王都からの客
こども園でロゼが御業を披露してから6日目
砦の時計は1時だった、棒術大会も近づき4人は屋台の仕事は無し
今日も鍛錬をしている、一番隊は全員居る
王都からの客人が4人、その護衛、さぞ行列で来るのだろうと思ったが
馬車2両だけだった
大きい方の扉を開け馬車毎入ってもらうとベネディクト神父が二人降りてきた
(どっちかがベネディクト神父の兄で国王?やばい見分けがつかない)
ジャンさんに教わった通り、片方の膝だけ地面に着け胸に手を当て
下を向いていると
「面を上げてください、お願いします」
と言われ顔を上げると高位の神官と神父の姿をした国王が同じように膝を着いている、ベネディクト神父は後ろの方に居る
マリーと手を繋いで立ってるロゼを見て、しばらく固まっていた
「私が現在、国をお預かりしているオスカー・アローレインめにございます」
「私が枢機卿を務めさせていただいております、セバスチャンと申します」
「あたしはロゼだよ」
中々落ち着いているロゼ、全員の自己紹介が終わったところで食堂に入る
「お会いできて光栄の極み、先代も先々代もさぞ悔しがることでしょう
ロゼリア様、早速で恐縮ではありますが、お勤めをお願いしても
よろしいでしょうか?」
事前に聞いてたやつだ、ロゼもいいよと言っていた
「、、、うん」
聞きなれない言い回しに困惑してる
神官たちが銀製の大きな壺のような入れ物と陶器の水差し、
ヒール草を用意する
まずはヒール草、そして水を並々と注がれた後、詠唱の言葉を枢機卿に言われた通りにロゼが繰り返しながら手をかざす
一瞬、沸騰したのかと思うような湯気が上がる、例の七色の光は無い
「成功しました、ロゼリア様」
枢機卿が銀のツボを覗いて言う、ポーションとは違うのだろうか?
「ここには小さい子も居ると聞いていますが、呼んで来ていただけますか?」
「上で昼寝してるので起こしてきます」
そう言って呼びに行こうとしたら階段からこっちを見ていた
「みんな、おいで!」
「小さな皿はありませんか?」
「これでいいですか?」
木製の小さな皿を渡すと銀の柄杓で少し注いだ壺の液体を枢機卿が手に
「はい、みんな口開けてね、出来るかな?おまじないの時間だよ」
偉そうな見た目に反して子供の扱いは上手だ
小指の先にチョンと浸けられた壺の液体を、子供の舌先に当てる
微々たる量だが血の様に真っ赤だ
「みんな飲み込むんだよ」
無言で飲み込む子供たち、味は無いらしい、美味しいものを期待してて、
がっかりした様だ、ごめんなさい枢機卿、なんせうちの子なもんで
「これが”最初の試練”の予防薬なんですか?」
「お詳しいですね、そうです、これ一本で大体50万人の子供の命が救われます」
ジャンさんが聞いたら凄い人数だ、一滴で効く?赤くなったのが証拠って事か?そこまで自信ありなのは何か決め手があるんだろうな
「弟からは大体の話は聞いております、馬車と従者を4人ぐらい就けさせて頂いて宜しいですか?、あと結界魔法の魔法陣も書かせていただきたい」
これはあれだ、断れないやつだ
「馬の維持費等は心配いらないよ、従者も気に入らない者ならすぐ
交代させる、ワガママを聞いていただけないだろうか?」
国王が遜ってるのに断れるはずないだろう
「はい、よろしくお願いします、馬なんですけどロバと喧嘩には
ならないですか?」
「結界も出来るし、馬は砦の外でいいだろうね、馬小屋も作らせるよ」
「そこに神殿を作る話も順調に進んでいてね、ここと地下通路で繋ぐのがいいんじゃないかって話も出てるのだが、どうだろう?」
街道のある方を指さし淡々と話は進んでいく
「地下通路は逆にお願いしたいぐらいです、お勤めみたいなのって一日で何時間ぐらいなんですか?」
