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砦の休日

「コッケコッコー」

 「コッケッコッコー」コッコー」コッケー」


砦の時計は5時、ダニーが帰ってきて2度目の日曜日の朝が始まる


カンカンカン


ドアの前にある鐘よりちょっと音の高い鐘を叩いて全員起床だ


「おはよう、誰だあの鐘買って来たのは?」


「ダニーだよ、ほら」


回廊の時計の隣の鐘を叩いて、全員出てくるのを見て喜んでる悪ガキは

ダニーだ、冒険者ギルドの傍の古道具屋で見つけて買って来た


「ダニーならしょうがないな」


レオンも諦めムードだ


風呂場で顔を洗い歯磨きすると鍛錬は始まる

柔軟の鬼、双子のサンナ、とエリアスがやる気を無くすくらいダニーは柔らかい


「ダニーはつまらんな、柔すぎる」


「痛がるのを喜んでたのか?残念だったなハハハ」


サンナとダニーは気が合うようだ

エスコ、タビー、ヴェサ、クスターのダンジョンの拷問を受けた4人は

納得できない顔をしてる


8周の回廊階段と棒の型稽古と木剣の素振りを終わらせ風呂に入る


「いやあ、ほんと風呂はいいな」


「うんうん」「汗かいた後に入る風呂は格別だ」


 ーーー食堂ーーー


今日は屋台のメンバーはジャンさんとアル兄ィたち4人の鶏屋メンバー

新訓練所側で鶏を〆て食堂で半身にして付け合わせのパンを焼く

ダンジョンは休みなので冒険者は新市街とその周辺に居る

鶏料理の店を開ける前に屋台で様子を見る事になった


「焼きと揚げどっちが売れるんだろうな?」


「俺は焼きだと思うよ、鶏肉焼いてる匂いは嗅いでるだけで腹が減る」


ジャンさんとアル兄ィはいいコンビだ、商売に目覚めたらしい

仕込みが終わりみんなで朝食、100人は余裕で入れる食堂も仕切りを付け

一部事務所になったが、まだまだここの人数じゃ余裕がある


「食べながら聞いて、今日はこども園のこどもたち呼んでるから仲良く

遊ぶように、いい分かった?」


「分かったー」


窓から顔入れてるポロも分かったのかな?目が合う

食事が終わるとちょっと早いが鶏料理組は出発した、年少達と鶏に餌をあげて

馬車で出発する、鶏料理組には追い付けなかった


旧市街の門は開けっ放しになり仮の柵の門前に門番が居る

手を挙げるだけで素通り、こども園に着くとみんな表に居る


「おはようございます神父様」


「おはようございます、今日は子供たちがお世話になりますね」


「夕方には戻れますのでお預かりします」


「シスター2人と子供が21人ですね、乗れるかな?ちょっと

狭いかもしれない」


馬車の階段は跳ね上げ式だ、降ろすと一斉に乗り込む


「ポロ居るんだよね?」


「勿論居るよ、もう一人いるけど着いてのお楽しみ」


「えええ?」


子供たちの反応が面白い、子供たちはプイを見た事が無い

ベネディクト神父に見送られ砦に戻る、馬車の中は既にテンションが高い


「あのへんな形の何?」


子供たちの一人が指さしたのは大浴場だ、みんな見てる


「あれは大きなお風呂だよ」


「へえええ」「何だ風呂か」


反応は様々だ、今度連れていくかな?でも溺れでもしたら大変だな

ヒールじゃ飲んだ水は出ないよな?なんて考えてる内に砦に着いた


「なにここ?」「おっきいいね」「あっポロだ!」


扉を開けて待っているポロ、足元にはボアの子プイが居る


「なんかいるー!」


大騒ぎの子供たち、外に出てもプイはポロから離れる事は無い

階段を降ろし、みんな降りるとプイを凝視している


「咬まない?」


「大丈夫だよ、持ったら暴れるから持たない様に、中に入ろう」


シスター二人に導かれ子供たちは何とか全員砦に入った、危ない物がある詰め所、

風呂は入れなくしてある

砦の年少組と一緒に砦の中を見て歩く子供たち、何もかもが新鮮なはず


ポロとプイも付いて歩く、今日の遊び相手だ

3倍に広がった砦は遊び場にも最適だった、ちょっと回廊が危ないか?

