神の子
時刻は砦の時計で9時
昨日は遅くまで回廊の隅から外に向かって、ファイアーボールを唱えてたサンナがダウンしたので、屋台のメンバーは交代
サロモ、ピーター、コリンに俺、パトリックとエリアスは魔石の換金、訓練所に使う買い物があるという事でポロを連れて帰る事になる
窯に火を入れ準備をしているが、日増しに冒険者が増えている
朝から忙しい、もうちょっとのんびりしたいんだが、そうもいかない
「肉パンと干し肉のクッキー5個くれ」
「まいど、今日もダンジョンなんだね、たまには休んだら?」
「稼げるうちに稼がないとな、大浴場で疲れも取れるし、まだまだ稼ぐよ」
「風呂は評判みたいですね」
「ああ、水浴び生活には戻れないから、この街に永住だなハハハ」
公爵の狙い通りって事か、こっちも配当増えるからいい事なんだが
使い道がない
「ハイ焼けたよ!お気をつけて」
「干し肉クッキーも上々ですね、兄ィ達はエールのつまみに自分達が欲しかっただけみたいだけど」
「まあ、売り上げも増えたからいいんじゃないの?」
窯はフル回転、朝から忙しいがいい事だ、窯をもう二つと一人増やしてもいいかもしれない
ーーー冒険者ギルド二階応接室、パトリック視点ーーー
「ギルマス話って何ですか?ポロあんまり待たせたくないんですけど」
「心配するな、厩舎で裏方が馬と一緒に相手してるからな」
「本題に入ろう、お前らの魔石の量多すぎないか?」
「いっつも2回分ですよ、一日で多分5時間ぐらいだから10時間の量ですね
だから多く見えるんじゃないですか?」
「いやそれでも多いぞ、もっと増やせれないか?」
「減らしてくれないか?って話じゃないと?」
「特に下級魔物の魔石が多く欲しいって、領主様の要望でな、庶民が使える魔道具を量産するつもりだって話だ」
俺、パトリックは閃いた
「今の倍ぐらいは余裕ですけどね、条件飲んでもらえればの話ですけど」
ギルマスが前のめりになる
「倍だと?!それでそれで条件てなんだ?」
「ゴブリン階層は倒すのより魔石拾うのが手間なんですよ、二番隊をダンジョンに入れる許可もらえれば、余裕でしょうね」
「二番隊ってあの生意気な子供たちか?」
「はい、鍛錬も一緒にやってるので、そこら辺の駆け出し冒険者より
強いですよ」
「うーーーーーん」
ギルマスが悩んでる、もう一息だ
「ポーターとして人数制限とギルドで試験もするって事でどうです?
4人のパーティーには2人までとか」
「二階層までなら、はぐれる様な複雑な構造ではないしな」
ここでギルマス一人では決められないだろうな
「うちの子達の実力は何時でも見せれますので」
「うむ、分かった、追って連絡するよ」
こうしてギルドを後にした、ポロはキャベツを貰って上機嫌だ
「ギルドの馬ってキャベツなんて贅沢なもの食ってるんですね」
「売れ残りをくれる人でも居るんだろ」
「こっちの屋台はまだ空いてない店の方が多いですね、串焼きは帰りに買いますか?」
商会の買い物を済ませ、串焼き屋の親父さんと喋ってたら遅くなった
「アレン達の屋台も忙しそうだな、串焼き4本置いたら逃げるぞ!」
「二番隊に魔石拾いだけさせるつもりはないんでしょ?」
「そりゃ当然、大会前に出来る事はすべてやらないとな」
---砦ーーー
今日はダンジョンも狩りも休みでみんな居る
「昼終わったら訓練所作るから暇な人手伝ってね」
「おう、任せとけ」
昼食も終わり年長者だけで表へ
左隣に木柵を拡張する話で昨日纏まってたから行動は速い、買って来た紐
そこら辺の木を剣で切って杭にする
「もうちょっと右かな、ちょっと戻って、ハイ!そこ」
木柵の外側は126メートルだ、巻き尺があって良かった、新たに一辺分の長さで2本杭を打つ、杭同士の間隔は大体126メートル、いいだろう
「じゃあいきますよ、ストーンウォール!」
「相変わらずだな、何で木柵そっくりな壁が石で出来るんだ?」
「不思議だよね、新市街の風呂より凄いわ」
「あれ?内側は平らなんだね」
