#05 天使は舞い降りた
「救世主~になった~ら、救世主~になった~ら~、愛人100人でっきるっかな?100~人~とヤリたいな!ベッドの上で あんなことこんなことを パッコンパッコンパッコンコン!」
セーマは、小さい頃に小学校で習っただろう歌を口ずさみながら、村の裏山の野原でひとり寝転がりながら星空を見上げていた。
そして、妹の美羽を思い出していた。
(あいつ今頃どうしてるかな?)
美羽、俺の血の繋がらない妹、16歳の女子高生、義理の母親の連れ子。
セーマたちは出会った時、お互い小学校の低学年で、何の抵抗もなくお互いを受け入れることができた。
両親が不在がちだったので、自然となんでも協力し合った。
なにをするときも一緒だった。
血の繋がりがないことは初めからお互いわかっていた。
ただ、その話を2人ですることはお互い避けていた。
それを口に出してはっきりさせることは、場合によってはとても危険なことであることが、なんとなくわかっていたからだ。
今のこの関係を続けるには、その話題は避けたほうがいい。
もっと大人になり、将来を考えられるようになるまでは。
2人ともそう思っていた・・・
神様は、美羽はいつもセーマの看病をしているといっていた。
だがそんなことばかりしていたら、美羽はまともな生活ができなくなってしまう。
セーマはできうるなら、力ずくでもそんなことは止めさせたかった。
しかし、今のセーマにそんな力はない。
歯痒さと寂しさがセーマを襲う。
いつの間にかセーマは泣いていた。
そんなセーマの視界に、突然、白く輝く翼が飛び込んできた。
(なんだ、今のは?)
天使?まさか?でもこの世界には魔族がいる。
なら天使がいても不思議ではない。
セーマは飛び跳ねるように起き上がり、その白い翼を追い出した。
なんだろう、これを追わねばならないという衝動が心の底から湧いて来た。
彼は全力疾走で追いかけた。
よく見ると、2つの翼が見事に羽ばたいている。
どこかで見かけたことがあるような光景。
おもわず見とれてしまう。
その翼は少し先の丘の上に優雅に舞い降りた。
白い翼は小さくたたまれ、見えなくなり、そこには、ひとりの少女が残された。
(本当に、天使?)
その光り輝く姿、神々しさ、本当に
天使は舞い降りたのだ。
◇
時間を少し遡る。
エミリア、村長の長女、アリシアの姉。
美人で頭が良くスタイル抜群、妹のアリシアの自慢の姉である。
彼女は他の捕虜とともに村長宅の地下牢に囚われていたが、奇跡的にも無傷であった。
なぜなら、セーマが暴れまわっていたおかげで、交渉のカードとして大事に扱われたのだ。
それがなければ、とっくにゲド・ゲドーの慰み者になっていただろう。
セーマは地下牢で彼女を見て、一瞬で心を奪われた。
ジョルジュとともに彼女を救い出しにきた時のことだ。
「エミリアさん、助けにきました」
セーマのセリフがすでにおかしい。
彼の目には彼女しか映っていないようだ(他の捕虜は無視)
このとき、彼の頭の中では、エミリアとのこれからの幸せな生活が、まるで映画のフイルムのようにじゃんじゃん思い描かれていた。
牢の扉を開け、中に入ると、エミリアの満面の笑顔が。
(さあ、俺の胸に飛び込んでおいで)
セーマは両手を開いてエミリアを向かい入れる。
こちらに向かい駆け寄るエミリア。
セーマは彼女をギュッと抱きしめる、つもりでいたが、彼の胸の中に彼女はいなかった。
彼女はセーマの横を見事にスルー。
「エミリア!」
「ジョルジュ!」
2人は熱き抱擁を繰り返していた。
呆気にとられるセーマ。
(あーー、そーゆーことですかーー)
彼は全てに合点が行った。
(まー、俺、彼女と面識ないしね、あいつは使用人でよく知ってるだろうし)
使用人と屋敷の令嬢の許されざる恋。
(大方、あの村長に結婚反対されてて、そこをなんとかする機会狙ってたんだろうな)
今回の働きがあれば、村長も反対できまい。
ジョルジュの今回の活躍は、つまりはそーゆーことである。
(まあ、ちょっと残念だけど、いいか。よく知らないひとだし。本気で好きになる前に分かったんだからこれはこれでラッキーだって)
