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南さんは幽霊女子。~僕らの浄霊師(エクソシスト)学園!!~  作者: 破魔 七歌 


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第13話。『第1回クラス対抗洞窟山登り合戦』~(洞窟編)~ 4。




「あわ、あわわわわわ……──」


 僕の目の前に突如として現れたカラフルガイコツシスターズ。

 いや、見た目は赤や青、黄色にお化粧されてるんだけれども、見た目が完全にガイコツ。骨。

 洞窟内の岩が放つ幻想的な青い光と、ヴァンパイアみたいなピピ郎先生?が出したボーンパラダイスオーケストラの皆さん(みんなガイコツ)の演奏する音で、賑やかなんだけど──

 

 なんせ、骨。リアルだ。もちろん触ったことなんて無い。

 冷たくゾクリ!とする感覚が、僕の手のひらの上に乗せられる。


「初めてですか?」


(──う、うわっ! しゃ、しゃべった!? そ、それに、は、初めてって、な、何っ!?)


 僕のダンスパートナー?となるガイコツさんが、僕の手を取りスムーズに踊れるように僕を誘導する。

 け、けれど、手のひらの感触が……。気持ちの良いものではない。


「力を抜いて──、音楽を楽しみながら私に身を委ねてください」


「ふ、ふぇっ!?」


 カタカタと骨の音を鳴らしながら、僕の目の前のガイコツさんが、しゃべる。


(──ゴクリ……)


 息と生唾なまつばを飲む。のど越しが悪い。なんか、引っ掛かってるみたいだ。呼吸しづらい。


(──ハァハァ……。ゴクリ。ハァハァ……)


 恐怖感というか緊張感のせいで、僕は息を飲むばかりだ。

 楽しいはずの音楽も、聴こえているようで、聴こえて来ない。洞窟の幻想的な青色の光も、見えてはいるけど、ただ眩しいだけ。


「そんなに怖いのですか? 私の姿が?」


 女性だろうか? 僕の目の前のガイコツさんは。

 さっきから、しゃべり口調とか声質が、どうも女の人っぽい。


「私も色々とあったのですよ……。だけど、あなたに話すのはお門違いね?」


 ガイコツさんの暖かい声。僕の強張こわばってた身体が少しほぐれる。

 そっと、優しくガイコツさんが僕の腰に手を回す。

 

 辺りを見回すと──、轟さん、大山君、幽霊女子の南さん……、それに他のクラスメートのみんな、学年全員の生徒たちが、それぞれガイコツさんに手を繋がれて列を作り、洞窟内をグルグルと回り踊っている。

 青く光る洞窟内を、たくさんのガイコツさんたちに手を繋がれて踊るこの光景は、異様だ。

 さながら、夏の盆踊り? まるで、地獄絵図みたいに見えるけど、そうじゃない。


「こうか? こうか!? こう、踊るのかっ!?」


 ズンズン♪と大きな身体を揺らしながら踊る虎みたいな大山君。


「ん、なんか? これで、良いの? かしらっ!?」


 それとなく様になって来た轟さんのポニーテールが、背中で揺れる。


「タンタン……。タタ……、タン……?」


 地面から足が少し浮いてる(幽霊女子だから)のに、スー……スー……と、揺れ動きながら音の調子に合わせて口ずさむ南さん。


 なんか、僕の間近で見える同じ班の子たちの踊りを見ても、何かを掴みかけているように僕には見えた。


「さぁ。他の子たちを見るのも良いけど、楽しみましょうか? あなたの『霊気レイキ』がクルクルと身体の内側を巡るのを感じるかしら?」


 僕のダンスパートナーのガイコツさんが、カタカタとしゃべる。


 そうだ。

 霊気初歩スキル『【】』を修得するためのダンスだった。

 少し、うっすら目を閉じ気味にして、踊りながら僕の身体の内側を感じてみる。

 普段は、そこまで意識してなかったけど、強制的に『【】』の状態にさせるピンクの腕輪をつけられているせいか、僕の霊気が外に漏れ出ずにクルクル身体の内側で、巡っているような巡っていないような……。


「さぁ! 皆さん! 少しほぐれて来ましたかねっ!? ダンスナイトフィーバー! フォーッ!! あ。まだ昼間でしたね? では、ビートを上げてアップテンポフィーバー! フォーッ!! シャッフルターイム!!」


 赤いお立ち台の上で、赤い蝶ネクタイに白黒の燕尾服を着たピピ郎先生が、ヴァンパイアみたいに赤い目を光らせて、激しく指揮タクト棒を振る。

 それに合わせて、ボーンパラダイスオーケストラの皆さん(ガイコツ)の演奏する曲調が激しくなり、さらにボーンシスターズ(ガイコツ)のダンスステップも、激しいものになった。


「お、おいっ!? ピピ郎っ!? お、俺たちは、もう良いだろっ!?」


 川岸教頭先生が、より激しくなった曲調とともに、さらにカクカクと激しく腰を動かして、汗ばむ白のカッターシャツの上から赤いネクタイを、キュキュッ!と締める。

 

「ガイコツさん……。ごめん。私、カエデくんと踊るね?」


 そう言った黒井戸先生が、ガイコツさんの骨の手を離すと、すぐさまパートナーチェンジ!!

