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新しい仕事

コッケッコッコー


砦の時計は5時、何度柵に戻しても逃げ出す雄鶏〈脱走兵〉に起こされ

砦の一日は始まる、ダニーから〈脱走兵〉に引き継がれた起こし役だ


「おはよう!諸君、今日も張り切っていこう!」


4年間、寝だめしていたダニーは朝から元気だ、気だるい感じで斜に構えてた

かっこいい兄貴のイメージはもう何処にもない

ポロとプイの後ろを追いかける脱走兵、虫や雑草を食べるので誰も鶏柵に

戻さなくなった


「今日はギルマスと代官来るんだって?」


「なんかそうみたいだよ、オルレイン公爵の腹心とギルマスの組み合わせは

断れない相談ばっかりだよな」


サンナとパトリックがそんな話を始めるとレオンは運び屋当番で出ていく


「じゃあ行ってくるよ」


「早いんじゃないの?まあ気をつけてな!」


「行ってきまーす!」


「でさあ、話って何なんだろうね?」


「うーん、分からん見当もつかないな、ギルドと領主の組み合わせか、、」


回廊階段の走り込みが始まる、俺だけ逆回転でヒールを連発するが

俺だけきつくなったような気もする、他のメンバーはスピードが上がってる

回復するから当然なんだけど、それでも明らかに速くなった

俺が階段の下になった時は頭の上を飛び越えていく者も多い


「型始め!」


「12、、3! 12、、3!・・・・・」


棒術基本の型は決まってる、棒を地面に着いて繰り出す足技は型ではない

終わると木剣の素振り、これが腕に堪える、終わると全員にヒールで朝風呂

プイが気持ち良さそうに洗われてるのをポロと脱走兵は見てるだけ


 ーーー食堂ーーー


「今日も300?」


「うん、商売敵も頑張ってるからこれ以上は無理かな?」


「ゆで卵は好評なんだよね?30個だっけ?まだまだ卵が少ないからなあ」


農村出身のコリン、ジョナサン、ピーターと屋台の話、彼ら3人が屋台専門に落ち着いて来てる、ダンジョンが合わないなら丁度いい

屋台の仕込みと朝食料理は同時進行、仕込みが終わる


「いただきます!」


9時少し前、食べ終わると屋台組は砦を出て行った、アル兄ィ達は鶏の店の話


「王都から1日で届くようになったカニも好評だな、仕入れ値は高いけど

あれだけ美味かったら売れるのも当然か?」


「自分達が食いたくて始めたけど、売れるもんだね」


ジャンさんとアル兄ィ、大浴場が人気なせいもあって店の前は人通りも多い

、客は途切れない

この後、捌いた鶏を持って店に行く毎日


ロゼはお付きの4人を連れて地下通路から神殿に行く、何をしているのかは

一切分からないがロゼは楽しんでるようなので誰も深くは聞かない


カンカンカン


「ギルマスたち来たみたいだね」


「ああ、行ってみよう」


パトリックと俺で扉を開けるとオルレイン公爵家の紋章の入った馬車に

護衛の騎士が4人、代官とギルマスだ


「こんにちは、どうぞ」


「お邪魔しますよ」


「ここはいつ来ても賑やかだな、ん?悪ガキ3人は悪い魔女に

ロバとボアと鶏にされたのか?」


新訓練所側からクリス、エド、サロモが顔を出す


「あっギルマスだ!」「ほんとだ!」「何しに来た?」


「ああ、そっちが本物か」


とギルマスギャグが終わったところで食堂の一角に作った事務所に

入ってもらう


机が4つ、向かい合わせで長椅子が二つテーブルが真ん中にある、二人に座ってもらうとマリーが紅茶を持ってきた


「順調なようですね、商会の仕事も」


「ええ、お陰様で、今日はどういった用件なんですか?」


「特に新市街なんですが子供が流れて来てまして、建築工事で働いたり

しながらテント村で生活してるんですが建築が落ち着いてきたら

働き口に困るんですよ」


と代官が言うと続けてギルマスが


「ダンジョンで稼いでもらってもいいんだが、未経験のままダンジョンはな」


いまいち話が分からない、口を開こうとした時、代官が地図を出した


「それでですね、ここの空き地に無料で寝泊まり出来る施設と併設して

訓練所を作るというのはどうかなと思いまして」


村や集落では7才や8才で普通に子供も働かされている、都市ではまだ経験も

力もない子供は真っ先に仕事を失う、帰れない、仕事が無い子供は

