温泉
カンカン カンカン
コッケコッコー!!
砦の時計は5時少し、来たみたいだ
「おはようございます!!」
扉の外には3人、マリーの道場で最後の仕上げに選ばれた三人、みんな棒を持っている
「おはよう、入って、すぐ始まるからその辺で柔軟でもしてて」
「はい!了解であります!」
なんか二番隊みたいだな、顔洗ってこよ
鶏屋組を除く全員が揃うと鍛錬の始まりだ、マリーの道場で柔軟はしていたがサンナ、アリエス
の双子の拷問は始まる、背骨が折れそう
「まだまだ可動域が狭いね」「ああもっとこう!」
「ひいいいい!!」
「オルレイン公爵は何処に連れて行く気なんだろうね?」
「ぎゃあああ!」「まだまだー!」
「多分、また断れない仕事の話なのは間違いないと思うな」
「ぐああああああ!」「これぐらいで大袈裟だなハハ」
「そんなに遠くは無いらしいけど、不安だな」
柔軟と今日の予定の話をしてる所で、運び屋当番のレオンが出ていく
「行ってくる!ポロ、いい子にしてるんだぞ」
「おう!気を付けて!」「いってらっしゃい」
子分のプイは食堂でロゼと一緒だろう、ポロだけが回廊の上でレオンを見送る
双子の柔軟体操と言う拷問が終わったところで回廊階段8周だ、道場の3人はここからが本番
ヒールを掛けながら逆回転してる俺は苦しそうな顔で遅れてる3人の顔が良く見える
道場で優秀でもここではそうは行かない、足音も無く次から次へ抜かされ周回遅れに
ヒールで回復しても階段は容赦なく足腰に負荷を掛け続ける
「ほらほら、遅いよ!」
マリーの檄が飛ぶ、足がもつれて転んでも容赦ない
「ヒール!」
むくっと起き上がるとまた走る、これが一週間で晴れて冒険者の仲間入りだ
マリーのお墨付きが欲しくて3人は必死だ、3人にヒールを掛けて棒術の型稽古と木剣の素振り
仕上げのヒールを掛け、みんなで風呂に入ってから3人は普段の建設現場に戻る
ーーー食堂ーーー
「いただきます!」
皆で朝食を食べながら好き勝手に話し始める、執事のオズワルドさん達の顔色がいい
「回廊じゃなく、階段も走ったらどうです?」
「いやいや、若い人にはついていけないし邪魔でしょ?」
「そうかな?ここに来た頃より若くなってる気がしますよ」
「ハハハ揶揄わないでください」
食事も終わり、エリアスは公務、魔物除けの魔道具を仕込みながら石柵を作ってるらしい
二番隊はダンジョン、サンナが同行する
道場はマリーとエドにポロ、よこしまな目的で行くのはポロだけ、鉄柵越しに
こども園の女の子ロバを見に行く
「昼まで時間あるよな、道場に行ってみる?」
「そうだな、そうしよう」
俺とパトリックも道場に、運んだヒヨコも見ておきたい
屋台組と道場組で砦を出る、マリーは大会で貰った棒を持っている
「重いとか言ってた棒使ってんだね」
「棒術やってる人間が見たらおっ!!ってなるらしいよ」
「あんまり俺らのと変わらないように見えるけどなあ」
「クルミとは明らかに違うね、でも俺らが今使ってるのも硬いし重いけど」
「棒にもランクみたいなのがあるのは面白いね」
屋台組とも別れ道場に着いた、門は開けっ放し厳禁だ
ポロは急遽作ったこども園が見える柵の中へ、女の子ロバの姿が見えなくて右に左に走ってる
「先生お早うございます!」
「おはよう」
「マリーが先生と呼ばれてるのは不思議な感じだね」
「うん、でも朝の子供には優しく教えてるよ」
「そうなんだ、朝の子供にはって言うのは?」
「午後は厳しいね、大人も交じってるし新米冒険者も居る」
朝は新市街とこども園の子供たち、小さい子ばかり、午後はより実践的になる
エドとパトリックでマリーを観察しながら喋ってると稽古の始まりだ
子供用の棒は砦商会からの寄付だ、みんな持ったまま道場の周りを走ってる
「ここにも階段あった方がいいんじゃないか?」
「うーん、小さい子も居るしなあ」
「ちいさな段差ぐらいなら良いかもしれませんね」
さっき来たギルドの人も会話に参加する、今は2人来てるか?裏にも居そうな気はするが
「いっそ土の山にしたら?」
「それだ!」
パトリックの一言にギルドの人とハモった、鶏小屋も見に行く
「あと3か月ぐらいで卵産む?」
「もっと早いかなあ、鶏とヒヨコの中間ぐらいの大きさの鶏が200羽、凄い数だ」
卵が売れれば小麦が買える、小麦があればパンが焼ける、飢える事は無い
道場内では型稽古が始まった、エドもマリーも熱心に教えてる
