開店
コッケッコッコー
コッケッコッコー
コッケッコッコー
朝だ、結局屋台の開店準備で遅くまでかかった
石畳の広場に面した屋台、今日オープンだ
今までは、朝から鍛錬をしていたが、夕方に時間を変えて仕込みをする事になった
「おーーい!朝だぞ!」
まあいい、先に顔を洗う、ポロは回廊を歩いている
「おはようアレン、ふう」
「おはよう」
続々降りてくる、年少はヒヨコに一直線だ
食堂では薄暗い中、仕込みが始まる、今日はボアの燻製肉と玉ねぎ、乾燥させたパセリを乗せる
生地を200個用意する予定だ、余ったら鶏のエサになるのだが完売したい
みんな揃ってる、混ぜ終わった粉は、酵母で膨らむまで時間が掛かる
「店の前が広場ってのはいいな、ベンチもあるし、家族で引っ越してきた冒険者も居るんだろ?」
「うん、一年もすれば立派な街になりそうだ」
大きな生地が10個出来た、棒状に伸ばし切っていく、大体一人20個なので意外と早い
マリーとロゼ、一番隊5人、二番隊3人、農村出身の三人は具や調味料を用意したり、出来上がった生地を木箱に入れたりしている
仕込みは終わった、練習はしてきたからそれなりに早くなってた、繰り返すことでもっと早くなるだろう
屋台はいずれ年少組の仕事場に、形は違ってもスラム時代に兄達から色々生きる術を教わった、俺たちの時代からは商売だ
マリーとロゼが朝食の準備を始める、畑から野菜を採って来る者、鶏小屋から卵を取って来る者、年少組が自発的に動く
そう遠くない内に料理や仕込みを覚えるだろう
---朝食ーーー
「いただきます」
「今日、屋台行きたい子は歩かなきゃならないけど行く?」
「いくー、歩けるよ」
ほんとかな?まあいい連れて行こう、どうせ年長は全員行くんだから途中で背負ってもいい
「ごちそうさまでした」
自分の食器は自分で洗う、今も昔も変わらない
パトリックが荷車を見つめてる
「どうかした?」
「幌つけれないかなあと思ってね」
「晴れの日ばかりじゃないからな、一応天幕の生地はあるけど」
「馬車屋さんで骨だけ作ってもらう?生地はあるんだから」
「パン屋のロイさんの荷車みたいなの作ってもらってもいいかもね」
いつの間にかみんな寄ってきた
「何の話?」
「屋根付きの荷車買うか、幌の骨だけ頼むか相談してたところ」
「パン屋さんの荷車可愛いよね、あんな感じ?」
「そうそう、屋根付き買うならあんな感じだ、色も塗ってもらって」
「店終わるまで荷車は裏に置いておくんでしょ?ポロは帰って、じゃあ見た目もいいほうがいいと思う」
「初日の手応えで決めよう、みんなそれでいい?」
「異議なし!」
ちょっと早いけどみんなで屋台まで行く事にする、じっとしてる方が落ち着かないのだ
ポロはいっぱいに積んだ荷車を曳き、年長は年少の手を引く
大きな商会の店も増えたし、武器屋、防具屋、魔道具屋なんかも出来てきた
さすがダンジョンに近い街らしい雰囲気のなって来た
炭はもう届いてる、火を使う屋台に馬車でまとめて配達してくれてるので助かる
「着いたよーここがみんなの屋台だ」
隣も、もう着て準備中だ
「おはようございます」
「ああ、おはよう今日からよろしくな」
向かって左隣の革製品屋さんだ、冒険者向けのカバンとかベルト、靴なんかを扱ている
荷車から荷物を降ろし、今日の看板娘サンナは釣銭の入ったカバンを前に下げて準備を始める
「窯は二つ、何時でも焼けるようにして、もう二つは小さく余熱でいいかな?」
二番隊エドが火入れを始める、慣れたもんだ
「うん、人通りもまだ少ないしな、いいんじゃないか」
カウンターには【肉パン 鉄貨7枚】の看板
目の前の広場は、大道芸人や吟遊詩人も来ている、食べながら見るのは丁度いい感じだ
「じゃあ、俺ポロ連れて一回戻るからよろしくな」
ポロの落とし物だらけになっては困るので連れて帰る
空の荷車は人力で押して帰る予定だ
「あれ?アレンは?」
「ポロ連れて砦に帰ったよ」
「そうなんだ、ところで200、全部売れるかなあ?」
「大丈夫、売れるよきっと」
「そろそろ焼いてみる?」
「焼いてる匂いがすれば客は寄って来るって本当かな?」
その後、窯で二台で丁度いいぐらいの客の入り、肉が多いから案の定冒険者が買っていく
「順調だね」
「いいか?勝手に居なくなるなよ」「はーい」
二番隊クリスとサロモは年少組の見張り役だ
「あれ見てごらん、年少組は大道芸人に釘付けだね」
「ほんとだ、毎日連れてこないと泣かれるかもね」
人通りも増えて窯は4台フル回転だ
「はい、お待ちどう、鉄7ちょうどね」
「こっちも4つくれ!」
「はいよ、ちょっと待ってね!今焼いてるから」
昼時になって勢いがついた、忙しい
「客の評判も上々みたいだな、あと30で売り切れだ」
まだ日は高いが地元冒険者がダンジョンから帰ってきた
「お前らこんなところで何やってんだ?」
「ああしばらくですね、屋台始めたんですよ、良かったら買ってください」
「ちゃっかりしてるなあ、まあガキも多いのは聞いてるからな、先輩として買って行ってやろう」
「はいどうぞ!」
「鉄7だな、ほれ、釣りは取っとけ」
「何言ってんですかピッタリじゃないですか?」
「ははは、気持ちは銅貨一枚だったんだがな」
まだまだ日没には早いが完売した、オープン日は成功だった、この調子で軌道に乗せたい
屋台の裏で寝ていた年少組を起こし、この日は屋台を閉め帰った
「炭代と税収めても金10は残るね、屋台も悪くないね」
「そうだな、明日はもう20くらい増やそうか?帰ったら相談だな」
「ロゼ疲れただろ?」
「うん、でも楽しかったから良かった」
「前に聞いた時、焼き菓子がいいとか言ってたよね?作って売ってみる?」
「いいの?じゃあ作る」
荷車を牽いての帰り道、みんな疲れたが満足だった
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