かに落ちる。

サクヤは反射的に聞き返していた。

「……適合者?」

その響きが、妙に耳に残る。

ルミナはベッドの縁に腰をかけ、足をぶらつかせながら続けた。

「そ。ゲートの向こうの力に“適応できた人間”」

さらりとした口調。

だがその内容は、あまりにも重かった。

「普通の人間はさ、あれに触れたら壊れるんだよ」

一瞬だけ、ルミナの瞳が冷たく光る。

「でも、ごく一部だけ——壊れずに取り込める」

そこで言葉を区切り、サクヤを見つめる。

「それが、適合者」

サクヤの視線が、再び自分の右腕の“あった場所”に落ちた。

胸の奥が、じわじわと焼けるように痛む。

「……じゃあ、俺は」

掠れた声。

ルミナは少しだけ考える素振りをしてから、あっさりと言った。

「適合、できなかった側だね」

その言葉は、あまりにも簡単に、残酷に落ちた。

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