騎士団に勝ったのは内緒
コッケッコッコー!!
やけに近い鶏の声に起こされた朝、部屋を元気に出ていく人影
カンカンカン
ダニーが鐘を叩いている、砦の時計は5時、みんな強制起床だ
今日でダニー復活から1か月、夜はお祝いパーティー色々忙しくなる
「おはようみんな、さあ今日もがんばるぞ!」
一斉に朝のルーティンが始まる、砦の朝は早い
鐘の音で起こされるロゼのお付きのオズワルドさん、メルビンさん
、ロジャーさんまで鍛錬に参加している
と言っても回廊階段の上り下りはキツい様で回廊の上だけをランニングする
柔軟から始まり、回廊階段8周を熟し、棒術の型稽古、木剣の素振りは
全員参加
風呂に入りに行く前に全員に俺がヒールを掛ける事が追加になった
「ヒール!」ヒール!」「ヒール!」・・・
全員掛け終わると自分に掛けて風呂だ、汗流した後の風呂は気持ちいい
「俺のランクはどうだろうな、Fだったら悲しいな」
湯舟に一緒に浸かってるダニーが言い出す、そんな事は無い気がするが
「初登録は強くてもEランク止まりらしいから、あんまり落ち込む
必要は無いよ」
ここのギルドも王都の様にランクを測定する部屋が出来た
今日は王都に行ってないサンナ、12歳未満のコリン、ジョナサン、ピーター
と駄目元でダニーも行く事になった
エリアスはランクはどうでもいいらしい、公務も忙しい
皆がダニーを呼び捨てにするのはダニー兄ィじゃ変だし、本人もダニー
でいいというのでダニーになった
4年間、時間が止まってたダニーを呼び捨てにしても今の体格差なら違和感がない
キー兄ィが自分の次のリーダーに指名するはずだったダニー
ーーー食堂ーーー
ひと回り大きくなったプイは朝食の準備をするロゼの後ろで
短い尻尾を振っている、トイレも覚え、噛むことも無く雑草も食べる
いい子だ、食堂の窓から首だけ入れてる野菜しか食べないポロとは大違い
まあ野菜あげてるのは自分達なんだからしょうがない
「パン生地は今日も300?最初200だったよな」
「ああそれだけ人も増えてるしな、砦印の肉パンは毎日人気だよ」
トレードマークが最近できた、長丸の中に砦の絵が入った砦商会の商標
証人と冒険者の本格的な二枚看板が始まった
仕込みも終わり朝食を食べ、屋台組はマジックバッグを背負い屋台へ
ランク測定組に面白そうだからついて行くことにした
午後からは第一騎士団に呼ばれてる
「ポロ、プイに色々教えてやるんだぞ!」
ポロとプイをみんなで囲んでワイワイやっていると時間になった
砦マークの外套を着た屋台組とランク測定組10人で街へ向かう
「神殿はあれで完成なのか?」
「そうみたいだよ、一般は普段は入れないんだってね」
「教会と神殿の違いが良く分からんな」
ダニーとそんなやり取りをしていると一人燃えてる女が居る、サンナだ
「あたしはAを目指してるからね!」
事実上の最高ランクA、Sランクと言うのもあるらしいが国を救うぐらいの
活躍をしないと貰えないらしい
「火魔法も調子いいんでしょ?いけるかもね」
屋台に着くと窯の火起こしを魔法でサンナがあっという間に終わらせる
こういう時は凄く便利だ、双子の弟と同じくコントロールがいいのか?
「さあいくよ!」
サンナに急かされゾロゾロついて行く、冒険者ギルドの中に入ると
すごい人だ、昨日のダンジョンの魔石を換金してる者が多いかな?
「あれ?ここで会うのは珍しいね、この後屋台寄ってからダンジョンだ」
「おはようございます、ランク測定について来ただけです、冷やかしですね」
「そうなんだ、鶏料理の店出来たら行くからね、酒も出すんだろ?」
「はい、勿論です、エールと葡萄酒は用意しますよ」
「じゃあしっかり稼がないとな、行ってくるわ!」
そう言って移住組の冒険者たちはギルドを出て行った、屋台の客を
鶏料理の店に誘導する準備は怠らない
「地下だって、行くぞ」
受付が終わった全員が寄って来た、地下に行くと王都のギルドみたいに
一人いる
「あたしから行ってくるよ」
サンナが入っていく、水晶の丸い玉に手を乗せた後、自由に飛んでる
球を壊すだけの簡単な作業だ、ダニーたちと喋っているとサンナが出てきた
「Bだった、A欲しかったなあ」
とは言ってるが満足そうだ、次々入っていく
コリン、ジョナサン、ピーターは揃ってEランク、これは驚きだ
棒術大会上位独占した4人と一緒、鍛錬の成果か?