 黒井戸先生が、鮮やかなターンを決め、川岸教頭先生の手を握りしめた。


「く、黒音ちゃんっ!?」


カエデくん……? 久しぶりだね?」


 なんだかよく分からない大人な会話をして、見つめ合う二人。

 ダンスの流れで、川岸教頭先生が黒井戸先生の腰に手を添えた瞬間、身体を預けるようにして上半身を反らす黒井戸先生。

 またもや黒井戸先生の美しいターンに、洞窟内でパチパチと拍手が沸き起こり「おぉ……」と、感嘆の声が生徒のみんなから漏れる。


「ちょっ、ずるいっ!! 黒音ーっ!!」


 振り返って、それを見た僕らA組担任の叶先生が、ツインテールの黒髪を揺らしながら、焦った様子で尚もガイコツさんと踊り続けている様子。

 けれども、バン!と雷光が光って、叶先生のパートナーのガイコツさんが洞窟の壁に、ぶっ飛んだ。


「可憐だ……。美しい……──」


 僕からは遠目にだけど、白銀しろがね先生が、なんかポッ……と、頬を赤らめるているようにも見えた。

 え? なんで……? 白銀しろがね先生って──。え?

 黒井戸先生の踊る様子にか、叶先生から出た雷光にかは、よく分からないけれど、え? 何がどうなってるんだろっ?


「叶先生、あなたの雷光を、我が手に収めたい……」


「し、白銀しろがね先生っ!? え? ちょっ!? お、収められたくないんですけどーっ!?」


 か、叶先生にっ!?

 白銀しろがね先生が、ガイコツさんから叶先生へと、華麗にパートナーチェンジを果たしてステップを鋭く決める。

 いや、そっち!? てか、どっちとか、もはや、よく分かんないですけどっ!?

 

 まんざらでもない表情の白銀しろがね先生が、叶先生の手を取る。

 白銀しろがね先生の腰まで届く金色の髪が鮮やかに背中で揺れたかと思うと、困った表情の叶先生が、黒髪のツインテールを揺らして雷光のステップをバチン!と踏む。


「ふぉふぉふぉ……!! 若い衆は、元気が良いの?」


 ちんちくりんのハゲちゃびんお爺ちゃん校長先生が、チラリと横目でヴィシュヌヴァ先生を見ると──

 ヴィシュヌヴァ先生が、焦ったような表情で、身体をけ反らしていた。


「い、やぁぁぁぁっ!! ぼ、僕は、百会っちとは、お、踊らないんだからーっ!!」


 洞窟の天井まで、飛んで逃げるヴィシュヌヴァ先生。

 それを、軽々、ジャンプして追いつくハゲちゃびん校長先生。

 なんか、もー……。何がなんだか、めちゃくちゃだ……。


「フフフ……。先生たちは、元気があって、良いわね……」


 僕の目の前のガイコツさんが踊りながら、少し悲しげに笑いながらそう言った。


「──……なんか、あ、あったのですか?」


 いや、なんかも何も、そりゃあ色々とあったでしょうよ? って、もう一人の僕が僕自身にツッコミを入れる。

 けれども、なんとなく寂しげな目の前のガイコツさんに、言葉を掛けられずにはいられなかった。


「フフフ……。優しいのね? 私も、もともとは浮遊霊だったのよ? それをピピ郎先生が拾ってくれてね? 一緒に来ないかーって。ね?」


「え?」


 そうだったんだ……。

 アップテンポした曲調にもだんだん慣れてきた僕は、ガイコツさんの腕の中で踊りながら、そんな風に想う。


「で……。ここに?」


「うん。そう……。だって、なんか、楽しいじゃない? 君にも会えたし……」


「え?」


 心なしか、僕のパートナーのガイコツさんが、笑っているようにも視えた。ガイコツさんなのに……。


「ん? 君、霊気初歩スキルの『【】』で体内に霊気を留めつつも、霊力を外に放出させる『【ひょう】』に目覚めつつあるね? どっちもまだ不完全だけど、私にはかすかに揺らめくように君の霊気が視えるわよ?」


「え? あ、そ、そうなんですか? ……た、確かに、あ、あなたのお顔が、す、少し笑っているようにも視えたんですけど……」


 確かに、一瞬。

 ガイコツさんの生前と言うか、ガイコツさんの顔を覆うようにして、うすボンヤリと、もとの姿と言うか、笑っているような表情がかすかに視えたんだ。


「ウフッ……。器用ね? あなた、お名前は?」


「あ、赤羽あかばね……い、射矢いるや。で、す……」


 たどたどしく名前を言う僕に、ガイコツさんが「フフフ……」と、笑う。


「する? 君にとっての初契約? まだ浄霊師エクソシストとして、使役霊は持ってないんでしょ? 私が、どれだけ君のお役に立てるかは分からないけど?」


 そう言って、僕と踊ってたガイコツさんは、少しだけ幽かに女性のような茶色の長い髪の毛を揺らして、僕の手を離した。少しだけ、ガイコツさんの生前の後ろ姿が視えた気がした。


「あ、あの……。お、お名前は……?」


「じゃ、また後でね──」


 僕がそう言った後に、ガイコツさんが先生たちと同じように、隣の人へとすぐパートナーチェンジした。

 少しだけ、物寂しさを残して俯く僕の目の前に、新しいダンスパートナーが、待っていた。

 足がある。

 どうやら、ガイコツさんじゃなくて、生きている人の素足だ。

 ゆっくりと、僕が顔を上げると──


「さっきは、惚れたよ……?」


 そ、そこには──

 火の鳥妖魔の……、くれないさんがいた──




 



 

 






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