「15才になるまでは、基本自由にしてもらいたいと考えてます、無理強いは絶対しませんのでご安心ください」
「もういい?」
ロゼは飽きちゃったようだ
「これは長居してしまったようですね、ロゼリア様の事、よろしくお願いいたします」
そう言うと名残惜しそうに王都の面々は帰って行った
「そっくりだったな、神父様と」
「もっとそっくりな双子の姉サンナがそれ言う?」
「そんなに似てないだろ?」
「いや、そっくりだ」
全員うんうんと頷く、当然だ
砦の時計はまだ2時と半分
ダンジョンへはアル兄ィ達しか行ってない
「なんか退屈だな、カニでも取りに行くか?」
早速誰が行くか会議が始まった
「大会近いマリー、クリス、エド、サロモはアレン兄ィのヒールで
特訓でしょ?」
早々に脱落してしまった俺、まあいいかカニだけ食えれば文句はない
「エスコ、クスター、ヴェサ、タビーの漁村チームは決定だな」
「頑張りますよ、今度籠も編みますね」
ジークは自ら残って棒術の鍛錬をすると言い、コリン、ジョナサン、ピーターも残るらしい、こいつらはホント仲いいな
残りは一番隊4人か?レオン、パトリック、エリアス、サンナ
いつの間にかすごい人数だな、8人が捕りメンバーに決定
「余ったら鶏のエサに出来るから捕れるだけ捕ってきて」
任せとけ!と言うと麻袋持って川に向かった
カニ名人マリーは行きたそうな顔をしていたが棒をぐるぐる回してる
いつも思うがマリーは切り替えが速い
棒に綿を入れた革の袋をはめると、組手は始まる
通称、棒おじさんに注文していた試合着を4人はいつも来ている
楽なんだとか、背中に名前も入れて大会仕様だから着ていたいんだろう
始め!の声はコリン、一応審判だ
にらみ合うクリスとマリー、一番体格差のある二人だが一番面白い
スピード対パワー、そんな感じ
右利きの握りで棒を持ってるクリスだが左を伸ばすのが早い
剣で言うと逆さに持ってるようなものだ
対してマリーは手足も長いので均等に持ったまま左右両方自在だ
右から水平に振るマリー、バック宙のような体制を棒で支え振り抜いた後
の無防備な腰に蹴りを入れるクリス
この一瞬だけ見ればクリスの得点て判定になる、決着がつかなかった時の話だが
すぐさまマリーが軸足を刈りに行く、腰を地面に着けたら勝ちなので
狙うのは今接地してて近いのは棒じゃなく足だ
ここからのクリスは速い、片足で蹴ってバック転で起き上がる
だがしかし、変則的な突きの連打であえなくクリスが飛んでいく
「ヒール!」
「今のは良かったぞ、クリス」
へへへへと笑っているが悔しそうだ
エドとサロモが隣でやってるが拮抗してる、目に見えるほどの差が無い
棒が革袋で太くなってる為、目の前に出されると視界が狭くなる
フェイントなのか攻撃なのか?それとも足が来るのか?頭で考える暇はない
サロモの大振りが来た、エドの必殺技、棒の短い方を着いて両足蹴りだ
低い体勢から飛んでくるエドの両足
「あああ!」
サロモが飛んでった、起き上がれない
「ヒール!」
「生きてるか?大振りと見せかけて避けれれば一気に有利なんだけどなあ
そう簡単ではないよな」
「次は負けない!」
「よし!その意気だ!」
ーーーオルレイン川、川岸ーーー
「結構捕れたなあ、さすが漁師だわ」
「手掴みでカニ捕るなんて暫くやってないですよ」
「そうだな、籠にエサ入れて沈めておく方が楽だし」
打って変わって緊張感の欠片も無いカニ捕りチームは川遊びを満喫していた
「そろそろ帰ろうか?」
「いいんじゃない?」
「よし帰ろう!」
この日はカニパーティーで遅くまで盛り上がった
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