ダニーも終わって出てきた
「おれもEランク貰ったぞ!」
これで冒険者の数がリンリオパーティーで19人、独立パーティー
のアル兄ィパーティー4人にジャンさんも入れると総勢24人
大所帯になったもんだな
一階のカウンターに戻り登録が完了する
「これが冒険者タグか!」「大人になった気がする」
大人と子供の区別も曖昧なこの社会じゃ冒険者は大人と言われる
みんなでクエスト掲示板を見てると角うさぎ討伐依頼があった
「ウサギかあ、そういや食ってないな」
サンナがそう言うと皆も行く気になりクエスト受注
屋台組のマジックバッグを借りて5人は出発することになる
騎士団へはまだ行くのには時間が早い、新市街をぶらぶらする
大浴場の周りは宿が多い、一泊いくらで先払いが宿、月いくらで先払いが
借家、貸間、その差はほとんどない
そのまま通り過ぎると一軒家が目立つようになる
仮の石柵に突き当たる、これはあくまでも仮だ、この先も三倍ぐらいは延びる
もう一本旧市街から見て外側の通りを戻る、貴族の屋敷かな?って思うような
広い敷地に回された石と鉄の柵、第一騎士団のオルレイン領拠点
門番が2人、声を掛けられる
「あれ?まだ早いですよね」
「はい、新市街を見て歩いてます、後で来ますので」
「そうでしたか、お気お付けて」
顔は覚えられてるみたいだな、良いのか悪いのか
傍に騎士団が居るのは安全なのか高級な感じの家が多い気がする
このまま進めば屋台のある広場、商会の店舗も結構多くなってきた
パン屋があったので屋台に6個差し入れして1個は自分用、広場のベンチで
パンを食べて広場の反対側を見てきたら調度いい時間になった
「こんにちは」
「お持ちしてました、どうぞ」
さっきまで居た人とは別の門番に案内される
「隊長、お連れしました」
「ご苦労、戻っていいよ」「はっ」
「初めまして第一騎士団オルレイン支部A隊の隊長を
任されてるベルガーです」
「初めましてアレンです」
「聞いてるとは思いますがA隊だけヒーラーが欠員なんですよ、
訓練の時だけお願いしたいというわけです」
「はい、5日に一回午後だけでいいんですよね?」
「はいそうです、裏が訓練場ですので早速」
「はい、ここは広いんですね」
「アレンさんの砦ほどじゃないですけどねハハ」
裏に行くと30人程訓練の真っ最中、椅子が用意されて隊長と二人並んで座る
「槍、剣、体術と走り込みが4日目、非番の前に日に行われます」
「普通の勤務が3日続いて、訓練日、休日で5日ですか?」
「そうですね、それを隊毎に回しています、走り込みや筋力をつけるのは午前中、より実践的な午後が怪我し易いという訳です」
「なるほど、、、」
ヤバい、会話が続かないと思っているとケガ人が出た
頭に木剣が当たって倒れてる、走って治療
「ヒール!」
「あ、ありがとうございます」
席に戻ると
「お見事ですね、一瞬で元通り」
隊長は満足なようで一安心、でも稽古の様子を食い入る様に見つめてる
「あれがA隊の剣技一番の者ですよ」
摸擬戦中の一人を指さすので動きが気になる、左右どっちからくるか分からない棒より避け易そうには見える
「木剣と棒術ならどっちが強いでしょう?」
剣技に夢中だった俺は無意識に棒でしょうねと答えてた
我に返って隊長を見ると笑顔だ、だけど悪い予感がする
「手合わせしてみますか?」
何言ってんだろう?確かに俺の左手には棒が握られてるが
「止め!」
隊長が練習を中断する、さっきの一番強い人が呼ばれ隊長は俺を呼んでいる
しょうがないので背中の剣を下ろし棒一本で歩いて行く
「ルールは寸止め、棒術の足技はアリでいいな?」
相手は「はい」と返事をしている、正気か?
「いいですよ」
「始め!」
水平に持ってから前に出る、相手は右利きだ、ほら来た
棒の左側で力いっぱい木剣を叩いてやる、上げさせない、突きの動作に代わる
体を左に避けながら今度は右側で叩くフェイントを入れてから左側を眉間前で止める
「勝負あり!」
おおおお!っとどよめきが起こる、勝っちゃったのか?大した事してないぞ
そそくさと席に戻ると隊長が笑ってる
「よく見切ったな、お見事」
その後もヒールを何回か使い回復役の初仕事は終わって砦に戻る事に
どっと疲れた一日だった、騎士団に勝ったとは言わないでおこう
砦に戻るとみんな居る、パーティーの始まりだ
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