王都最終日
オルレイン公爵邸、別館最後の朝だ、客間の時計は6時
外では棒の型稽古中、考え事してると寝るのが遅くなった
顔を洗って表に出ると皆居る
「アレン兄ィ遅いね、何その寝ぐせ」
「お早よう、みんな」
「ロゼは?」
「公爵夫人と摘んだ薔薇もって屋敷に行ってるよ」
「ああそう」
昨日は年少へお土産で絵本とかその他諸々買って、今日はカニを買って帰る話になった
早速マジックバックは絵本が納まり、カニは棒術大会が終わり次第取りに行く
「じゃあ俺も少し汗流すかな?」
「ほどほどにな」
その後、婦人とロゼ、アルマさんも戻って来た
ロゼも棒術の型稽古してる、何も迫力のようなものは感じないけど
Cランクなんだよなあ、普通の基準が当てはまらないのは分かってるが
「鶏料理の店の場所は代官達と相談したらいいよ、数年後の人の流れは
彼らが分かってるから」
「そうですね、相談させてもらいます」
食事が終わり、お茶を飲んでる時そんな話になる、俺に出来るのかな?
まあ、やるしかないんだろうな
キー兄ィには会えずじまいなのが心残りだが帰ったら忙しい
「9時からでしたね表彰式、またいつでも遊びにいらっしゃい」
「はい、お世話になりましたね、ロゼも楽しかったようですよ」
夫人は時々、ロゼを名残惜しそうに見つめながら話をする
「ああそうだ、セバス君居るだろ?大きな商会の三男坊なんだが
君の所で雇わないか?」
セバスさんは話しやすい人だし、商売に詳しいなら欲しい人材だ
「ぜひお願いしたいです」
「そうか、エリアスさんの話もあるしな連絡しておくよ」
オルレイン公爵は屋敷に来客があるとかで普段の出掛ける時間は過ぎていた
「そろそろ時間だね」
皆で時計に目が行く
馬車はもう正面で待っている、第一騎士団は二人、門を出ると増える
「それでは、お世話になりました」
「王都に来るときは別館いつでも使っていいからね」
公爵夫婦と側近の二人、使用人全員に見送られ屋敷を出る
闘技場に着くと結構な人だ、大人の部はここで騎士団に誘われ
人生が変わる日になる人も居る
客席で見てるが、いかにも武人と言う感じの人が多い、
冒険者とは感じが違う
表彰式では下位の者から金属の板を貰ってる、絵本の半分ぐらい?
一位から3位が呼ばれると、うちの四人だ、実に誇らしい
「結構色々貰ってるね」
「ああ、革の防具もくれるんだな」
一位のマリーに協会長が棒を渡すと会場がざわつく
「なんか特別な棒なのかな?」
「この感じだとそうなんだろうな」
子供の部は終わって4人が出てくる
「さあカニ買って帰るよ、色々貰ってるね」
馬車で港に行くまで棒の話題になる
「色塗ってるわけじゃないのかな?黒っぽいね」
「凄い重いよ、倍くらいあるんじゃないかな?」
「木なのに水に沈む珍しい木で出来てるんだって」
「ほう、それだけ硬いって事か、うん詰まってる感じするわ」
ほどなく港のカニ屋さんに着く
「いらっしゃい、茹であがってるよ!」
昨日の約束通り、8匹茹で上がってるのをアルマさんが魔法で凍らせて
紙で包み、おがくずと一緒に木箱に詰める、これで三四日大丈夫らしい
入った時同様、門の前の行列を抜かし第一騎士団が手を挙げるだけで出れた
「出る時の方が緩いんだな」
「順番待ちしてる人には悪いけど、貴族になった気分だね」
「ほんとだなハハハ」
大河を帰りは上る格好になる、平坦に見えるが上りの方が同じ速度で
馬車を走らせてるつもりでも時間が掛かるそうだ、徒歩でも一緒らしい
「この川を船で往復できれば人も物もいっぱい運べるよな」
「丸太を王都に運んでるのは見るよな、山から海の街だから下るのみだけど」
そんな話をしながら来た時と同じ宿で一泊して帰って来た
「なんだありゃ!」
「凄いな、もうこんなに出来てるのか?」
白い石で作られた神殿はほぼ完成しているように見える、周囲は白い石
