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邂逅 2

トキマサは机の上で元気よく動き出す脳波レーダーのバイブ音についに我慢できなくなっていた。

4人が出ていってから数分後、微かに反応を示していたがここにきて急に爆音で反応を示し始めたのだ。


「あぁもうさっきから何なん――」


レーダーを手に取ったトキマサは口が半開きになり、そのまま硬直した。

4人の反応とほぼ同じ位置に覚えのない反応がこれもまた4つ、しかもかなり強い反応を示している。


その反応がある場所は、例のホテルがあるオフィス街の一角。

明日、そこでは日中のパーティが開かれる。

自分の薬による能力者ではない人物が、4人。

レーダーを握る手にじわりと汗が滲み出てくる。


「まさか……マズい」


トキマサは急いで外に出る支度をし、車のカギを持って花一の家を飛び出した。


*


一方、シュウたちは観光客の多い人通りの中4強に出くわしてしまい、なす術を模索していた。


「何、そんなにビビることないのに」


マキトは手のひらを返すようにして4人を挑発するも、もちろんその手には簡単に引っかからない。


「じゃあやり方を変えよう。戦うのが嫌なら……」


マキトは首を左に捻ると、空を美しく反射している大きなオフィスビル群の方を指差した。


「今から適当に建物壊していくから、頑張ってそこら辺の人を助けるってのはどうかな?」


シュウたちは唐突すぎて何を言ってるのか理解できず、互いに顔を見合わせた。


「どういう……何言ってんだよ?」

「どうもこうも何も、言葉の通りだよ――」


マキトは右手をそっと前に出し、手のひらを適当に一棟のビルに向け、後ろの3人には左手で邪魔をするなと制止させる。


「――ほら」


マキトがその開いた右手を軽く握り、拳を作った瞬間、手が向けられていたビルの窓ガラスが全て弾けるように割れ、コンクリートの部分は一瞬にして駆け巡る亀裂に覆われる。


「は?」

「な……」

「え」

「嘘だろ」


そして瞬きを数回する内にビルは激しい砂埃を巻き上げ、その煙の中に落ちて吸い込まれるようにビルが消えていく。

周囲の人々やビルの中で働いていた人は、逃げる暇もなく、叫び声を上げることもなく、何が起きたかもよく分からないまま、数百人が一度に瓦礫の下敷きになった。


中にはガラスの破片やコンクリートの欠片などで負傷した人、死んだ人、無事に気づいて逃げた人、様々だったがマキトはわずか10秒足らずで100人以上の命を奪い、ビルを崩壊させた。

周囲の人々は次から次へと悲鳴をあげ、その場から足速に逃げていく。


「やめろ!無関係な人を巻き込むな!」

「無関係?何を言ってるのさ、この国に住んでる時点で全員関係ある事だよ?」

「バカじゃねぇの?狙うなら俺たちだけ狙えばいいだろ?!」

「これはゲームだよ。君たち4人がどれだけ人を助けられるか、試してみよう。まだ最初だし、ゲームはこれからだよ」


4人は戦慄した。

体中を駆け巡る恐怖で全身が震え、それにより汗が穴という穴から嫌というほど流れてくる。

そして、体が動かず既に多くの犠牲者を出してしまったことへの罪悪感が脳を襲う。

16歳が背負うにしては、あまりに責任が重すぎるものだが、他に立ち向かえる人はどこにもいない。


「じゃあ手分けしてあのホテル以外いい感じに壊してこっか」

「任せろ」

「りょーかーい」

「…………」


マキトはユキに近づき、優しく穏やかな口調で問いかける。


「嫌だったら無理はしなくていいよ」

「私……もう何も分からないの……」

「ボクはそこまで気にしないけど、協力しなかったって知ったら上の人たちがどうするか……」


ユキは急に血の気が引いたように顔が青ざめ、歯がガクガクと震え、どこか酷く怯えたような表情になる。


「ごめんなさい……協力、するから……やめて……」

「うん、大丈夫だよ。じゃあほら、一緒に建物壊そっか」


そう言われるとユキは怯えた表情のままコクリと頷き、一瞬で旋風のように飛んでいき、暴風を巻き起こしては次々とビルを破壊していく。


「あの子が、4強……嘘だよな?」

「知り合いなのかよ?」

「そんなことより動け、皆死ぬぞ!!!」


4人はバラバラに散り、崩壊していくビルの方へと向かっていく。


その光景はさながらSF映画のワンシーンのような、とても現実とは信じがたいこの世の終わりのような絶望に包まれていた。

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