砦の進化
王と教会の偉い人が来てから4日目の朝、砦の時計は朝の9時だ
今日は宮廷から派遣される従者と馬車が来る日、そろそろ来る頃だ
今みんながいるのは食堂
「ロゼだけに4人ぐらい就くってことじゃないんだね、お姫様待遇なのかと思ったよ」
マリーは豆茶を入れながら、どんな人が何をする人なのか気になる様子
「貴族の礼儀作法みたいなのを、全員に叩き込みに来るのかもよ」
サンナが言うとマリーは怪訝な顔をする
「いや、それは勘弁してほしいわ、料理の達人が来てくれたらいいな」
「ロゼはどんな人がいい?」
「楽しい人がいいな、本が読める人でもいい」
最近、商会で絵本を買ってきたのを、年長が居ないと、みんなで絵だけ眺めてる
「多分、ちゃんとした大人の人なんだろうから個室は作ってあげないと駄目だね」
エリアスは住む場所の心配をしてる、拡張した訓練所でもいいんじゃないか?なんて昨日も話してた
首だけ食堂に入って、参加していたポロが動いた
「来たのかな?」
皆がポロを目で追っていると、扉の上の回廊から外を見てる
「来たみたいだな」
表に出てみると結構な大人数だ、20人ぐらい居る
「皆さん初めまして、私は国王の第一執事、オズワルドと申します。宮廷魔法師団長初めとする魔法使いは結界を張り次第、帰りますのでご心配なく」
「始めなさい」「ハッ」
見るからに魔法使いといった、出で立ちの12人が砦の四方に散っていった
「ロゼリア様の御付きはこの者です」
「初めまして、第二近衛騎士団、団長のアルマと言います」
まだ10代にしか見えないがエルフだ、おばあさんみたいな年齢なのだろうか?
「この者たちが第一騎士団の三名、交代で24時間警護に当たらせていただきます」
ほうほう、強そうだ
「常に一人が起きてるという事ですか?」
「いえ、新市街の支部から交代で参ります」
「後、この二人が私の部下です、剣術から学問までお役に立てるはずです」
「メルビンです」「ロジャーです」
こうして住人が4人、通いが3人でまた人が増えた
一方、魔法師団は魔法陣を広い空き地の四隅で展開してる
「あれはそれぞれの属性に合った魔法陣を重ね掛けしているところです、
魔物や害獣の類いを始め、物理攻撃と魔法攻撃を無効化します」
ふむふむ、宮廷魔法師団と言うだけあって強そうだが良く分からない
「ゴブリンやブラウンウルフが来たらどうなるんですか?」
「命は奪いませんが、結界から中には入れない、壁があるのと同じですね」
オズワルドさんが言うと
「始末は我々にお任せを」
第一騎士団が背筋を伸ばして答える、目立たない様に冒険者風の防具でまとめてるが、只者でないのは一目でバレるだろう
「完成したようです」
目隠しの林で囲まれ、広い敷地の中央にある砦、その敷地の四隅から
4色の光の線が立ち上がると半円球の網目になって空を覆う、やがて消えた
「馬小屋は何処に建てましょう?」
「砦の中でもいいんですけどね、ロバと喧嘩しなければですが、馬車が一時入るだけなら黙って見てますが、住むとなると縄張りの侵入者ですからね」
「では、こちら側に建てておいて様子見ますか?」
訓練所で拡張したのと反対側の並びを団長が指さす、これはエリアスと
同じ魔法で、あっという間に建てる気だな、驚かないよ
師団長は右手に四角い箱を出した、なんだろう?
