三本目の足
棒術の先生に来てもらうようになって2週間が経った
今も先生であるリクさんの指導中
「棒の取り回しにも慣れてきたから、棒のもう一つの使い方をこれから混ぜながら教える」
ほう、何やら攻撃だけじゃない使い方か、狩りの獲物を担ぐのにも役立ってるがそういう話ではないんだろうな
「ちょっと来て」
「ハイ!」
レオンが呼ばれた
「私に蹴りを入れるつもりで足を上げてくれないか?」
「こうですか?」
先生がレオンの足を掴むと少し動いて見せたらレオンはよろけた
「このように足を取られると、一本足だから不安定だ」
今度は逆に先生の片足をレオンに持たせた
「動いてみて」
先生はよろけない、動かそうとした瞬間、棒先を一瞬放して地面に着けた
「もっと動いてみて」
「ハイ」
先生は器用に片足と棒で歩き出す
「もういいよ、ありがとう」
「棒は三本目の足になる、動きが早い相手に、こちらの蹴りに合わせて軸足払われたら転ばされる、だが棒があれば転ばない、もう一つの使い方だ」
「ほうーーーー」「なるほど」
「こういう事も出来る」
そう言うと木柵の近くまで行き、棒を体の後ろに斜めに着けると両足で木柵を蹴った
何メートル埋まってるのかも分からない、太い丸太が揺れる
「おおおおお!!」
「つっかえ棒があるから力が逃げないで、丸太に力が集中する」
「じゃあ始めよう、体の右に棒先落として蹴り!」
「体の左に棒先落として蹴り!」
今までのすべての型の、最後に蹴りが追加された
面白くなってきたな、体の大きなオークも蹴り飛ばせるのだろうか?
---食堂ーーー
「いただきます!」
「リクさん、棒術って奥が深いですね」
「小柄な女性や子供でも刃物を持った男に十分対抗出来るからね、
血も流れないで無力化できるメリットも大きい」
「それで貴族の使用人にも適してるんですね」
「ああ、警備が居ても使用人まで守り切るのは大変な事だからね、使用人が無
力じゃなければ警備も動きやすい」
「あたしらも頑張るわ!」「うん!」
マリーや子供たちも張り切ってる
「ここはあんまり心配なさそうだけどな、今でも十分強いと思うよ、だけど万一に備えるのは大事な事だ」
そう言うと肉パンを食べながらリクさんが笑ってる
この後は大商人のキャラバン隊に教えに行くそうだ、
荷馬車は狙われやすいから商人も鍛えるんだな、なるほど
「これ今日の分です」
金貨と一緒にウサギ肉の香草焼きとクッキーを持って行ってもらう
「こんなにいいの?いつも悪いね」
「気にしないでください、うちは狩りもクッキー作りも順調そのものなんで」
「じゃあまた明日」
「有難うございました」
柵の上で最後まで見送ってたのはポロだった
年少組は二階で昼寝中、残りは櫓に上って豆茶タイムだ
豆茶もちょっと高いのを買うと美味い
「何だか雲行きが怪しいな」
「これは降りますよ」
「狩りは中止だな、肉は明日の分、足りるよね?」
「屋台の心配はいらないよ」
「ダンジョンも止めておくか、なんてったって沢登った先だからな」
「屋台は売れ残るかな?こども園に届けても残ったら晩御飯だな」
ポツポツ雨が落ちてきた、天気の話をしたすぐだった
ポロが回廊に上がると扉の上まで歩いていく、誰か来たようだ
かんぬきを落としに行かないって事は客人だ
カンカンカン
鐘が鳴ったので行ってみる、いつも行ってる商会店舗の支配人だ
「時計の方が届きましたのでお持ちしました」
「雨の中ご苦労様です、今大きい方開けますね」
観音開きの扉を開けると馬車を誘導した
「どこに着けますか?」
「この回廊の手擦りがいいと思うんですけど」
「さようですか、大きな扉の真上に合わせた方がよさそうですね」