自分で自分にそう言い聞かせるセーマ。
(大丈夫、俺にはアリシアがいる。彼女だって、エミリアに負けず劣らずの美人だ。スタイルだっていい。それに俺がこの世界に現界して初めて会った人でもある。それから苦難を乗り越え、オーガ軍を撃退し、村を開放したのだ。そんじょそこいらの上辺だけの関係ではない)
この思いこそが、今のセーマの心の支えであった。
彼は、すぐさまアリシアのところに行き、エミリアの無事を伝えた。
姉の無事を聞いて、ポロポロ泣き出すアリシア。
その彼女を、しれっと抱きしめるセーマ。
「ありがとうございます。なんとお礼をいってよいやら」
「アリシアが協力してくれたおかげさ」
「そんな、セーマさまに比べたらあたしなんて」
「ご褒美が欲しいな」
セーマはアリシアにしか聞こえないような小さな声で、ささやいた。
「えっ?」
一瞬驚くアリシア。
そんなアリシアをギュッと抱きしめるセーマ。
何気なく身体をやさしく撫で回す。
顔を赤らめるアリシア。
彼の身体をギュッと抱きしめ返し
「はいっ」
小さな声で返事をした。
(よっしゃー!)
内心ガッツポーズのセーマ。
が、その様子をなにげなーく見ていたもの達がいた。
セーマもアリシアもそのことには気づかなかった。
◇
その後、セーマは村の復興に協力した。
彼の仕事は、主に警備である。
セーマが目を光らせているとわかると誰もズル、悪さをしなかった。
皆、黙々と復興作業にあたった。
セーマに睨まれる様なことをする馬鹿はいなかった。
また、オーガ軍が壊滅したことで、また新たな軍団が報復のため来襲する可能性もある。
セーマを中心に、新たな村の防御体制の整備も進んだ。
慌しい日々の中、彼はなかなかアリシアと会えなかった。
彼女も、村長の娘として慌しく過ごしていた。
しかし、妙だった。
あの日以来、明らかにアリシアがセーマによそよそしいのだ。
忙しいとはいえ、全く会えないわけではないはず。
現にヨシュアとは楽しそうに話しこんでいる場面を、セーマは何度も目撃している。
だが、彼がこっそり合図を送っても、アリシアは決して乗ってこなかった。
なにかあった。
分かり易すすぎた。
誰かに何か言われたのは明らかだった。
しかし、今呼び出して、そのことを問いただすのは得策じゃない。
そう思い、セーマは機会を待った。
◇
今日は町長宅で夜、パーティーが催された。
オーガ軍の撃退、村の再建に目処が立ったことを祝うものだ。
主役は当然、セーマである。
救世主の呼び声高い彼目当てに、近隣の村々の重鎮たち、有力者みならず開拓地域管理官なる中央政府の役人も招かれていた。
セーマはパーティー開始早々、それらのお偉方や、彼を人目見ようと集まった女性たちに取り囲まれていた。
セーマはそれらの相手をしながら、ヨシュアとアリシアがべったりなのが気になって仕方なかった。
そんな彼を見つめる、村長、ジョルジュ、エミリア。
そんな中、2人の人物がセーマに声をかけてきた。
ヨシュアの祖母と開拓地域管理官なる役人である。
◇
「あなたがセーマ殿ですか?」
ヨシュアの祖母が訊ねてくる。
「はい、私がセーマです」
「私はグレーブスと申します。村をお救いくださいまして大変感謝しております。孫のヨシュアもあなたの活躍に感動しておりました」
「ヨシュア殿のおばあさまでしたか。とんでもない、彼の活躍も素晴らしかったですよ。彼がいなければ、こうもうまく撃退できなかったはずです。すばらしいお孫さんですね」
「まあ、お上手ですこと」
ほほほっと笑っているが、眼光が鋭い。
油断できない人物であるのは明らかだ。
笑い終わると、セーマに役人を紹介してきた。
「こちら、中央政府の役人でエリック・ジョンソン様です」
「初めまして、開拓地域管理官のエリック・ジョンソンです。」
その男は30前後の黒人であった。
「セーマです。セーマ・ジュウモンジと申します」
セーマも名乗り返した。
「今回の活躍、中央でも噂になっています。オーガ軍を少数の兵で壊滅させた英雄セーマとして。セーマ殿はご出身はどちらで?どこで剣の修行をなさったのですか?」