「四隅支える様に」「はっ!」
小さな箱から厩舎が出てきた、しかもそれなりの大きさで木造だ
杖を持った師団員が魔法で支えてるのか?浮いたままだ
「木柵に侵入する足場になってはいけませんからね、このぐらいで
どうでしょう?」
木柵から5メートルぐらいのところで浮いたままだ
「よろしいんじゃないでしょうかね、如何です?」
オズワルドさんに言われて開いたままだった口を閉じ、うんうんと頷く
凄いな、あんな小さい箱から
二頭の馬は馬小屋に入れられ、屋根の出てる下に馬車は入れられた、これは第一騎士団の担当と言う事らしい
「中に入りませんか?」
「そうですね、ご挨拶もしなければなりません」
第一騎士団はレオンに案内され、回廊を回りながら砦の説明をすることに
4人は緊張してるみたいだ、王にも何か言われてる?まあいい
「ここが食堂です、ロゼは中に居ますよ」
「ロゼ、新しく住む人たちだよ」
4人は跪き、顔を上げない
「ロゼ、もういいよね椅子に座って貰って」
え?と言う顔をする、当然だ、なぜ跪いてるのかロゼには分からない
「うん、いいんじゃないかな?」
自己紹介が始まったが長い、名前だけでいいだろうと思うが
そうはいかないのか?なんだかこの先が不安になって来た
三階に上がっていくロゼ、絵本を片手に降りてきた
「これ読める?」
アルマさんは読めるよと言うと、他の子供たちも集まり読み聞かせが始まった
良く通る声に子供たちも嬉しそう
「もしかしてオズワルドさん達の家も、その小さな箱に入ってます?」
「はい、木柵内の隅でいいので場所だけ頂けますか?、神殿への地下通路の出入り口にもなってる様です」
皆で神殿が出来る側を見るが、回廊から突き出る形の鶏区画が邪魔だ
反対側は焼き肉コーナーだ
「鶏には引っ越してもらうしかないですね、新訓練所に鶏移しましょう」
エリアスが言った、やっぱりそうなるか
鶏は4区画に分けている、雄鶏が各1羽ずつ入れ3、増やすための区画が1だ
「ストーンウォール!」
一瞬で鳥小屋と柵を作るエリアス
芸の細かさに宮廷魔法師団長も唸る、職人が作ったものを運んでくるより
凄いらしい、問題は鶏だ、これは大変じゃないか?
鶏の声がする、あれ?
振り向くと魔法師団が、大量の鶏を浮かせながら持ってきた
鶏の引っ越しはすぐ終わった
魔法師団とエリアスが新訓練所の石で出来た木柵風石壁を見ながら
話が弾んでる様だ
「それではこちらでよろしいですね」
小さな箱から家が出てきた、二階建てだが思ったより小さい
「どうぞ、入ってみてください」
言われるままに、皆で入ると何故か広い、空間を広げる魔法なんてあるのか?
「なんだこれ?外で見るのと倍ぐらい違う!」
下に降りる階段もある、何か設置してる、魔道具か?
「神殿が出来れば、これを目印に掘る事になります、これが一番正確ですからね」
「ほー!」「凄いね」
二階は5つ個室がある、もう私物は置かれてる
一階は執務室と応接室を一間にしたような感じだ、立派な机が奥にある
「これは先代国王からの頂き物で私の宝物です」
オズワルドさんにとっての机は剣とか杖のような感じなのかな?
「櫓の上から周囲を見ておきたいのですがよろしいですか?」
「いいですよ、登りましょう」
新入りさん4人と砦に上る、何かおかしい
「あれは予定にあったのですか?」
「知りませんねえ」
エリアスと魔法師団が共同作業なのか木柵風ストーンウォールを作ってる
これで当初の三倍だ、四つの角には高い塔まで追加されている
新区画は馬も放されて二頭は歩いてる
「これで乗馬の練習も出来ますね」
アルマさんがそんな事を言い出した、なるほど
「メルビン、麦の種が要るな、覚えておくように」「はい」
「麦は牧草になります、根も強いので荒れ防止にもなります」
ほう、任せておけば間違いなさそうだ
「あの者たちは?」
「あれは一緒に住んでるアル兄ィ達ですね、鹿担いでますね、
今日はご馳走ですよ」
ロバが扉を開けに行くのを見ていた4人は驚いている
「うちの身内とポロが認めたら、かんぬきは外されます」
「早く認められるように頑張りますね」
エルフのアルマさんが笑ってる
お読みいただき有難うございます
PVだけでも励みになります
ブックマーク、嬉しいです