が腰ぐらいの高さまでありその上は槍が並んだような鉄の柵が敷地を囲ってる
「ロゼ見てごらん、神殿だよ」
「王都の神殿と同じだね」
絵本に夢中で下ばかり見てたからキョロキョロ見渡してから答えるロゼ
あんまり興味がないらしい
木柵の上にポロが居る、暫くぶりに角笛みたいな鳴き声を聞いた
かんぬきを落とすと自分で開けてポロが出てきた
馬車から降りた皆に頬擦りしてるポロを見てると可愛いなと思う
馬車の二頭に近づくと馬を見てポロが
「お前らご苦労だったな、ゆっくり休め」
と言ってるように見える、馬も縦に首振るから尚更だ
「お帰り、疲れたろ、風呂なら沸いてるよ」
ジャンさんだ、今日はジャンさんが留守番か?砦の時計を見ると3時だった
年少組も集まって来る、泣き出す子も居るから罪悪感を感じた
「長く出て悪かったね、お土産があるよ」
「なになに?」「食べもの?」「絵本読むの無くなった」
「食堂で開けよう」
「マリーの一言に泣き止んで皆ついて行くね」
「げんきんな奴らだな」
「うん、まだみんな揃は無いから風呂でも入るかい?」
「そうだな」
第一騎士団の人は馬と馬車を戻し詰め所に戻った後、休暇が貰えるらしい
ここではゆっくりしてられないそうだ、残念
ちょっと前までゴブリントリオと呼ばれてた三人で風呂に浸かる
「商会名どうするんだ?」
「リンリオで行くか砦で行くかの話だったな」
「リンリオはスラムで始まった名前だしな、後々由来も聞かれるだろ?」
「ゴブリントリオが由来とか商会としてどうなんだろうな?」
「やっぱり砦商会でいいんじゃないかって気がして来たな」
「うん」
風呂から上がったら食堂は盛り上がっていた、俺はポロにブラシをかけている
「少し大きくなったか?」
ポロは頷いている、誰かがブラシをかけてたのかな?あんまり埃は出ない
冷蔵庫は肉でいっぱいだったので今夜の分持って食堂に行く
「ああこんな時間ね」
マリーは時間を忘れて話に夢中だったようだ
肉を準備しながらみんなの帰りを待つ、酒飲みチームには
とっておきのお土産もある
カニは途中で解凍するためにマジックバッグから出し箱の上に
置いて解かしておいた、今は詰め所に隠してある、樽と一緒に
三人で詰め所のカニを眺めてたら
「早く食いたいな」
「うん、美味いよな海のカニ」
「ヤバい、よだれ垂れそうだ」
と笑っていたらポロがかんぬきを落としに来たようだ
「ポロただいま」
アル兄ィ達ダンジョンチームが帰って来た
「お帰りアル兄ィ」
「それはこっちのセリフだお帰り、お帰り、王都はどうだった?」
「まあその話はパーティーの時に」
「それもそうだな、風呂入るわ」
「ピッカーの4人は?」
「用事あるからって帰ったぞ」
「なんだご馳走なのに」
「何買って来たんだよ!気になって風呂に入れないだろ!」
「内緒だよ」
「もういい、風呂入る!」
あれこれやって炭を起こしてる頃に屋台組も帰って来た
「お帰り、兄ィ達が居るとやっぱりホッとするよ」
「留守にして悪かったな、ご馳走もあるから風呂入って来い」
「うん」
往復の宿も入れると9日ぶりの全員集合だ
カニを持ってくるとみんな大きさに驚き、食べて味に驚いている
みんな夢中だ
「これホントに美味いな」
「でしょ、こんな美味い物他に無いな」
ああ忘れてたわ取って来るとわざとらしく詰所から樽を担いでくると
栓を抜きコックを着けてエール樽の台に乗せる
「異国の葡萄酒だよ」
「なにー!」
酒飲み勢はエールのジョッキを飲み干すと葡萄酒の樽の前に並んでる
「カニの殻は窯で乾かして鶏にあげるから他のゴミと分けてね」
「ハイ分かりました」
パトリックがが言うとご機嫌な皆は返事もいい
やっぱり我が家が一番だ
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