王都5日目、宮廷魔道具研究所
ーーー公爵邸、別館食堂ーーー
食堂の時計は8時、公爵夫妻とみんなで食事中
今日はロゼ、マリー、アルマさんは神殿に行く事になった
残りのメンバーは魔道具研究所の見学だ
「食事が終わったら聞かせたい話がある、それが終わったら研究所に
案内するよ」
「はい、分かりました」
ロゼを見るとハチミツが掛かったパンに夢中だ、食べ終わった席から食器は
下げられ紅茶に代わる
紅茶を飲みながら他愛の無い話が終わるとロゼ達は馬車に乗って
神殿に向かった
俺たちは公爵に言われるまま本邸の書斎について行く
「これを見て欲しいんだが、これがこれから出来る聖都オルレインの
見取り図だ、今はダンジョン都市なんて言われてるけどね」
書斎の中央にある大きなテーブルに置かれた地図は未来の都市だった
「今の仮の柵よりかなり広いですね」
「ああ、君たちの要塞訓練所も石柵の中に入る、神殿を柵の外にする訳
にはいかないからね」
鎖線で記された石柵の範囲は広大だ、門を出たらあっという間にダンジョンに着く
「これは何年後に完成するんですか?元からある街を5割増しにしたくらいの面積ですよね?」
「一番頭が痛いのは下水でね、これを失敗すると後々まで響く、5年で何とかしようと思ってる」
「砦の周りが家で埋め尽くされる事になるんですか?」
「いやそれは無いよ、ベネディクト神父だってそれは許可しない」
「ちょっと安心しました」
「それで頼みがあるんだがエリアスさんの力を最低1年ぐらい借りたいんだがどうだろ?国と領主からの依頼になるから報酬は期待してほしい」
パトリックもレオンも俺を見ている
「本人がいいなら口挟む問題じゃないよな?」
「そうだな、冒険者やってるのがおかしいくらい魔法の才はある」
「当然だろうけど、砦には毎日帰って来れるんでしょ?いい話だよ」
3人は同意見だ、むしろ応援したいぐらい
「と言う事ですので僕らは全然かまいませんよ」
「そう言ってくれると思ってたよ、だが筋は通さないとね、後は本人に
話をしてみる、大浴場も好評だし彼の技術は素晴らしい」
「これから10年は色々変わる、冒険者の仕事もね、魔物討伐の依頼も減る
それは何故かというのを魔道具研究所で見てもらいたい、じゃあ行こうか」
ちょっと前まで今日食うもの心配してたのにな、それにしてもエド、サロモ、クリスは大人しくなったな、棒術大会で大人になったのか?
「はああ、、、」
エドがあくびしてる、他の二人も眠たくなってただけの様だ、がっかり
馬車での移動中、港の話になった
「鶏料理はどうだった?美味しいだろ?」
「はい、商売になりそうな気がしています、砦の鶏も増えましたし」
「ハハハ、君はやっぱり商人が向いてるんじゃないかな?街に他所から商人が入って来るより、君たちみたいな縁の有る若者に、新市街の経済は任せたいね
鶏料理の店やりたいなら土地は用意するよ」
これは願ったり叶ったりだ、好意に甘えさせてもらうとするか
「ああそれから、こども園を卒業する者の就業先の一つにもなって貰いたい
君たちならそれが出来る、着いたようだね」
外を見ると門番が二人立っている、中から扉が開けられたようだ、馬車は入っていく
「ここですか?大きな建物ですね」
6人は公爵の後ろについて中に入っていく、魔道具工場だ
「所長、よろしく頼むよ」「はっお任せを」
「ここが庶民向きの魔道具工場です、明かり、湯沸かし、暖炉、どれもスケルトンやゴブリンの魔石を補充することで使える魔道具です」
「君たちが見つけたダンジョン産魔石も結構使われてるんだよ」
所長の後に公爵が話す、そうか競争しながら倒したゴブリンもここで魔道具になるんだな
「我々の立場から見るとダンジョンも鉱山みたいなものだからね、資源だ」
「鉄鉱石は掘ったら減りますけど魔物は減ってませんよね、次行ったら同じだけ居るし」
「その謎は解明されてませんね、ある時一斉に消滅するんじゃないかと言う者もいます」
一行の向かう先の扉の前には警備が付いている
「ここから先で見たものは誰にも言わない様にお願いします」
なにやらワクワクするんだが何があるのだろう?
「これは主に農地や民家に魔物を寄せ付けない目的で作られている
魔道具です」
「畑や家畜が襲われなくなるんですね?」
「それがそれだけじゃないんですよ、出力を上げてダンジョンでこれを使うと歩いて行くだけで魔物が殺せます」
「それじゃ冒険者要らなくなりますね」
「せっかく冒険者登録できたのに!」
「それがまだ実用化できないんです、問題も色々ありましてね、当分は魔物を寄せ付けない弱い物だけの生産になります」
「近い将来、ダンジョン攻略が簡単な作業になる日が来るかもしれないってことですね?」
「その時、その簡単な作業を担うのはあなた達に任せようか?って話になると思いますよ、今日ここの許可出したのも国王ですから」
「おう!それは面白そうだ」
そうだよな、不測の事態に備えて冒険者なりが使うのは間違ってない
「ここから先は軍事機密になりますが見たいですか?」
「他国からの攻撃に対抗する武器って事ですよね?見ない方がいいような気もします」
「え?俺は見てみたいな」
「じゃあ少しだけ見ますか?簡単な仕組みだけ」
所長は自分たちの成果を見せたいみたいだ
「じゃあ少しだけいいですか?」
扉の奥には筒状の物が並ぶ、なんだろう?
「簡単に言うと二つの魔道具を一組で使うものです、こっちの筒状のが魔道具を打ち出す道具、こっちのが打ち出される魔道具です」
「どうやって使うんですか?」
パトリックがイキイキしてる
「担いでみますか?これをこっちの手で持ってこんな感じです」
パトリックが筒を担いでる
「これが打ち出す方ですか?見た目ほど重くないですね」
「これが打ち出される方です、重いですよ」
何やら棚から持ってきた、エールのジョッキを二つ重ねたぐらいの大きさだ
「ほんとだ重い、これがどうなるんですか?」
「爆裂魔法って見たことあります?」
「無いですね」
「短い轟音とともに周囲50メートルが吹き飛びます、大体の魔法使いの攻撃範囲より遠い所から飛ばすのが強みです、ドラゴンが出たりしたら使うかもしれませんねハハ」
「ドラゴンは魔法で犬に出来るから平気だよ」
クリス、余計な事を言うんじゃない、あれは人形劇だ
「犬?」
「人形劇の話だから気にしないでください」
「ああ!絵本で有名な話でしたね、うちの子も好きで」
物騒な魔道具のそばで軽い笑いが起き、魔道具研究所見学は終わった
帰りの馬車の中、公爵に聞いてみた
「この国に攻めてくるような国はあるんですか?」
「無いと言いたいところだがある、一つだけ、その為にも
魔道具研究所は大事だ」
「その国にキーファー君が警護で行ってるんだが、まだ戻れてないな」
「国の上に立つ人も大変なんですね」
「分かってくれて嬉しいよ、何もしないで贅沢三昧だと思ってる庶民も
多いからね」
知らない世界の人たちも大変なんだな
今日こそは賢くなった気がする
お読みいただき有難うございます
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