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温泉その2

「これは温泉です」


オルレイン公爵が見せたかったのはこれらしい、自然に湧き出る臭いお湯

だけどパトリック、ダニー、俺は違うものに目が行く、さっきの農家の人は知らないのか?ヒール草


「これを使ってこれから来る冬の食糧不足を解消したい、温泉の熱で冬でも野菜作りが

出来るんじゃないか?って事なんだがゴールドクラブの皆さんに領主である私も全面協力させて

もらおうと思ってね」


公爵が言うゴールドクラブは商人ギルドのゴールド会員の会の通称だ


「ここの農家の人たちに薬草の知識がある人は居ないんですか?」


「居ないでしょうね、元は川の恵みで暮らしてた人たちが温泉の匂いでブラウンウルフが

寄ってこないのに気が付いて農業を始めたと言っております、温泉も害があると思って

近づいてませんでした」


代官が答える、それなら手つかずのヒール草も納得だ


「それにしてもよく成長してるな」


「大き過ぎるから何かが違うんだろうな」


「何の話だね?」


公爵も生のヒール草は見た事が無いらしい、聞いて来た


「この温泉とやらの周りにびっしり生えてる草、ポーションの基になる薬草の一つですよ

冒険者はヒール草なんて言ってますけど、栽培が出来ない薬草です」


「これがポーションの?、たまたま群生地だったのかな」


「もしかしたら温泉があればヒール草の畑が作れるかもしれませんね、育ちが良すぎる」


「これ種じゃないか?いっぱいあるよ」


ダニーが育ち過ぎたヒール草の先に実ってる種を毟って来た、根元から少し残せば

また生えてくるヒール草にも種はあったみたい


「大発見かもしれないね、馬車の樽一つ、温泉を持って帰ろう」「は!」


公爵が指示を出すと馬車に積まれてる馬の飲み水の樽二つあるうちの一つを温泉に入れ替えて

持ち帰る事にした


「僕らも持って帰っていいですか?」


「ああ勿論、好きなだけ持って帰っていいよ」


パトリックはマジックバッグから樽を出した、なんで樽なんて持って歩いてんだろ?まあいい

俺たちも温泉、種、根っこ付きでヒール草を持って帰る事に


「ヒール!」


「あ?え?アッ痛みが消えた」


護衛の騎士の右肘が悪そうに見えたのでヒールを掛けてみた


「右ひじが前から痛かったんですよ、良く分かりましたね、有難うございます」


「最近なんとなく分かるんですよ」


「毎日数えきれない程、朝からヒール掛けてるけどそのせいか?凄いな、俺もその力欲しい!」


「ダニーは居るだけでみんなの力だよ」


「なんだそれ?目に見える力じゃ無いじゃないか?」


「見えない力も大事なんですよ、今日あなた方を誘って新たな可能性が見つかったのも

見えない力かもしれません」


公爵が上手くまとめたところで馬車に乗って帰る事に


「まずは井戸水で薄めながら撒いてみるのがいいかな?」


とパトリック


「骨スープと一緒か?そうだな薄めよう」


「骨スープとは何ですか?仲間に入れてくださいよ」


と公爵の隣の代官


「サンナとエリアスの双子覚えてますよね?彼らの料理で鉄なべでボアの骨が溶けて白く濁るまで

グラグラ煮込む料理があるんですよ、それを薄めて野菜にやると良く育つんです」


「あの元気な姉弟ですね、みんな元気ですけどそういう事ですか、骨を粉にしたものは

使われてるらしいという話は聞いたことがあります」


「今日は収穫が多かった、やっぱり誘って正解でした」


「他での栽培が駄目だとしても温泉では良く育つっていうのはいい発見でしたね」


公爵も満足そうだ、魔石を消費することなくお湯が勝手に沸いている、これも大きい

砦まで送ってもらうと礼を言われて恐縮してしまう


「では、結果が分れば知らせますよ」


「はい、有難うございました」


