父生還
ーーー第5階層ジャン視点ーーー
もう駄目かもしれないな、火魔法も使え剣術にも自信があった
新ダンジョン発見のニュースを聞いてここに来た、ソロになって3年
息子と二人、のんびり店でもやりながら暮らしたかった
どうしても元手が要る、まとまった金が欲しかった、迂闊だった
「ジーク、、すまん」
「おいどうだ?お前の鼻だけが頼りだぜ」
「ああ、任せろ、火魔法は一番分かり易い、匂いがな」
Aランクパーティーは他にも居るが、俺ほど鼻が利く奴は居ないだろう
ダンジョン内は人間の匂いと魔物の匂いが充満する
だが火魔法の匂いは限られる、この奥で間違いない
「オーガが来るみたいだな、頼む!」
「おう!、任せとけ!」
うちの前衛3人は強い、あっという間にオーガが消えていく
「この先だな、落盤か?おう居たぞ!!」
「おい!起きろ、迎えに来てやったぞ、今、岩どかして出してやるからな」
「、、、うう」
「回復魔法先に掛けさせて、ヒール!いいわ、さあ岩をよけて」
「こりゃひでえな」
「ヒール!私じゃここまでね、さあ出ましょう」
こうして第4階層、第5階層に捜索対象発見の伝令は伝えられた
第4階層のアルにも伝わった
「第5階層で発見された?で生きてるのか?」
「落盤の下敷きになってたらしい、生きては居るみたいだぞ」
「俺らも追うぞ」
「おう」
アル兄ィ達がダンジョンを出ると人だかりが出来ている
「ちょっと通してくれ!ケガ人に用がある」
担架に乗せられた男は意識はかろうじて戻っていた
「あんたがジャンか?ジークは保護してる心配するな」
虚ろだったジャンの目が一瞬で正気に戻る
「ジークは無事なんだな、、」
ギルド職員が話しかける
「アルの顔見知りか?」
「いや息子のな、この後どうなる?」
「診療所に運ぶ事になってる、二日以上、岩に潰されてたからな
ヒーラーも多くて助かったが治療は必要だ」
「ジャンさん、ジークは連れてくるから、寝た方がいい」
「すまん」
「さて俺たちは戻るぞ」「うん」
ーーー砦ーーー
今は1時、鍛錬も終わりリクさんは帰って行った
食堂からはクッキーの焼ける匂い、屋台の売り上げで日に金6ぐらい
売れている、甘いだけで高級品だが、冒険者の金銭感覚はちょっと
おかしいので肉パンと同じ値段でもよく売れる
「そこで食べたそうな顔してても、やらないからなポロ」
窓から恨めしそうに覗いてるプロが扉に歩いて行く
木柵に上がって確認もしないでかんぬきを落とした、ここの住人が帰って来た
みたいだ
「おーい!ジークの父さん見つかったぞ!」
砦内で歓声が上がる
「だから帰って来るって言っただろ」
強がって言うジークだったが安堵したようだ
「もうすぐ下通るからジーク来いよ」
沢沿いに作られたダンジョンへの道は一段低く、ここからは見えない
「歩けてるのかい?」
「いや、ケガしてるから担架で通ると思う、その先で馬車じゃないかな?
診療所に運ばれるらしい」
そんな話をしながら沢の道路で待っていると来た
空だけ見ている父親にジークは近づく
「とうさん!」
「ジーク、すまん」
会話は続かなかった、二人とも泣いている、ついて来たマリーとロゼも
泣いてる
もらい泣きしそうになるので、診療所で必要なものとか子供は一緒に
居れるのか?など聞いていた
「食事も出るし、特別何か必要って事は無いですけど、お子さんは
泊まれませんよ」
「じゃあ日が暮れる前に迎えに行きます、今一緒に行くのはいいですよね?」
「はい、息子さんですよね?」
という事でジークは一緒に診療所まで行く事に
「夕方になったら俺が迎えに行くわ」
「うん、帰ろう」
「それにしても急だね、エリアスに言って階段にして貰ったら?」
「そんな事したら冒険者登って来るだろ」
「それもそうか」
ジークが居ないのを見た二番隊は木柵の上からガッカリした顔をしてる
砦に入ると
「ジークはもうここには来ないの?」
「いや夕方迎えに行くから今晩も泊まる事にはなる」
「その後は?」
「まだ分からないな、父さんのケガの具合にもよるだろう」
新しい友達が出来たばかりで居なくなるのが不安なようだ
「アル兄ィ達も捜索で疲れたでしょ?飯食って少し休んだら?」
「ああそうするわ」
「二番隊は疲れる事してないから、俺たちと一緒に鍛錬だ!10周な」
「まあやりますけどね、アレン兄ィに言われれば」
「気の抜けた返事だな、行くぞ!」
「了解であります!」
風呂で汗だけ流して食堂に行くと
「歯磨き棒と体拭きにクッキー入ってるから持って行って」
「気が利くね、マリーがお姉さんみたいだ」
「とっくにお姉さんですけど?」
「うん、そうなんだけどね、より一層お姉さんしてるなって思ったんだよ」
「ふーーん」
何か納得がいかないようだ、まあいい
「じゃあ行ってくるよ」
屋台組も目の前を通るジークたちに気がついていたようだ
「見つかって良かったね」
「今から診療所行ってくる、もう閉める時間だろ?」
「ここで待ってようか?」
「ジークの父さんとは少し話から遅くなるかもしれないぞ」
「分かった、とりあえず待ってるよ、帰るかもしれないけど」
診療所に着くとジークと父さんは喋っていた
「初めまして、アレンと言います、勝手に息子さんを預かってました」
「いやいや、ジークの面倒見てもらって感謝しかないよ、ありがとう」
「これ、使ってください」
「こんな事までしてもらうとか、ここ出たら返させてもらうよ」
「うちに居る子が持たせてくれたんです、体の方はどうなんですか?」
「もう冒険者は無理だろうって言われたよ、まだまだ足りないが金はあるから行商人でもやるよ」
「この街で商売するなら、力になれる事もあるかもしれません」
「冒険者しながら屋台もやってるんだって?ジークに聞いたよ」
「ここ出たら、落ち着くまで、うちに来ませんか?」
「そこまで甘えるわけにはいかないだろ」
「いえいえ、鶏の世話に燻製肉づくり、炭焼き、仕事もありますから」
「行商人よりいい仕事も出来るかもしれません」
「そんなわけでジークは連れて帰りますね、年の近い子達とも仲良くなってる
ので連れて帰らないと怒られますので」
「すまん、よろしくお願いします」
ジークを連れて屋台の前まで戻るとみんな居た、さあ帰ろう我が家へ
「ジーク、クッキー食べな」
「ありがとう」
「パトリック、親子二人で居られる商売ってなんか無いかな?」
「ぱっと思いつくのは屋台だよね」
「火魔法が使えるって話だけど、それだけで金になったら楽だよね」
「療養所出たら砦に来たらいいとは言っておいたんだ元気になった頃には
何か思いつくでしょ行商人よりいい商売」
「行商人は大変でしょ、馬車で村回る系とかとくに」
「輩に狙われたりするしな、幾らB級冒険者とはいえ親子二人じゃ危険だわ」
砦に着くと二番隊が木柵の上に居る
ジークを待っていたんだろ?お前ら
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