屋台に行った5人以外全員居るんだから問題はないだろう

俺も居るしロゼも居る


「子供たち楽しそうだな、こども園じゃ遊ぶ場所もあんまりないから

大はしゃぎじゃない?」


マリーはサンナと腕組しながら回廊の上に居る


「そうだな、ここはロバも小ボアも鶏も居る、それだけで飽きないだろう」


「うんうん」


「エリアス、仕事の方は何してるの?」


今日は休みのエリアスに聞いてみる


「新市街の真下に居るよ、トンネル作ってる」


「トンネルって何?真下?」


「土の中の長い道、それをトンネルと言うみたい、川の上流から水を流して下水を集めるトンネル、新市街は臭くないでしょ?あれは地下にトイレや排水を集めて流してる」


「へー、凄いね、そういや屋台の水も穴からどっか行ってるよね?」


パトリックが言うと頷くエリアス


「ダンジョンみたいになってるよ、新市街の地下は」


「なるほどねえ」


新訓練所の棒術ステージでは二番隊にダニーも混ざってる

それを見ている年少達、寸止め形式で練習しているようだ


砦商会は一つの問題を抱えていた

鶏料理の店で毎日出す鶏の数、日に100だとしたら月3000羽要る計算になる


「鶏どうしようか?」


「それなあ、ヒヨコ屋さんは大人の鶏を大量には無理なんだろ?」


「ああ、家で雑草や虫対策兼ねて大人になったらご馳走で食べるっていうのでヒヨコのうちに売れる」


「それで鶏になる前に売れちゃうと?」


「肉に出来るまでの鶏はお得意様が鶏肉料理用に買っていく、王都と違ってここじゃ高級品の部類だ」


「なるほどなあ、王都の店は鶏どうしてるんだろう?」


「多分輸入ですね、獣人の国でしょう」


と言ったのはセバスさん、商家の生まれだ


「小麦粉安いでしょ?獣人の国は魔物が極端に少ないから畑が荒らされない

畑が荒らされないって事は鶏も襲われないんじゃないかと思います」


「この辺の農家が鶏なんか飼ったら魔物呼ぶようなもんだよね」


「なろほど、じゃあ逆に魔物の心配が無くなればこの辺の農家に

育ててもらうのはアリか?」


「魔道具と魔石の補充をこっちでやってさ、畑の安全の代わりにヒヨコを

育ててもらう?」


セバスさんが話し出す


「それじゃあ鶏を他所に売られたりしない様にした方がいいですね

魔道具と魔石はそれなりに設定して契約、それだけでは高額なんだけど

鶏を育てて戻すと利益になるような契約って感じですか?」


「まず農家に魔道具を売りに行く、高くて買えないよって言われたら

ヒヨコを育ててくれたら無料以上、新たな収入源になりますよって

話で」


「魔道具が間違いない物だと分かれば鶏も飼いやすいでしょうね」


「僕、明日代官の所に行ってきますよ、領主から補助金出る話になって

ないか聞いてきます、オルレイン公爵の事だから普及しやすい策ぐらい

何かしてるはずです、値段も分かるはず」


「魔物除けの魔道具ってまだ秘密じゃなかった?」


王都では魔道具研究所で他言無用のエリアまでは入ってる外部には漏らせない

ここの人間にはいいだろうと喋ってしまってはいたが


「内緒なのは魔物除けの一歩先の使い方じゃないの?」


「とりあえず僕は代官に会いに行きますよ、公爵が戻る予定無いなら

オルレイン公爵に手紙書きます、毎日書類は送ってますので

混ぜてもらいます」


とセバスさん、頼りになるなあとみんな思ってる顔だ

鶏肉問題に光は差してきた


そろそろお昼の準備をしないと、焼き肉でいいよね?って話になり

昼から焼き肉になった、野菜も畑にある


食堂で肉を切っているとプイとポロが子供たちと一緒に見てる

ボア肉を切る俺たち、プイと目を合わせるのは何か後ろめたい気持ちに


肉の準備は全員無言になった


焼き肉コーナーで昼食は始まる


「酒飲みが全員屋台で子供が多いから健全な焼き肉パーティーだな」


「そうだね、でもサンナこの前エール飲んでなかった?」


「あれはただの味見がハハハ」


同じ顔の双子の会話を見て、こども園の子達が不思議そうな顔をする

ここの子もはじめは同じだった

食べた後はみんな昼寝をして、起きたら絵本の読み聞かせをシスターがしてた


日曜日はこれでいい


















お読みいただき有難うございます

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