「こっちも回廊回すから、この方が作りやすいんだよね」
あっという間にコの字型が回廊付きで出来上がる、間仕切りになってる木柵はそのまま、訓練所側に薄めの石壁だけ追加だ
「雑草焼こうか?」
階段も着け終わり、みんなで訓練所に降りるとジャンさんが言った
「お前が食ってもいいんだけどな」
とポロを見ると雑草なんか食ってられるか!と言わんばかりにそっぽ向いた
「じゃあお願いします」
「みんな一回出た方がいいな」
そう言われ階段を上がって見物していると30メートルぐらい火が延びる
幅は1メートルぐらいだ、歩きながら焼いていくと腰ぐらいの高さの草が
あっという間に無くなった
皆で降りていくと
「これでダニなんかも死んだと思うよ」
なるほど、さすが一番の年長者だ、ダニの事なんて誰も考えていなかった
「それにしても凄い魔法だな、国王にばれたら宮廷入り間違いないだろう」
ジャンさんが言うのも、もっともだ
「多分、公爵が止めてるんだと思いますよ」
「ああ、それはありそうだ」「間違いないな」
ここからが人力作業
12メートルX12メートルの一段高い台、棒術大会のステージだ
麻袋に土を詰め外枠にして砂と土を入れ一段高くする、外に出たら負けになる
エリアスは砦から遠い方に、分厚い石壁を独立させて立てる、飛び道具や遠距攻撃離魔法対策みたいな感じか?
出来上がったステージの上で二番隊が組手を始めた頃には夕方だった
分厚い石壁のところではサンナがジャンさんにファイアーボールを習ってる
---食堂ーーー
屋台組も戻りみんなで夕飯を食べていた
「エリアス、元気ないね」
マリーに言われると
「流石に今日は疲れたよ」
「アレン兄ィ、出番だよ、ヒール掛けたら?」
「何も練習してないから出来るわけない、そもそも疲れにヒールは
効くのか?」
全員の視線はジャンさんへ
「疲れに効くヒールは聞いたことないな」
「ヒーーーール!」
取敢えずやってみる
「何も変わらないね」
「こういうのもあるぞ、「天にまします我らが母よ、この者を癒したまえ」
ってな、まあおまじないみたいなもんだが」
エリアスの隣に座ってたロゼが真似をした
「天にまします我らが母よ、この者を癒したまえ」
その瞬間、虹色の光が放たれた
ロゼは驚き手を引っ込める、エリアスは光ってる!!
「えええええええええええええええええええ!!!!!!!」
驚き声を上げる者、口を開けたまま固まるもの、何が起こった?
「エリアス!ちょっと!大丈夫?」
サンナに呼ばれて我に返るエリアス
「何が起きた?光ってたけど」
「体は?」
「うん、凄く軽い」
「ロゼは大丈夫?」
「大丈夫、光ったね」
ジャンさんが喋り出す
「偉い事になったな、神の子の再来じゃないか?」
「その昔、冤罪で首を跳ねられた王を群衆の面前で蘇生した
神の子アローラの話、いやまさかな」
「それおとぎ話でしょ?」
「虹色の光を放ち、って一節はよく出てくるんだよ、
アローラ正教会の書物には」
なんだろう?神話の世界に居るのか俺たち
「ロゼ、光ったのは今回が初めて?」
「違う」
首を振りながら否定する、スラムに居る頃は、蟻ばかり眺めていたが、何時からなんだろう?
「今の前はいつ?」
「ここに来てヒヨコ飼ってから、朝冷たくなってたから温めてたら光った」
そういや買ってきたヒヨコ一羽も死んで無いな、ロゼが蘇生してたのか?
「神の子の再来だな、間違いないだろう」
ジャンさんが頭を抱えた、隠し通せるものなのか?
年少組は分かってないようだ、二番隊は動揺してる
「ロゼ、人前で今のやっちゃダメだよ、王都に連れていかれるからね」
「分かった、ロゼ言わないよ」
「みんなもいいかな?さっきのは見なかった、いい?」
「ああもちろん、連れていかれたら可哀相だ」
「兄ィ、俺たちも絶対言わないよ」
ロゼがもう少し大人になるまで時間が必要だ
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