「はい、それでお願いします」
目配せで従業員たちが木箱を開けたり、吊るす場所の確認をしてる
「結構大きいですね」
「はい、闘技場や広場ぐらいの広さの場所に適したサイズですので、こちらにも丁度いいかと」
「色々なものがあるんですね、見させてもらってもよろしいですか?」
支配人は砦の中が気になるらしい
「ハイ、いいですよ」
鶏小屋、お風呂、燻製窯、炭焼き窯、食堂、、、
「ほう、なるほどなるほど」
「新地区の広場でも屋台をされてるんでしたよね?」
「はい、パンに肉と野菜乗せたものとクッキーを売ってます」
「肉が何日も保存できればいいなとは思いませんか?」
「そうですね、今日みたいな雨が何日も続いたらと思うとぞっとしますね」
「魔道具の冷蔵庫はいかがでしょう」
「れいぞうこ?」
「はい、小さな部屋を一つ、真冬のような温度にする魔道具です、肉も傷みにくくなりますよ」
「どのくらい入るんですか?」
「ボアなら10頭ぐらいは余裕で入りますね、ゴブリンの魔石1つで10日ぐらい冷えます」
「ゴブリンの?ダンジョンでドロップしたやつでいいんですか?」
「はいそうです、魔石を入れるところがありますから、入れるだけです」
「高そうですよね、幾らするんですか?」
「冷気を逃げないように加工した壁で作った冷蔵庫本体と魔道具で200万ゼニーです」
「金200か、、、、」
周りを見ると買っちゃえよって顔で見てる
「買っていい?」
「いいよ」「買っちゃおうぜ」
「じゃあ買います、お金は近いうちに届けますよ」
「いえ、工事が終わってからで結構です、お買い上げありがとうございます。あっ時計も終わりましたね、説明させていただきます」
売るもの探してたんだな支配人は、してやられた感がある
「この時計はゼンマイではなく、この錘で針を回しています
下まで落ち切る前に反対の鎖を下に引くと錘は上に上がります」
「使い方はこれだけです、広場の前の時計とたまにそろえた方がいいんですけどね」
「サンナが広場の時計見てここまで全速力ならそんなに誤差にはならないな」
「えーーっあたしかい?」
「冗談だよ、誰が走っても、そんなに遠くないし」
「もう」
「じゃあ私どもは失礼します、冷蔵庫の方は追ってご連絡差し上げますね、大体10日ぐらいだと思いますが」
「はい、楽しみに待たせてもらいます」
そうして高額商品が売れて、満足げな支配人は帰って行った
「食堂や二階から時計、良く見えるかな?」
ーーー食堂ーーー
「十分見えるね」
「ああ、これで屋台もダンジョンもちょうどいい時間に行ける」
「それじゃあ雨降りだけど鍛錬でもしますか」
「そうだな、雨ぐらいで休んでられないな」
「風呂当番頼んだぞ」
ーーー1時間後ーーー
「雨に日は階段が滑るから特にきついな」
「でも雨の日が一番強くなる、ってリクさんも言ってたしな」
「とにかく風呂にしよう」「おう」
雨雲のせいもあり薄暗くなってきたが、魔道具の明かりで時計は良く見える
風呂から上がり食堂でワイワイガヤガヤしていると屋台組が帰って来た
「ただいまー」「おかえりー」
「残りはどれくらい?」
「完売だよ、ダンジョンからずぶ濡れで戻ってきた連中が、晩飯に買っていった」
「なんだ残ってないのか、じゃあ肉だけ切って焼き肉にする?」
「そうだな、炭火に当たりながら肉喰えば、雨で冷えた体にも丁度いいだろう」
「そうだ時計もあるんだし、年少組の寝る時間決めないとな」
サンナが言うと子供たちは一斉に
「えーーーーー」っと揃った
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