スラムを作る


「結構広いですね、周辺は住宅地ですか?」


「はい、あえて住宅街のど真ん中です、広場を挟んで店や大浴場の

反対側ですね、広さはここの初期の頃より少し狭いぐらいです」


パトリックが聞いてみるとそんな返答、確かに木柵内と似たくらいだ


「鶏も育てませんか?ヒヨコから肉になるまで45日です、それと牝鶏、卵を

産む鶏は雄鶏みたいに五月蠅くないですから、

食費にはなると思いますよ」


食べれればスラムは出来ない、屋根もある


「訓練所は棒術教えればいいですよね?第一第二階層なら棒でいいし

うちには棒術の師範も居ますから、子供の部ですけど」


俺の机に座って紅茶を飲んでたマリーが噴き出す


「マジで言ってる?アレン兄ィ!」


「棒おじさんがここで道場やりたいなら来いって言ってたよね?」


「やはりここに来て正解でしたな」


「そうですね、じゃ雇用対策もあるので建物と鶏小屋はこちらで

用意します、鶏小屋の作りは大工をこちらに連れてきますよ」


「昔の隣国の王ケネディールがこんな事言っていたそうだ

『多くを得ている者には多くの責任が伴う』ってね」


上手い事言ったような、したり顔のギルマスと代官は帰って行った

ダンジョンの取り分を知ってるギルマスと代官、恐るべし


「マリーは師範やるよね?」


パトリックが聞くと渋々な口調でウキウキな表情のマリーが答える


「しょうがないなあ、ダンジョン行ってない代わりに道場で稼ぐか?」


早い方がいい、棒おじさんの所にマリーを連れて行く事に

税を納める予定だったのはパトリックに任せ、クッキー作りに参加していない年少を乗せたロバ車をポロに牽かせ広場へ

マジックバッグを手に入れてから荷車を使わなくなったのでパトリックが人乗せる用に改造した椅子付きだ、プイと脱走兵は留守番してもらう


仮の門をくぐり広場に着くとパトリックはそのまま旧市街へ

ポロは屋台の裏で待ってて貰い、マリーは隣の棒の屋台、俺は年少4人連れて

広場を見て回る


「あれ観たい!」「どれ?」


年少の足は紙芝居で止まった、ちょうど始まるところだ

演目は【飛べない竜とおじいさん】


【あるところに飛べない竜の子が居ました、仲間外れにされて泣いている竜、そこへキノコを採りに来ていたおじいさんがやってきました】


「ほう、子供たちも食いついてるぞ」


『どうして泣いてるんだい、竜の子よ』おじいさんは竜の子に聞きました

『ボク飛べないから仲間外れにされてるんだ』竜の子はそういうと、また泣き出しました

『じゃあおじいさんの家に来るかい?』とおじいさん

『いいの?』一人ぼっちで淋しかった竜の子はおじいさんについて行きました

『爺さん、竜の子なんて拾って来て食われるよ』近所の人はいい顔しません

『ボク居ていいの?』竜の子は心配しています

『いいんだよ、好きなだけ居てくれて』おじいさんがそう言うと竜の子は元気になりました

月日は流れたある日

『誰か!助けて!!』村の人が騒いでいます、おじいさんと竜の子は外に出ると

『オークだ!オークが来た!』村がオークに襲われています

『おじいさん僕行ってくる!』竜の子はそういうとオークに向かっていきました

するとどうでしょう、飛べなかった竜の子は空を舞いドラゴンブレスを吐くとオークを倒してしまいました

『ありがとう、竜の子のお陰で村は助かった』村の皆が言いました

『おじいさん、ボク飛べたよ』竜の子が言うと

『良かったね、皆の所に帰れるよ』とおじいさんは言いました

『ぼくはここがいい』そう言う竜の子はおじいさんと一緒にずっと暮らしたそうな

めでたし めでたし


「何見てるの?紙芝居って何?」


とマリー、突然話掛けられてビックリした


「子供たちが見たいって言うからさ、師範の話は終わったの?」


「うん、教える内容書かれた本が届くらしい」


紙芝居屋さんの投げ銭箱に一枚入れて年少連れて屋台に戻る


「私も竜の子拾ってこようかな」


年少がおそろしい事言いだす、ポロにプイに脱走兵だけで十分だよ

ロバ車に子供たちを乗せ、ロイズベーカリーでパンを買って帰った


砦商会の仕事は増える一方だ




















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