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商人にもなるそうです

要塞に引っ越して初めての朝だ

外からレオンの大声が聞こえる


「おはよう!新兵諸君、鍛錬の時間だ!遅れずついてこい!!」


「了解であります!レオン隊長!」x3


レオンに捕まったのは早起きメンバーのクリス、エド、サロモ達だ、ロゼリアはマリーの助手としてパンを焼いている


「いいかお前ら!倉庫で埃を被っていた、その木剣は剣士の命だ!粗末に扱うなよ!」


「了解であります!レオン隊長!」x3


回廊にはいくつも階段がある、登って降りてを繰り返し一周出来る形だ


「どうした!クリス訓練兵!!遅れてるぞ!!」


「クリス!頑張れ!」


この一言が失敗だった、二階の窓から他人事で豆茶を飲みながら見物していた俺がバカだった


「おい!そこのアレン一等兵!貴様が新兵の手ほどきをしないとは言語道断、木剣持ってすぐ来い!」


こうして、この砦は本来の使用目的通りに使われたのだった


水浴び場で、公爵夫人から貰った石鹸を使い体を洗い、食堂に入ると薄く平べったく焼かれたパンの上には少しの干し肉と野菜、チーズがいい感じに溶けていた

新兵三人の様子はというと満足げな顔をしている


この後の予定はレオンは留守番というか鳥小屋作りの材料集め、斧は倉庫にあったのでそれを使う

パトリックはクワ、スコップ、のこぎりと野菜の種を買いに、俺は商業ギルドに登録に行くのとヒヨコの仕入れだ

ロゼがヒヨコ見たいというので俺が連れて行く

市街に入る門までは一緒に行く


「朝から鍛錬始めたんだって?全然気が付かなかった、夜考え事してる時間が日に日に長くなるから起きれないんだよな」


「階段の上り下りがあんなにきついとは思わなかった、パトリックも明日から強制参加だからな」


「レオンの鬼教官っぷりを是非おまえにも体験してほしい」


「不安だが俺だけ参加しないわけにもいかないしな、強くならないと生き残れない」


「そうだな」


「ロゼはヒヨコ見たことある?」


「ないよ、スズメの子供なら見たことがある、毛生えてなかった」


「ヒヨコはね、生まれた時からフサフサなんだよ」


「早く見たい」


門まで来た、帰りはそれぞれ、待たずにまっすぐ帰る事にした

まだ一軒も開いてない時間の屋台街って初めてかもしれないな


「ロゼ、あれが商人ギルドの建物だよ、おっきいね」


「しょうにんぎるど?」


「あそこで登録してれば卵売ったり鶏肉売ったりできるんだよ」


「ふーーん」


入ってみると冒険者ギルドとあまり変わらないな


「新規登録したいんですけど?」


と言って冒険者ギルドのタグを見せる


「かしこまりました、控えさせて頂きますね」


何やら台帳に冒険者登録番号やら名前を書き写している


「カードが出来上がるまで、少し時間がかかりますので、そちらでお待ちください」


手で椅子の方へと促される周りを見渡しても冒険者風のは居ないな、

露天商や商会っぽい人ばかりだ


「あら?ゴブリントリオじゃないの!何してんの?」


恐る恐る声のする方を見ると串焼き屋の隣の八百屋のおばさんだった、正直会いたくない人の一人だ


「新規登録に来たんですよ、卵と鶏肉が上手くいったら売ろうと思って」


「あらそうなのかい?随分立派になったもんだねえ、お嬢ちゃんリンゴ好きかい?これあげる」


「あっありがとうございます、街の外に引っ越したんですよ、鶏育てる環境も出来たので生活の足しになればと」


「ほんと、あんたたちは立派だよ、レオが気に掛けるだけはある」


「レオ?」


「おや知らなかったのかい?串焼き屋のおやじの名はレオナルド、あたしらはレオって呼んでるけどね、そろそろ失礼するよ」


丁度いいタイミングで


「アレン様、カードが出来上がりました」


「3000ゼニーです、こちらがカードと商人ギルド約款、まあ決まりごとの書かれたものです、必ずお読みください」


「ハイ分かりました、ところでヒヨコ売ってるところ知りませんか?」