鐘を叩くと扉は開いた、まだダンジョン組と屋台組、道場組は戻ってない4時少し前

食堂ではロゼ達がクッキーを焼いている


「お帰り、早かったね」


「ロゼに見てもらいたいものがあるんだけど、いい?」


ヒール草と種をロゼに見せると黙って見ている


「これは今までのより強いよ、いい薬になりそう」


ほっとした、雑草だったらどうしようとふと思ったけどいいみたいだ

プイはロゼの横でお座りしてる、あとは脱走兵に見つからない様に畑の網を除け

根っこ付きのヒール草を収穫後で何もない所に植える


「どのぐらいで薄める?」


「そうだなあ、温泉と水半々ぐらいでコップに一杯?」


「いいだろ、枯れたら枯れたでまた取りに行こう」


三人でヒール草を見降ろし腕組していると


コッコッ コ コッ コケッ!


脱走兵がいつの間にか後ろに居る、慌てて抱えながら畑の柵から出て網を戻す

久しぶりに櫓でお茶でも飲もうって事になり火魔法の練習中のサンナも呼んで4人でお茶を飲む


「ヒール草か、楽しみだな」


「サンナは温泉て知ってた?」


「ああ知ってるよ、風呂入るようになったのも温泉の影響みたいだし」


「サンナの村の人は冬何してた?」


「雪が積もると動けないからね、コートカの温泉宿で春まで遊んでるよ」


「岩塩の町だっけ?温泉あるんだ」


「冒険者ギルドもあるよ、コートカ周辺は雪が少ないから狩りも出来る」


「遠いからおいそれとは行けないよね王都の三倍の距離だっけ?、コートカ」


そんな話をしているとダンジョン組の二番隊が帰って来た、手を振ってる


「柵飛び越えて入って来いよ!」


ダニーが大声で言うとえええ!なんて言ってると思ったらクリスが柵を飛び越えてきた


「嘘だろ?」


4人は驚いた、あの高さは無理だろう普通に考えて

急いで降りて行き扉を開けて8人で入って来る二番隊の元へ


「どうやったんだ?」


「内緒だよ」「なー」


「ムムム、クリスが一人で飛んだわけじゃないだろう?」


「さあ?どうでしょう?」


とぼけるクリス、謎は深まる


「肩車だろ?知ってる知ってる」


「違うなあ」


サンナの肩車は違うらしい


「4人で二本の棒持ってクリスを飛ばしたんだろう?」


「正解!」


そんなこと出来るんだろうか?


「もう一回やってみてよ」


「いいよ」


一本の棒を二人が持ち肩に担ぐ、それが二組、棒二本に飛び乗ったクリス

4人が少し腰を落とし膝と腕の力で高く棒を上げる、クリスは飛んで行った

一見しょうもない、だが結構凄い事をしてる二番隊、盛り上がってる所に屋台組、道場組が帰って来た


「遊んでるし」


マリーが呆れてる


「いや、新しいトレーニングなんだよ!」


「そうそう、崖とかから上がる練習」


「今日の鍛錬も大変だったな」「うんうん」


なんとか誤魔化して食事、外で鹿肉と野菜を焼いて食べる、プイが隣に居るとボア肉は食べずらい

そんな理由で長弓じゃないと厳しい鹿狩りに変えた、長弓は取り回しが悪いものの

遠距離まで強く飛び大物を狩れる


ポロが動いた、多分エリアスだろう

ポロがかんぬきを落とすとエリアスが入って来た


「ただいま、石柵は多分ここの裏まで明日来ると思う、木結構切るから集めた方がいいよ」


「じゃあダンジョン後の狩りは休みだな、木集める方に人回そう」


「賛成!板も欲しいよね、個室も鶏屋組だけだから板も作らないと」


マジックバックに入る大きさで切って製材所に持っていくと丸太を板にしてくれる、おがくずも

鶏小屋に欠かせないからついでに貰ってくる、そんな班分けをし

今日も無事に一日が終わる


温泉かあ、商人ギルドゴールドランクで薬草の他にも色々作れそうだ























お読みいただき有難うございます

PVだけでも励みになります

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