パンツァー『クロノス』
パンツァーたちは一斉に飛び出した。
パンツァー『グラーヴォ』、パンツァー『ニュンフェ』が敵のパンツァー『ヴィーキング』、そしてパンツァー『ヴィント』とぶつかっていく。
戦いは熾烈を極めた。
それは攻める側ではここを落とせば、共和国の再興がかなう。
守る方では、ここを落とされたら、東方に大きく後退される。
グラーヴォはエーテルマシンガンを撃ってから、一気に接近してヴィーキングを叩き落す。
ニュンフェはエーテルスピアで、ヴィントを落とす。
帝国軍の前線は後退を余儀なくされた。
だが、それはコンスタンティウスにとって予想していた展開だった。
「フッ、パンツァー戦の真髄を教えてやろう。行くぞ、ものども!」
コンスタンティウスは自らパンツァー『クロノス』を装着して、配下のティターンと共に出撃する。
コンスタンティウスのもとに、三人娘が現れた。
「独裁者・コンスタンティウス! ここで討つ!」
エーヴァがエーテルスピアを向ける。
「あんたをここで討ちとるわ!」
ダニエーラがエーテルボウを構える。
「ぼくたちが相手だ!」
カタリーナがエーテルジャベリンを出す。
「フン、小娘どもが。私をただの権力者だと思うなよ? この者たちは私が相手をする。おまえたちは敵のパンツァーを抑えよ」
「「「はっ!」」」
パンツァー『ティターン』は重装甲のパンツァーだ。
この機体を落とすのはなかなか苦労するだろう。
三人娘はコンスタンティウスを取り囲んだ。
コンスタンティウスは余裕を見せた。
「フン、かかってくるがいい。きさまらで遊んでやろう」
「なめないで!」
「後悔するわよ!」
「三対一で勝てるかな?」
「くらいなさい!」
ダニエーラがエーテルボウを撃った。
ダニエーラの矢はパンツァー『クロノス』に向かって飛んでいく。
「無駄だ!」
コンスタンティウスは片手で、ダニエーラの矢をつかみ、潰した。
「うっそお!?」
ダニエーラが驚愕する。
「私が行く!」
エーヴァがエーテルスピアで、コンスタンティウスを突く。
だが、エーヴァの槍はコンスタンティウスの大型エーテルソードに阻まれた。
「これならどうかな?」
カタリーナがジャベリンを投げつける。
狙いはコンスタンティウスの顔だ。
それを彼はバリアシールドを全開にして耐える。
さすが帝国の専用機。
それも重武装、重装甲の機体だ。
「これで吹き飛ばしてくれるわ! エーテルブラスター!」
コンスタンティウスは腹部に大型の銃を押し付けると、すさまじい光線を発射した。
エーヴァたちはそれに巻き込まれた。
光線の後はエーヴァたちの半壊状態のパンツァーがあった。
彼女たちはもはや戦闘不能だ。
「くっ……」
「こんな……」
「なんて力だ……」
「ここは俺に任せろ!」
そこにテンマが割り言った。
俺は三人娘の間に入った。
この三人を半壊状態に追い込むなんて、さすがに大統領は強いな。
だが、このパンツァー『パルジファル』なら対抗できるはずだ。
「おまえたちは母艦に戻れ!」
「でも……」
「テンマ……」
「テンマ君……」
「そんな状態では足手まといだ。ここは俺が抑える」
「わかった」
「やられないでよ?」
「任せるよ」
三人は後退していった。
「テンマ・イカズチだったか? 剣聖の息子よ?」
「そうだ。俺がここに来たからはおまえを倒す」
「愚かな! 私に勝てると思っているのか? いいだろう。ひねりつぶしてくれる!」
こうして俺はコンスタンティウスと対峙した。
「戦況はどうだ?」
「はい! 我が方が優勢です!」
シグルドはラ・リベラッツィオーネのブリッジにいた。
シグルドは秘策を温めていた。
敵の旗艦にビームラムで突撃するという案だ。
これで敵の補給に打撃を与えることができる。
「目標、敵旗艦! 突入せよ!」
一方、ベルナドットもこの状況を楽しんでいた。
計画通りだ。
コンスタンティウスはテンマ・イカズチと対峙している。
このままテンマ・イカズチがコンスタンティウスを倒してくれればいい。
そのため、ベルナドットは優勢な戦力を温存していた。
「フッ、ここまで作戦通りだとおもしろいな。さて、大統領はどうなるかな?」
ディスプレイでは大統領がテンマ・イカズチと交戦していた。
互いに接近戦を挑んでいるらしい。
その時、ベルナドットの目に敵の戦艦ラ・リベラッツィオーネが急接近してくるのが見えた。
「何だ!? あれは!?」
ベルナドットが動揺する。
このままでは戦艦レアに、しかもブリッジにぶつかる!
「エーテル粒子砲を敵戦艦に向けて撃て!」
ベルナドットの悲鳴がこだました。
だが、敵艦はビームを拡散する装甲を持っているようだ。
「こんなところで、この俺が!?」
ベルナドットは悲鳴を上げた。
それがベルナドットの最後だった。
「!? 戦艦レアが!? おのれ、レジスタンスめ! あれではベルナドットは生きていまい……だが、ここで私が勝利する! エーテルブラスター!」
コンスタンティウスがエーテルブラスターを発射した。
だが、テンマはそれを機動力で回避する。
そのまま接近戦に持ち込む。
テンマのエーテルブレードがひらめいた。
テンマの一撃がパンツァー『クロノス』に入る。
「ぐあっ!? おのれえ! よくも!」
テンマはさらに斬りつけて、コンスタンティウスのエーテルブラスターを斬った。
コンスタンティウスはエーテルブラスターを捨てる。
そのまま大型エーテルソードを出して、テンマに攻撃してきた。
テンマは大型エーテルソードを積極的に受け止める。
白兵戦に突入した。
この男はかなりの剣の使い手だ。
テンマは苦戦した。
だが、新兵器はコンスタンティウスを押した。
エーテルブレードはテンマに合っていた。
それがきらめきを演じる。
「くっ、小僧!?」
「これで決める!」
テンマの一撃がコンスタンティウスを斬った。
「ぐあっ!?」
テンマの攻撃で、パンツァー『クロノス』はボロボロだ。
「これまでだな?」
俺はコンスタンティウスに最後通牒を突き付けた。
コンスタンティウスは恐怖を浮かべた。
「ま、待て!? 頼む! 命はとらないでくれ!」
「はあ?」
こいつはいったい何を言っているんだ?
こいつ一人の野心のおかげで何人もの兵士が死んだ。
それなのにこいつは命乞いをする。
テンマはエーテルブレードをコンスタンティウスの首に当てた。
「おまえのせいで、どれだけの人が死んだと思っているんだ!」
「それはすまなかった! 私が悪かった! 許してくれ!」
平然と命乞いをする男……俺は憐れに思えた。
こいつのせいでターニャは死んだ。
その罪は決して消せない。
だが、俺はこの男を殺せなかった。
しかし、その時、一本のエーテルソードがコンスタンティウスを貫いた。
「ぐっはあああああ!? そんな……」
コンスタンティウスはそのまま落ちていった。
パンツァー『クロノス』が爆発する。
俺は見た、コンスタンティウスの背後に、黒い堕天使のようなエータ―パンツァーが空中にいた。




