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ゲートが開いた日、絶望した俺はすべてに復讐する  作者: まちゃ粉


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第11話「逃走の果て、奪われた影」

夜の街。

 人気のない路地裏。

 サクヤは、壁に背を預け、息を潜めていた。

「……はぁ……はぁ……」

 荒い呼吸を必死に抑える。

(見つかるな……)

 頭の中は、それだけだった。

 遠くから、足音。

 複数。

 確実に、こちらへ近づいてくる。

(もう来てるのかよ……!)

 歯を食いしばる。

 逃げ場は、ほとんどない。

 ――そのとき。

『おーいサクヤぁ〜、近くにいるんだろー?』

 街中に響く、場違いなほど軽い声。

(……っ!?)

 ルミナの声。スピーカー越しだ。

『隠れても無駄だよ〜?すぐ見つけるけどね』

(……あいつ、わざとかよ)

 位置をバラしている。

 完全に追い込みにきていた。

 息をさらに殺す。

 ――だが。

「……サクヤ」

 低い声。

 すぐ近くから。

「……っ!」

 振り向く。

 そこにいたのは――レンだった。

「……見つけた」

 その顔には、はっきりと怒りが浮かんでいた。

「お前、何やってんだよ!」

 一歩、踏み込む。

 サクヤは思わず後ずさる。

「なんで勝手に抜け出してんだ!」

 その声は、怒りだけじゃない。

 焦りも混ざっていた。

「……関係ねぇだろ」

 サクヤが吐き捨てる。

 その瞬間――

「関係あるに決まってるでしょ!」

 鋭い声。

 次の瞬間、乾いた音が響いた。

 ――パシンッ!

 リンのビンタ。

 サクヤの顔が横に弾かれる。

「どれだけ心配したと思ってるの!?」

 震える声。

 怒っているのに――泣きそうだった。

 サクヤは何も言えない。

 ただ、歯を食いしばる。

 そこへ、ゆっくりと歩いてくる影。

「いや〜、見つかるの早かったね」

 ルミナだった。

 楽しそうに、笑っている。

「ほんとさぁ」

 一歩ずつ近づいてくる。

 逃げ場を塞ぐように。

「無茶すぎでしょ」

 目の前まで来る。

「万全でもないし、片腕もないのに」

 くすっと笑う。

 だが頬は、わずかに赤い。

「どこ行くつもりだったの?」

 サクヤは、何も言い返せない。

 悔しさだけが、込み上げる。

 ルミナが、さらに一歩踏み込む。

 手を伸ばす。

「はい、ここまで」

 軽い口調。

「大人しく帰ろうか――」

 その瞬間。

 ――ガサッ

 背後で、音がした。

 全員の視線が動く。

「……なに?」

 ルミナの声が、わずかに低くなる。

 次の瞬間――

 影が、飛び出した。

 黒い装束の集団。

 一直線に、サクヤへ。

「っ――!」

 反応する間もない。

 サクヤの体が、後ろから拘束される。

「なっ――!?」

 レンが叫ぶ。

 リンも動く。

 だが――遅い。

「離せ!!」

 サクヤが暴れる。

 しかし、力が違いすぎる。

「対象確保」

 低い声。

 感情のない声だった。

「待て!!」

 レンが踏み込む。

 同時に――

「――触るなぁぁぁッ!!!」

 ルミナの叫びが、夜を裂いた。

 地面を蹴る。

 一瞬で間合いを詰めるその速度は、さっきまでとは別物だった。

「そいつに――何してやがるッ!!」

 怒りが、そのまま声になっている。

 だが――

 空気が、歪む。

「……っ!?」

 ルミナの視界が揺れる。

 次の瞬間――

 煙のようなものが一気に広がった。

 視界が奪われる。

「くそっ……!どけェ!!」

 腕を振るう。

 だが、感触はない。

「レン!!リン!!位置を――!」

 叫ぶ声すら、煙に飲まれる。

 数秒。

 それだけで十分だった。

 煙が、ゆっくりと晴れていく。

 そして――

 そこにはもう、誰もいなかった。

 サクヤも。

 謎の集団も。

 すべて、消えていた。

 静寂。

「……は?」

 レンが、呆然と呟く。

 リンの手が震える。

「……嘘……でしょ……」

 その中で――

 ルミナだけが、俯いていた。

 肩が、小さく震える。

「……は……?」

 低い声。

 一歩、前に出る。

 地面を踏みしめる。

「……ふざけんなよ……」

 握りしめた拳が、ミシリと音を立てる。

「ふざけんな……ふざけんなふざけんな……ッ!!」

 顔を上げた瞬間――

「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇッ!!!!」

 叫びが、爆発した。

 怒りと焦りと、苛立ちと――全部が混ざった咆哮。

 地面に拳を叩きつける。

 衝撃で、地面がひび割れた。

「俺の前で!!連れてくとか!!舐めてんのかよッ!!!」

 息が荒い。

 目が、完全に据わっている。

 隊員たちが息を呑む。

 誰も、声を出せない。

 ルミナはゆっくりと立ち上がる。

 そして、消えた空間を睨みつける。

「……いいよ」

 低く、押し殺した声。

「絶対に取り返す」

 その一言に、迷いはない。

「どこに逃げようが――」

 わずかに笑う。

 だがその目は、冷たく燃えていた。

「サクヤは、渡さない」

 夜の空気が、凍りつく。

 ここから――本当の戦いが始まる。

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