「そろそろ戻ろうか?公爵待たせてたら大変だよ」
「そうだな、ポロは向いのロバに夢中だな」
「逆に可哀相な事してないか?ポロに」
「うん、何とかしなければ」
広場は何時も賑わっている、紙芝居、人形劇、吟遊詩人に楽器を演奏してる者
ここは何時も平和だ、真ん中にある時計は11時と半分、砦に戻ろう
「木柵の上にプイと脱走兵いるね」
「ポロが居ないから探してるのかな?」
「プイ、かんぬき開けれる?」
扉の前まで行くとプイが「プイイイ、プイイイ」言ってるがまだ、かんぬきには届かないようだ
「大きくなったらポロみたいに開けてくれるのかな?」
「さあ、どうだろう?トイレも覚えてるし賢いから開けるかもな」
ダニーが開けてくれた、また背が伸びたか?「おかえり」「ただいま」中に入る
新しい方の砦の区画では第一騎士団の人が2人、馬に乗ってる、ロゼは神殿に居る事になる
「ダニーもオルレイン公爵と一緒に行く?上等な馬車に乗れるよ」
「そうだな、俺も行くわ、まだまだ見て歩きたい」
ーーー食堂ーーー
二番隊と年少組で早めの昼にする、ロゼも戻って来た
二番隊は4人一組でダンジョンなので二人か三人は必ず余る、その余ったメンバーが留守番で炭作ったり
砦の中の仕事をしている、大半は魔道具に変わったが鶏屋では炭で肉を焼く
その方が美味しいし、いい匂いに誘われて客も良く入る
食事も終わり、ロゼがプイに芸を教えてるのを眺めてると公爵が来た
カンカンカン
「ごきげんよう、では行きますか?」
「はい、三人なんですけどいいですか?」
「構いませんよ」
ダニー、パトリック俺の三人は公爵の馬車に乗る、馬車の屋根には何かが乗ってる
今日も護衛は騎馬で4人、前後に分かれて馬車を挟む
「何処に行くんですか?」
「着いてからのお楽しみです、新しいこども園は見ましたよね?」
オルレイン公爵が聞いてくる
「はい、結構大きいので驚きました」
「ベネディクト神父のこども園は今4つ出来ています、子供たちが働けるように面倒見る気なんですよ
読み書き、計算、道徳、歴史、教え育てる施設です、まだまだ増えますよ」
「寝床と食事だけじゃないんですね」
「はい、親元から通ってる子供も居ますよ、孤児院だけではないんです」
「なるほど、それであんなに大きいんですね」
「寄付金も集まってますからね、最初の試練で亡くなる子供も激減しました、人が多すぎる都市や
小さい集落じゃ分からないでしょうけど、全員顔見知りの様な村では子供が亡くならなくなったのは
すぐ分かりますからね、それにダンジョンの配当もある」
「ギルマスが言ってましたね、多くを得ている者には多くの責任が伴うってやつですか?」
「そうです、古くから言われてますね、1億ゼニーの金の馬車を金持ちが買うのは悪しき行い
とされます、金細工の職人、鉱山で働くものは収入を得てますね?でもそれじゃあ駄目なんです
金は減り値上がりし魔道具の部品も生産が滞る、魔物除けの魔道具が届かないせいで村が滅びた
、こんな事になる様な使い方は悪なんですよ、最近流行りの例え話です」
ダニーとパトリックは真剣に聞いている、これは前振りだろう
「金持ちが私利私欲だけでお金を使うとどうなりますか?」
「貧富の差は広がり戦争になるでしょうね、お金は水と一緒です、ため込んで流れが
無くなれば腐ります、私利私欲に生きる者は貯める行動も同時にしますからね
ため込まれて腐った水は、本来庶民の生活で回っていたお金です」
なるほど、分かったような分からないような、外を見ると大分大河を上ったようだった
「馬車の上に魔物除けの魔道具付けたんですよ、走る事で魔物が街道に近づかなくなる
効果があるとか、これで街道も安全になります、金だけでなく人や物も流れが必要なんでね」
「あれ魔道具ですか、何付いてるんだろうと思いました」
馬車は街道を外れ山の方へ、畑では野菜を収穫しているが家は数十ってところかな?
何が見せたいのか神父の甥っ子は
「ここなら馬車の魔道具が効きそうですね」
「ここは広い範囲で接地済みだから馬車のは無くても平気です、予定地なんで」
パトリックに答える公爵、やっぱりだ
「なんか臭くない?」
ダニーが言い出す、俺も気が付いてたが言えなかった屁のような匂い
「着きましたよ、降りましょう!」
そこは臭くて湯気が立ち上る不思議なお湯の泉だった
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