表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲートが開いた日、絶望した俺はすべてに復讐する  作者: まちゃ粉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/20

第16話「誰のもの」

その頃――リンとレンは、サクヤを探していた。

「……確かに、あの場から連れていかれたよね」

 リンの声は硬い。目は周囲を警戒しながらも、焦りが滲む。

「ああ。見間違いじゃない」

 レンも短く答える。

 ただ消えたわけじゃない。

 “連れていかれた”。

 それが何より厄介だった。

「はぁ……なんで俺らが、あんなガキ一人のために……」

「ほんとそれな。もっと他にやることあんだろ」

 隊の人間たちが不満をこぼす。

 ――次の瞬間。

「……は?」

 空気が変わった。

 ルミナが、ゆっくり振り向く。

 にや、と笑っていた。

「今、なんて言った?」

 柔らかい声。

 なのに、逃げ場がない。

「いや……別に……」

 言い淀む隊員。

「ふーん」

 ルミナは一歩、近づく。

「ガキ、ね」

 くすっと笑う。

 楽しそうに。

 ――なのに、誰も笑えない。

「お前らさ。“なんで”って言ったよな?」

 さらに一歩。

「じゃあさ」

 にこっと笑って、

「なんで、探さなくていいと思ったの?」

 沈黙が落ちる。

 誰も答えられない。

 ルミナはその様子を見て――

「……ああ、そっか」

 小さく笑った。

「分かってないんだ」

 そして、

 少しだけ目を細める。

「サクヤはさ」

 一拍。

「俺のサクヤなんだけど」

 ――静まり返る。

 軽い口調。

 冗談みたいな言い方。

 なのに――

「……は?」

 先に声を上げたのはレンだった。

「なんだよそれ」

 低く、明確な拒絶。

「サクヤとは、そんな関わりないだろ」

 その横でリンも言葉を重ねる。

「そうだよ。急に何言ってんの……」

 戸惑いと警戒が混ざった声。

 幼なじみでもない。

 特別な関係でもない。

 ――なのに、その言い方はおかしい。

 ルミナは、二人を見た。

 そして、

「……あは」

 小さく笑う。

 楽しそうに。

「関係?」

 くすっと喉を鳴らす。

「あるけど?」

 さらっと言う。

 まるで当然みたいに。

「勝手に決めないでよ」

 にこり、と笑って、

「俺が一番、ちゃんと見てるんだからさ」

 ぞくり、と背筋が冷える。

 何を言っているのか分からない。

 でも、

 ――理解したくない類のものだと分かる。

「勝手にいなくなられると困るんだよね」

 軽く続ける。

「どっか行っちゃうでしょ?」

 その言い方は、

 まるで“管理してるもの”みたいで。

「……使えないなあ」

 ぽつりと呟く。

「いらないなら、消えてもいいけど」

 軽い口調。

 冗談に聞こえない。

「ルミナ」

 レンが静かに呼ぶ。

 それで、わずかに空気が戻る。

 ルミナは視線だけ向けた。

「なに?」

「今はそっちじゃない。サクヤを見失う方が問題だ」

 数秒の沈黙。

 やがて――

「……それもそっか」

 あっさり引く。

 くるりと背を向ける。

「じゃあさ、さっさと見つけよ」

 歩きながら言う。

「見つからなかったら――」

 一瞬だけ振り返る。

 笑顔のまま。

「困るの、俺だから」

 その言葉に、

 リンとレンはわずかに目を見開いた。

 異常だ。

 ただの執着じゃない。

 もっと歪んだ何かだ。

(……なに、それ)

 リンは言葉にできず、ただ唇を噛んだ。

 レンもまた、何も言わない。

 ただ一つだけ確かなのは――

 ルミナにとってサクヤは、

 “普通じゃない存在”だということだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