パンツァー『ルーツィフェル』
テンマは投げつけられた剣のかなたを見つめた。
そこには黒い、天使型パンツァーをまとった男がいた。
「フッ、命乞いなど見苦しい。そのまま潔く死ね」
「!? 誰だおまえは!?」
テンマが詰問する。
男は金髪の長い髪に、黒い甲冑……。
「私はミトラント(Mithrant)。そしてこのパンツァーは『ルーツィフェル(Luzifer)』だ」
「おまえの目的は?」
「簡単なことだ。コンスタンティウスの帝国を私が奪う。そのために私は来た」
「そんなこと許すと思うか?」
「ふっふふふ、そうだな。我々は本気だ。ここで、すべての決着をつけようではないか。パンツァー『シャックス』!」
ミトラントの後ろから魔法陣が現れた。
その中から、黒い天使型のパンツァーが次々と現れる。
「これは!?」
『テンマ!』
「アスカ!?」
『気をつけて! 敵のパンツァーは少数でもかなりの強さと性能を持っているわ!』
「ありがとう、だが、俺たちは負けない!」
パンツァーたちが空中を飛び交う。
パンツァー『グラーヴォ』はパンツァー『シャックス』に向かっていった。
テンマはミトラントのもとへと行く。
「フッ、私に勝てると思っているのか? 無駄なことを。愚かだな」
「俺は勝つ! そして、この戦いを終わらせる!」
突如乱入したパンツァーたちによって戦場は静寂が支配した。
しかし、戦場は熱気を上げていく。
テンマはミトラントに斬りかかった。
ミトラントは大型エーテルソードを持っていた。
テンマのエーテルブレードとエーテルソードがぶつかり、火花を散らす。
「ほう……やるではないか。だが、この私の敵ではない!」
ミトラントはエーテルソードで薙ぎ払う。
「くっ!?」
「ふははははは! その程度か!」
ミトラントは傲慢な男だ。
だが、それだけの実力を彼は持っていた。
テンマの機体が切り刻まれる。
致命傷は追っていないが、このままでは戦闘不能に追い込まれるだろう。
まずい……。
「くうっ!?」
ミトラントの剣筋が俺のボディに傷をつける。
悔しいが彼の力は本物だ。
「ははははははは! どうした? ぶざまだな?」
ミトラントが哄笑する。
「さあ、これでとどめと行こうではないか! カスマ・スラッシュ!」
ミトラントが強烈な闇をまとって斬りつけた。
すさまじい闇の粒子があふれる。
テンマはこの闇に呑み込まれる。
テンマの意識が落ちていく。
駄目だ! ここで倒れたら、ミトラントは王になるだろう。
それだけは阻止しなければならない。
アスカ……俺に力を貸してくれ!
テンマは踏みとどまった。
「はあああああ! エーテルスラッシュ!」
「な、なんだと!? 私の攻撃に耐えた!?」
テンマの斬撃がミトラントを襲う。
テンマはその隙を見逃さなかった。
テンマは一気にミトラントに突撃して、エーテルブレードでミトラントを貫いた。
「ぐああああああああっ!? ぐっ……この私が……こんなところで!」
「終わりだ! ミトラント!」
テンマはミトラントに一太刀入れる。
テンマの一撃は致命傷だった。
ミトラントは落ちていった。
そのまま爆発と同時に消えた。
こうしてバビュロニア帝国は消えた。
帝国軍は解体されて、新アルカディア共和国が樹立された。
俺は共和国の軍人になった。
シグルドは共和国大統領になった。
アスカも軍の開発部に属することになった。
「アスカのおなか、どんどん大きくなっている……ティエンマーの子供?」
アスカとシャオユエは開発部の建物の屋上にいた。
天気は晴れだ。
二人はここでランチを取っていた。
「もう少しで出産ね。それが待ち遠しいわ」
「おーい、二人ともー!」
「テンマ!? どうしたの!?」
俺はアスカの前に姿を現した。
パンツァーを着ている。
「二人の様子が気になってね」
「んもう……今仕事中じゃないの?」
「あははは、まあ、そうなんだけど。アスカに会いたかったからこうして抜け出してきたというわけだ」
俺はパンツァー海兵隊に入った。
今では生活は順調だ。
俺はアスカと結婚した。
アスカのおなかの中には俺の子供がいる。
「んもう……テンマったらっ……」
「アスカ、嬉しそう?」
「え? そんなことないわよ?」
「えー……」
シャオユエが疑惑を持つ。
俺はアスカの前に降りると、そのままほおにキスをした。
「じゃあ、午後の勤務もがんばるよ」
「テンマったら……じゃあ、テンマもがんばってね!」
「ああ、じゃあ俺はもう行く。抜け出してるのがばれるとまずいんだ」
こうして俺の戦いは新しいステージに入った。
共和国はまだ設立されて間もない。
それを守るために俺は自分の命を出せる。
俺は共和国を信じている。
こうして、俺の叛逆の物語は終わったのだった。