銅3と引き換えにカードと約款をもらいながら一応聞いてみる

ここから一番近い所ですとココですね、と言いながら地図で説明される


「いつ行っても売ってもらえるんですか?」


「はい大丈夫ですよ、個人でも大きくして食べる人は結構いますからね」


「有難うございます、とりあえず見に行きます」


商人ギルドを出てヒヨコ屋に向かう、ロゼは「ヒヨコ、ヒヨコ、ヒヨコ」と嬉しそうだ

ここだな


「御免ください」


「いらっしゃーい、卵ですか?ヒヨコですか?鶏ですか?」


「ヒヨコなんですけど」


「ああお客さん冒険者さんかい?狩りの餌ならこっちの弱ってるのが丁度いいんじゃないかい?安くできるよ」


「いえいえ、冒険者でもありますが、卵や鶏肉も商売としてやれればと商人ギルドに登録した帰りに寄ったんですよ」


「ああ、なるほどねえ、じゃあこっちから選ぶといいよ、オスかメスかは分からないので多めに買うのを奨める」


木で出来た籠に数えきれない程のヒヨコが犇めいている、これぐらい密度が無いと寒くて死んじゃうんだとか、半月ぐらいはこんな状態の方がいい、と教えてくれる


「20羽だといくらですか?」


「4000ゼニー、銅4ってやつだな、可愛いお嬢ちゃんに3羽サービスだ」


「だって、ロゼこの籠の中のヒヨコ23羽選んで」


店の人は何かの再利用のような木箱をくれる


「これに入れるんだよ、元気なの選ぶんだよ、眠そうなのは避けるんだ」


店員に頷いてから次々箱に入れるロゼ、ハッとしてこっちを向く


「オスは卵産まないんだよね?」


うんと頷いてみせると5羽ほど元の籠に戻すロゼ

店を出て後は帰るだけだ、抱えた箱からピーピー五月蠅い


「まだ歩ける?」


「大丈夫」


屋台街はいつもの屋台街の姿だった、串焼き屋のおやじの店で22本買って帰る

2本多いのはロゼと俺の分、食いながら歩いた


「ヒヨコ選んでる時、何羽か戻したのは何で?」


「卵いっぱいの方がみんなが喜ぶから」


「じゃあ戻したのは全部オス?」


「そだよ」


ニワカには信じられない


「じゃあさ、メスは何羽でオスは何羽にしたの?」


「メスが20、オスはサービス」


「それだと卵いっぱいでみんな喜ぶね」


鶏の成長はびっくりするぐらい早いらしい、答え合わせが楽しみだ


「ロゼ、串焼き先に食べたのはみんなには内緒ね」


「わかった」


砦に帰ってきた、やっぱり街まで気軽に行ける距離なのだと改めて思う

鳥小屋の材料はそろったようだ、訓練兵たちは鬼教官指導の下、畑予定地を耕している

木柵の外はトウモロコシ、内ではジャガイモ、ナス、トマトだそうだ

ヒヨコが見たくて全員集まって来た


「可愛いね」「そうだね」「いっぱいいる!」「アッうんちした」


乱暴にしたり驚かせたら駄目だよ、と注意してから手に乗せてやるとみんな無言で眺めてる

2週間はこの箱で体温下げないようにして餌と水だけ切らさない様にって感じだ


「この一緒に入ってる葉っぱは何だ?」


「ああそれか?串焼き屋のおやじの隣の八百屋のおばさんがくれたんだよ」


「串焼き屋のおやじはレオナルドって名前でレオって呼ばれてるらしい」


「それはちょっと微妙だな」


名前が近いレオンが嫌そうな顔をしている


「串焼きとパンで昼飯にしよう、パンはあるんだよな?」


「あるよ」マリーが即答だった


 ーーー食堂でみんな昼飯中ーーーー


「マリー姉ェのパンも串焼きも美味しいね」


年少組が夢中で食べながら言ってる言葉にマリーが答える


「そりゃあたしの腕よって言いたいけど井戸水が美味しいからだよ」


「ああ確かにスラムの雨水沸かしたやつより井戸水は断然美味い」


マリーのパンチがレオンの脇腹に入った、ここでの最適解は「いや、マリーの腕が上がったんだよ」一択だったみんな笑ってる、

ここへ来てホントに良かった



お読みいただき有難うございます

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