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学校も終わり、4人は花一の家へと向かった。

博士は家に一人でゾンビのサンプルを狂ったように調べており、それを邪魔されて少し機嫌が悪いようにも見えた。


「なんだ、どうかしたのかね」

「端末別だと面倒なんで、RINEにしてほしいんですよ」


博士は手を止め少し宙をボーッと見つめたあと、瞼をパチくりさせると、小さく頷いた。


「確かにその方が良いかもな。悪い癖が残っとったみたいだ」


個人でそれぞれ連絡先を交換した後、トキマサ経由で花一とも繋がり、6人のグループチャットも開設した。

圧倒的に別端末より便利だとは分かっていたが、トキマサは静かなトーンで忠告した。


「こいつは確かに便利だが、かなり脆い。くれぐれも情報漏洩なんかには気をつけるんだな」


4人は小さく頭を下げた。

そしてここぞとばかりにナオヤが口を開く。


「あの、RINEの話もあったんですが、これ見てください」


学校でレイが見せてきたニュースの記事をトキマサに見せると、いつにもなく険しい表情で4人を交互に見つめた。


「……いたのか、あの場に」

「何か知ってるんですか?」


トキマサはゴム手袋をした手が震えるほどの力で拳を握りしめる。


「知ってるも何も、政府の奴らだ。一般人なら逃げ惑う状況下で写真が撮れてる事が何よりの証拠だ」


4人はゴクリと唾を飲んだ。


「ワシにも分からなかった……向こうの能力者と見て間違いないだろうな。その場にいなくても写真を取れるのか、姿を消せるのか、はたまた想像を超える別の力なのか……」

「大丈夫なんですかね?もう結構色々バレてますよね?」

「全て筒抜けぐらいに思っておくのが丁度良い。常に最悪を想定しておくことだ。政府にはどれだけ能力者がいるか知らんが、こっちはまずこのゾンビをなんとかせにゃいかん。君たちもこっちの事に集中するんだ」


そう言ってトキマサはまた肉片のサンプル調べに戻っていった。



*



玄関の鍵が開く音がすると、トキマサは手を止め肉片を専用の容器に密封した後ゴム手袋を外し、わざとらしく念入りに手を洗うと、そのままキッチンの方に向かった。


「今日はやけに遅かったみたいだが、どうした?」

「ええ、これはまた大きなイベントが開催されるようで、打ち合わせの手伝いが大分長引いてしまいました」


話によると、近々日中友好記念の祝賀会を開催するとのこと。


(あの警察署でシュウ君が取ってきてくれた書類に書いてあったやつか……)


このゾンビ事件の一連の流れをトキマサはまだ完全に読めずにいた。

また、侵略とゾンビの関係性が未だにピンときていなかった。


「それは全国にウイルスが出回るまでのこの3週間の内にあるのか?」

「ええ。それが何でも明後日に開催とのことで、私も今日知ったところなのですよ」

「相当周囲を警戒してるみたいだな」


明後日、国内最高級ホテルである"国営五つ星ホテルゆめシティ"を丸ごと貸し切り、極秘裏ではあるが盛大にパーティを開くらしい。


「ゆめシティ?あのホテルでやるのか?」


元々トキマサ専用の研究所がゆめシティの地下4階にあったこともあり、このパーティの会場と被ったことがどこか引っかかった。


「一応確認しておきたいんだが、あの4人が誘拐されたのはあのホテルの地下研究所だったよな……?確か地下5階の……」

「ええ、国内で初めてゾンビ化ウイルスが開発されたのもそこです。どうやら中国側が共同研究の話を持ちかけてきたらしく、中国では3年ほど前からゾンビ化ウイルスの話が出ていたとか」


首を傾げたトキマサはすぐにパソコンで中国でのゾンビ化現象を調べると、ヒットした記事は確かに多く、全て3年前に掲載されたものだった。


(3年前?中国は独自でこの研究を進めていたのか?なぜ今になって日本に?)


「中国は何がしたいんだ?ただ侵略を進める訳じゃないのか?」

「これも今日知ったことなのですが恐らく、完璧に忠実な超人を作るつもりです」

「どういうことだ?」


花一はまたまた紙をいくつか取り出した後、ノートパソコンも取り出し、人の3Dモデルのデータを見せてきた。


「初めの研究段階では、超怪力と不死身の肉体を持つことに成功しました。そして今なお進んでいるのが、自我の維持、そして細胞組織の腐敗を抑えることです」


確かに、駅の事件では流暢ではなかったものの、ゾンビは言葉を話していた。

初めに出会ったものは唸っていただけだったのに対し、明らかに知能を持っていると言える。


「肌が緑や紫に変色せず、肌色で赤い血のまま、超怪力を備え、何発撃たれようが死なない、でも命令には忠実な何ら一般人と変わりないようなゾンビを目指しているのかと」

「何だと……」


トキマサの中で細い糸が1本に繋がった。


「しかもそれが感染するとなると、コスト削減にも繋がってくるのか。だからゾンビという手段を選んだわけだ」


国民全員分のウイルスが無くとも、互いに広め合うのを待てばそれはやがて一色に染まるのだ。

しかもそこまで時間はかからない。


(早急に対策を練らなければ見分けのつかないゾンビが蔓延……笑えんな)


トキマサはグループチャットで4人をメンションし、明日重要な話があるから昼に来てくれとだけ送ると、今日はもうさっさと眠りについた。

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