(答えづらいことを聞いてきたな。ここはうまく返さないと。)
彼はこんな場面を想定して、前から用意していたセリフを吐いた。
「アーク大陸の南方の山奥に、開拓民の村でジュウモンジ村というところがあります。剣術の盛んな村なのですが、年頃になると、剣一本を持って、世界を修行するのが習わしなのです。そして今回この地域を回っていたところ、この度の騒動に巻き込まれたという訳です」
こういう場合、それっぽい嘘で切り抜けるに限る。
アーク大陸を絡めれば、それは割と簡単だ。
アーク大陸は新大陸であり、発見されてから100年もたってない。
発見当時に大量の移民が行われ、しばらくは開拓が延々続き、日ごとに地図が変わる状況だった。
それは今もそれほど変わってなく、正確な地図がいまだに作られていない。
なので、適当にごまかすのは簡単なのだ。
「そうですか、修行の旅の途中だったのですね。ならば、今度是非中央にお寄りください。英雄とも救世主とも呼ばれるセーマ殿なら、国王もお喜びになりましょう」
中央、つまり、中央政府。レムリア大陸の東方、人間領のうち最大最古の国家である聖パンゲア王国を指す。
人間領は、それ以外に多数の国家があり、それら全てがパンゲアを中心に連邦制をとっている。
その名を「パンゲア魔導連邦」という。
聖十字架登場以前、レムリア大陸は全て人間のものだったといわれている。
そしてアーク大陸発見までは、世界といえばそれはレムリア大陸のことを指した。
皆がこの世界を(アーク大陸発見後も)魔法世界レムリアと呼ぶのはそのためである。
太古よりレムリアでは魔法が盛んで、以前は今以上のテクノロジーがあったといわれている。
故に、魔法はレムリアの人間たちにとってのプライドであり、自分たちを伝説の魔導民族パンゲアの子孫という意味で、「パンガリアン」と称していた。
そして、アークにいた少数の土着民族を「アーカディアン」と蔑んでいた。
そのアークへの布教という名目で聖十字教会が、大量にアーク大陸に流れ込んでいた。
実際は、様々な思惑があってのことなのだが、その辺の詳しい事情は後日説明することにする。
エリックからの誘いに笑顔で応え、セーマは一礼してその場を去った。
他にも相手をしなければならない人たちが、まだまだいたからだ。
これから何が起こるかわからない。
ここにいる人たちは、少なからず力を持つ人たちである。
良い印象を与えておくのに越したことはない。
という振りをして、セーマは、ヨシュアの祖母とエリックから離れた。
本能的にこの2人から危険を感じていたからだ。
セーマをジッと見つめる2人。
うまく逃げられたという顔をしている。
セーマはそんなことには気づかない振りをして、群がる女性陣に笑顔を振りまいていた。
そんなセーマを見ながらエリックは、部下のひとりに耳打ちを始めた。
「至急、アークの聖十字教会に伝言を伝えたい。魔導通信で送ってくれ。魔王とおぼしき人物と接触したとな。」
◇
セーマはさすがに疲れたという振りをして、少し夜風に当たりたいといい、何気なく、アリシアに近づいた。
ちょうど、ヨシュアも、客の相手をしており、アリシアは1人でいた。
「このパーティーが終わったら、中央公園の噴水の前で待っている」
アリシアの耳元で小さな声で囁くセーマ。
軽く尻を撫で、合図を送る。
顔を赤らめるアリシア。
そんな彼らを見つめるやつらがいた。
村長、ジョルジュ、エミリアである。
セーマはバルコニーで1人夜風にあたり、酔いを醒ましていた。
すると、ジョルジュが近づいてきた。
「セーマさま、村長が折り入って話したいことがあるとのことで・・・・」
セーマはジョルジュに促されるままに、別室へと招かれた。
入るとそこには村長とエミリアがいた。
「セーマさま、このことは他言無用でお願いできましょうか?」
以前と違い、セーマへの態度が180度違う。
オーガ軍を壊滅させて以来、彼と村長の立場は完全に逆転していた。
「なんです、村長?」
明らかにセーマに不都合な話であるはずなので、彼は嫌そうに返事をした。
