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21/23 2――邂逅

4人は人通りの多いオフィス街の辺りまでやって来た。

休みだからか、観光客の外人ばかりが視界に入る。


「あーあれだっけ。思ったよりデカいな」


ガラス張りで空を青く反射しているビルとは違い、白い円柱形のような洒落た建物が、その存在感を堂々と示している。

その白い建物の近くでは、他の場所とは違いきちっとした身なりの大人たちが多く出入りをしている。

エントランスの前の看板には丁寧に石を彫って"国営五つ星ホテルゆめシティ"と書かれている。


「名前はアレだけど、結構ちゃんとしたホテルなんだなぁ」


エントランスには複数のドアボーイがおり、荷物を運んだり客の出入りをスムーズに案内したり、特に今日は忙しそうにしているようだ。


4人は少し足を止め、道路を挟んで遠目に様子を伺っていた。


「あの中にナオヤとコースケが入りこむって話だけど、マジでできんのか?」

「いくら力があるって言っても、こう見てみると自信なくなるなぁ……」

「正味いろいろ盗み聞きとかするだけであんま意味ない気がしてきた」


ホテルを見ながら段々と明日のやる気がなくなっていく一方だったが、その話の盛り上がりも後ろで近づいてくる足音がスッと止まったことですぐに落ち着いた。



「誰だろ」

「知らねえよ」

「邪魔だったかな?」

「もう帰るか。大体下見はできただろ」


その人物は少し驚いたように4人に話しかける。


「あれ、どうかされましたか?もし道に迷ってしまってるなら、案内できますよ〜」

「いや、ちょうどもう帰るところなんで大丈夫です。お気遣いありが――」


ナオヤはその男の顔に見覚えがあった。

花一が見せてくれた書類で、この顔を見た気がした。


そう、あれは確か政府の能力者のうち4強のトップ――


(久賀……真希斗……?!)


そのナオヤの思考を読み、コースケもそれに気づいた。


(嘘、マジで言ってる?)

(絶対に間違ってない。4強のリストでこの顔見たことある……)


シュウとリクも少し疑っていたが、コースケが思考を共有したことでそれは確信に変わった。


「あーそうですかー、気をつけて帰ってくださいねー。あんまり話題に上がらないんですけど、最近あちこちでゾンビ?みたいなのが出るらしいですからー」


SNSでこそ有名になってきているものの、その話題でテレビのニュースで報道されたりなどはないのだ。

4人はタイミングもタイミングで、かなりの恐怖を感じていた。


「おい待てよマキト」

「意外と歩くの速いのね」


その男の後ろから、さらに3人が歩いてくる。

その中の1人を見て、シュウは心臓に釘を打ち込まれたかのような鋭い苦しさに咄嗟に胸を押さえた。


「あ……何で、あの子が」

「どうしたんだよ?」


この前の腰から上下に千切られ殺害された、高齢女性の事件の時に出会った女の子。

そのおばあさんの孫である、風を操れる女の子。


「どうしたのユキ。そんな青ざめちゃって」

「嘘……そんな、嫌……」


マキトは後ろを振り返り、ユキと呼ばれるシュウたちと同年代と見られる女の子の方へ歩いていく。


「あれ、あの男の子たち知り合い?」

「いや……そういうわけでは……」

「俺は知ってるけどな、あのガキども」

「え、じゃあ本当にあの4人で合ってたの?」


シュウたち4人は戦慄した。

全員、4強リストに載っていた人物だったからだ。

特にシュウはユキと呼ばれる人を見て、一段強くショックを受けていた。


「もしかしてと思って声かけてみたけど、合ってたんだ」

「よおノロマ、また会ったな。今度は前みたいに手加減はナシだ」

「せっかくのチャンスだし、ここで捕まえられたらめっちゃ褒めてくれるかも」

「…………」


(どうしよう……ヤバい)

(逃げられそうもないし、やり合うしかないのか?)


「ねえ、君たちって被検体の高校生4人で合ってるよね?」


シュウたちは無言で歯を食いしばる。


「震えてるのかい?なら合ってるってことだね――」


マキトはゆっくりとシュウたちを指さした。


「軽く遊ぼうよ。君たちがどれくらいのモノなのか気になってたんだ」

「お前1人でとかやめろよ?あのガキは俺がやる」

「じゃあアタシはあの子狙おっかな。ユキはあの子ね」

「…………」


マキトは口元を手で軽く隠し、クスッと笑みをこぼした。


「じゃあ、やろっか」


その顔は優しく微笑んでいたが、目には生気の感じられない灰色のモヤがかかっていた。

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