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4人は思い瞼をこじ開けながら、花一の家の前に集まりインターホンを押した。


「おぉ、起きれたか。まあ入ってくれ」

「チッ、なーにが起きれたかだよ。休日だってのにこんな……」


プツリとインターホンが切れると、リクが愚痴をこぼした。

昼頃よりも早めの10時頃に到着し、さっさと終わらせて帰ろうということで4人で話し合ったのだ。


地下の部屋に集まると、トキマサは真剣な表情で花一の書類を突き出した。


「明日、君たちが誘拐されたところのホテルで日中友好のパーティが開かれる。単刀直入に言えば、また任務を頼みたい」

「そのパーティがあったら何なんですか?」

「例のゾンビウイルスに関する情報を得られるかもしれん。あとはこっちが知らないようなやり取りもあるはずだ、それを入手してきてほしい」


その場はしばらく沈黙に包まれた。


「でも、そんなところ入ってったら流石にバレますよね。シュウも速いからって移動時の風圧とか電気とか、そもそもスピードがなかったらただの一般人同然なのに」


トキマサはナオヤが必死に話している中、ずっとナオヤに向かって指を指していた。


「ああ、だから今回は透明になれるナオヤ君に潜入してもらう」


4人は顔を見合わせ、互いに不安そうな視線を送る。


「だが、ナオヤ君はあくまで潜入がメインだ。今回最も重要な任務はコースケ君に頼む」


トキマサの説明によると、会場にナオヤが堂々と透明になって潜入。

コースケはマインドコントロールを駆使し他の関係者をやり過ごしながらその階で待機しつつ、ナオヤと感覚共有を行いながら情報を取得し、外のシュウ、リク、トキマサにも感覚共有を行いコースケは仲介役としてリアルタイムで情報を得ようという、中々ハードなものだった。


「僕の負担だけ異様にデカすぎません……?」

「暴走して制御できなくなるぐらい元がデカいんだ、死にゃせんだろう。最悪外にはシュウ君とリク君が待機しているから、肉弾戦も問題ないハズだ」

(科学とかめっちゃ天才かもしれないけど意外と単純っていうか、なんというか……)


トキマサは真剣な表情ではあったが、さほど心配した様子はなくさっさと解散すると4人をむしろ追い出すように帰らせ、続きの肉片のサンプルを再び調べ始める。


「ジコチュウだな、あのジジイ」

「なんかムカつくね、確かに」


シュウは愚痴をこぼすリクとコースケを横目に、ナオヤの心配をしていた。

心配したからといってどうなるわけでもないが、4人それぞれの能力の振れ幅が大きいため、やはりどうしても個人に頼らざるを得ない部分が出てきてしまう。

今回で言うなら、大胆な潜入はナオヤにしかできないように、情報を取得するのはコースケにしかできないように。


「怖いわ、流石に」

「多分あんだけ愚痴ってる2人もスゲー怖いんだと思う」


なんだかんだ皆元気がないことに気づいたシュウは全員にある提案をした。


「下見がてらそのホテルまで行ってみようぜ。あの辺オシャレだし、いい散歩になると思うんだけど」


特に深く考えることもしなかった3人は無言のまま何回か首を縦に振った。


その道中、コースケがトキマサが自分に言っていたことに疑問を抱き始めた。


「今思ったんだけど、俺は他人が見たものを見てそれを別の他人に共有できるの?そんな力あったっけ?」

「「「知らん」」」

「まあそうですよね……」

(試しにここでやってみるか?)


コースケはリクに狙いを定め、意識を集中させた。

シュウとナオヤの事は一旦全て遮断し、リクに関するものだけを拾い集めるような感覚で、じっとリクを見つめる。


「ちょ、どうしたコースケ。そんな見てくんなよ」

「…………」


生の声が聞こえなくなるほど、コースケはリクにただ集中するが、思考が聞こえてくるだけだった。

今操ろうと思えば操れるだろうが、前に操った時も特に操った人の感覚がコースケ自身に共有され感じられることはなかった。


(どうやるんだろう?)


ここで前に別の自分と入れ替わった事を思い出した。

確かトキマサは脳波をリンクさせることでこの力を使うことができる、みたいなことを言っていた。


(2種類の脳波がどうとか……なんかいけそうな感じではあるような?)


そこでコースケは試しに思い切ってリクを操ってみた。

その場でリクを立ち止まらせ、首を高速で振らせたり、拍手をさせたり、適当に変な動きをさせてみる。


(これはもう脳波がリンクしてる状態なんだよね?この操ったまま感覚もリンクさせればできるのかな?)


変な動きを止めさせ、一番わかり易いであろう視覚を共有できるかを試してみる。

もしうまくいけば自分が目の前でこっちを見つめているところが見えるはずだ。


「どうした?」

「ちょっと黙ってて」


未だにリクしか見えていないコースケは、やり方が分からず頭に血が上ってきそうながらも、それを何とか抑えリクの操作を解除した。


「どうやればいいんだろ……」


今度はシュウを操作し、目を閉じてみる。

次はシュウから発せられる情報をも全て遮断し、深呼吸を繰り返す。

コースケは何も見えず、何も聞こえない真っ暗闇の中にいた。

別の自分と会話した時のように、フワフワと漂っているような感覚が強くなっていく。

やがて体全体がピリピリと弱い電気が纏わりつくような感覚に包まれていき、暗闇の中はやがて少しずつ明かりが灯るように色づいていく。


そして明かりが灯り切ると、前には目を閉じて体をこちらに向けているコースケがリクとナオヤに怪しげな顔を向けられているのが見える。


(あっ、俺だ。できた……!)


何とか視覚をリンクさせることに成功したは良いものの、シュウそのものを操っていては意味がない。

シュウ本人は自分の意思で動いているところを、視覚だけリンクさせないと明日の作戦は成り立たないのだ。


「まあ、何とかなるかな」


コースケはシュウの操作を解除し、宙をボーッと見つめながら重そうな体で歩いていく。

リクとナオヤはコースケに駆け寄り、軽く肩を叩いた。


「まあまあ、何とかなるって」

「考えすぎるとかえって何もできなくなるからな」


操られていた瞬間の記憶がないシュウをその場にポツリ残し、例のホテルへと向かっていく。

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