「あなたには、2人の娘の命、そして、村をお救いいただき、感謝のしようがありません!本来ならこのようなこと、絶対できないことは、重々承知のつもりであります。ですが、そこを曲げて、お頼み申し上げます」
「なんですか?ご大層に」
「娘を、アリシアを諦めていただきたい!」
◇
(はあ?なにいってんの、このおっさん)
「別に、アリシアの意思を無視して、無理矢理というわけじゃないんだぜ?俺は彼女が好きだし、彼女だって俺のこと好きだと思うぜ」
「それは分かっております」
「それとも何?俺じゃアリシアとくっつけられないの?ああ、俺よそ者の流れ者だもんね。それでダメってこと?」
「そのようなことは決して。救世主であるあなた様を断る理由などございません!」
「じゃ、なにがダメなんだよ?」
「理由は申し上げられません!ですが、今回ばかりは!今回ばかりは!諦めてもらえませんでしょうか?これ、このとおり!」
そういうと村長は、セーマの前で土下座した。
静まり返る部屋の中。
おろおろするエミリア。
沈黙のジョルジュ。
こんなことをしていても時間の無駄である。
ここは本気で怒るしかない。
セーマはジョルジュに話を振った。
「ジョルジュ、村長じゃ話にならん。お前説明しろ」
普段、セーマはジョルジュにもエミリアにも村長にも、こんな上から目線のしゃべり方はしない。
しかし、無理矢理聞き出すには、上下関係を、この場ではハッキリさせないといけなかった。
ジョルジュが村長に口止めされているのは明白だった。
村長がチラチラ、ジョルジュを見る。
(しゃべってはいけない!)
村長はジョルジュにアイコンタクトでそういっていた。
しかし、かまわずたたみ掛けた。
「お前ら、俺の命令きけねえのか!」
セーマのドスの効いた声が部屋中に鳴り響く。
観念したように、ジョルジュは話し出した。
◇
ジョルジュがいうには
この村は形式的には村長がトップであるが、実際にはその後ろ盾にあたるひとがトップだった。
それがヨシュアの祖母、グレーブス夫人なのだ。
彼女は、元々中央で暮らしていたが、旦那が開拓地域管理官としてこちらに赴任したとき、ついてきて、そのまま、この村に土着したのだった。
当然、中央政府とのパイプも持っており、村長がその地位にいられるのも、彼女の支えがあったればこそなのだ。
もちろん、普段は表には出てこず、村長に任せているが、ここぞというときは、裏であれこれ、村長に指示を出して、村をコントロールしていたのだ。
しかし、今回のオーガ軍が現れたことで、事態が一変した。
いままで築いてきたものがなくなる危機だった。
しかし、そんなときに現れたのがセーマだった。
彼がオーガ軍を撃退したことで、その危機は去った。
そのことで彼に感謝したのだ、一時的に。
しかし、セーマの救世主的な働きは、瞬く間に全土に広がり、今度は彼が邪魔になりだしたのだ。
セーマの存在感がこの村でどんどん増していく。
それは相対的に支配階層の自分たちの力の低下を意味する。
しかし、英雄であるセーマに、出ていけ、とはいえない。
暗殺も考えたが、彼が強すぎて、それもできない。
そこで考えたのが、中央への召喚である。
英雄として召喚されるのなら、セーマも断るわけはない。
ついでに、中央でなんかしらの役についたなら、もうこの村に戻ってくることもない。
それなら、英雄へ恩返しもできたと、周囲に言い訳もでき、かつ、追い払いことができる。
一石二鳥である。
それでわざわざ中央の役人であるエリックを呼び寄せたのだ。
それともうひとつの問題がヨシュアである。
ヨシュアはなかなか人望もあり、行動力もある自慢の孫であった。
だが、今回の件で、セーマのあまりの強さに脱帽し、尊敬するようになった。
それが気に入らなかったのだ。
いかに強かろうと、どこの馬の骨ともしれぬセーマに、そんな態度を取るのは、この家の跡取りとしてあってはならないことだ。
しかも、嫁にしようと、内内で話を進めていたアリシアまで奪われそうになっている。
よそ者にそこまでコケにされてたまるか!
ということらしい。
「ふーん、なるほどね」
セーマはうなった。
「なにとぞ、なにとぞお聞き入れを!」
村長は頭を床に擦り付けている。
「今、返事はできないな。酔い醒ましに、パトロールに行ってくる」
セーマは考えをまとめる時間が欲しくて、そんな理由をつけて屋敷を出た。
◇
パーティーの後である。
若い男女は燃え上がり、皆そのほてりを冷ます作業に没頭していた。
村の物陰、野原では、男女の営みが盛んに行われていた。
さすが、娯楽のない田舎!
やることないからすぐ始まっちゃうんだよね。
「ここは代々木か日比谷公園かよ!」
むなくそ悪さに勢いづいて、悪態をつくセーマ。
そこかしこでカップルが人目もはばからずイチャついている。
ムカムカしつつ、セーマは村の中央公園の噴水の近くを通った。
草むらでがさがさ音がする。
(あそこにもいんのかよ!)
「いやっ」
「いいじゃないか」
「こんなところで嫌よ」
「みんなやってるって」
セーマはどっちも聴いたことのある声だと思い
近づいてみることにした。
(嫌な予感するなー)
と思いつつも、好奇心が勝り、足を進める。
草むらに分け入ると、男は服を脱いでいる途中で、女は半分服を脱がされ、なにやら敷物の上に寝かされていた。
男は、脱ぎ終わると、女の両足を持ち上げ、彼女の中に入ろうとした、
「やっぱりいや」
女は、男を押しとどめようと抵抗しだした。
男は、なんとかそのまま行こうと無理矢理女を押さえ込もうとした。
(あーあ、やっぱりな)
セーマは、嫌な予感が当たって、一気に脱力しだした。
「その辺にしとけよ、お坊ちゃん」
セーマはヨシュアとアリシアに聞こえるように一言いうと、その場を立ち去った。
突然、冷や水をかけられた格好になったヨシュア。
その声がセーマであることは間違いない。
ヨシュアのあそこは一気に萎えだした。
ビックリしたのはアリシアも一緒である。
よりによってセーマに見られたのである。
とりあえず、自分の上で固まっているヨシュアを引っ叩き、どかせると、急いで服を着、その場を立ち去った。
「とに、どいつもこいつも盛りやがって」
セーマは「やさぐれセーマ」となっていた。
このままでは何も考えられない。
気持ちを落ち着かせるため、裏山でひとり、星でもみようと歩き出した。
そしてこの後
セーマは天使が舞い降りるのを目撃することになる。
登場人物紹介
グレーブス夫人
ヨシュアの祖母。
辺境地域の実力者。
表向きは隠居した風だが、裏では村長を操り、村の政治を牛耳っている。
中央政府とも太いパイプを持つ。
村の中に広大な土地を有し、そこを実質的に自治領化している。
オーガ軍を村から排除したセーマに、初めは感謝していたが、その勇名が轟きだすと、一転セーマを疎んじ始める。
いつの時代、どの世界でも、例外なく、為政者とはそういうものなのである・・・
エリック・ジョンソン
T180 30歳
中央政府の役人で、開拓地域管理官。
この世界では珍しい黒人である。
中央政府、聖十字教会とパイプを持つ。
王宮での王位継承者競争では、スカーレット陣営に組する。
酒豪で性豪。
すでに3人の妻を持ち、「男の価値は女房の数で決まる」と豪語している。
セーマとは馬が合い、行動を共にする。
野心家で頭が切れる。
セーマのこの世界での師匠役。