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鉄貨の勇者

今日は全員で街に来た

年少はポロの荷車、他メンバーは全員歩き

ギルドにたまった魔石を売ってからロイさんのパンを買い

屋台街で串焼きを買って公園で食べる

商会で買い物して帰るという、子供たちの為のお出かけだ


一番隊の他に、二番隊も連れてギルドに入る

冒険者に早くなりたいクリス、エド、サロモはギルドの雰囲気だけでも大喜びだ


数日分貯めた魔石を、タウンターに置くもんだから、一日分だと思い込んで冒険者たちが驚くのを見るのも面白い


「こんにちは、金5だけ貰ってあとは個人均等割りで預け入れで、お願いします、端数はパーティー口座で」


「はいかしこまりました」


来たら顔出せ、というギルマスの話は忘れた事にして帰ろうとした時に

血相を変えたクリスぐらいの子が飛び込んできた


「村にゴブリンが来ました、助けてください!」


ただならぬ様子にカウンターの前に立ち、助けを懇願する少年を

冒険者たちも見つめてる


夕べ襲われてじいちゃんが怪我してる、親たちは出稼ぎに出ていて

子供と年寄りしかいないらしい


「これで助けてください!」


鉄貨を何枚かカウンターに置いたのが見えた


子供の相手をしているギルド嬢の隣がギルマスに報告に行ったのだと思う、急ぎ足で二階へ


一刻の猶予も無いだろう


「勿論皆行くよね!」「ああ夜になればゴブリンはまた来るだろ」


「よくここまで走って来たね偉いぞ!、お姉ちゃんたちにあとは任せて」


「ありがとう」


一度はカウンターに置いた鉄貨を三枚、サンナに渡して安堵したのか、しゃがみこんだ


「二番隊、事情は分かったな?買い物は中止だ、砦に戻ってくれ」


「了解であります」 x3


ギルド内が静まり返ってた、おかげで村の場所は聞こえた


5人は外に出えるとマリー達に「急用ができた」と言って止まる事なく走った


「夜になる前に着かないとな」「ああ」


5人全員無言で走る、昼食後に昼寝してから出てきた時間、だから日没まで時間が無い、そんなに近い村じゃない



村に着いた時は夕方だった、ほんとに年寄りと子供しかいない


「もう大丈夫だよ、これ飲んで」


ポーションを飲ませた、怪我したじいちゃんは幸い重症ではなかった


「今からじゃ森には入れないな、すぐ真っ暗になるからこっちが不利だ」


「来た方向だけ確認して待つしかないな」「そうだな」


「来る時も帰りも同じところ歩いてきてるな」


5人足跡を見下ろしながら、打ち合わせ終了

村の人に戻りギルドに居る子は安全だろうと話してみんな落ち着いたようだ


水だけ貰って干し肉齧りながら、打ち合わせ通り待っていると、すっかり夜になった


「来た!」


月明かりに、目だけ光って見えて不気味だ、20匹ぐらいか

十分引き付けたところで、エリアスの人差し指が伸びる


「ストーンニードル!」


絶え間なく尋常じゃない数の石針で、逃げる暇もないゴブリンはその場でパニックだ


「とどめ指しに行くよ!」


立ってるゴブリンは一体も居ない、相変わらず反則級に強い魔法だ


「全部で22匹だったみたいだな、朝になったらねぐら見に行くだろ?」


「ああ、根こそぎやらないとな」


「うちの子供たち大丈夫かな?引っ越してから夜俺たち居ないなんて初めての事だろ?」


「大丈夫じゃないか?なんせ砦だからな」「うん、きっと大丈夫」




「交代で少し寝るか?俺眠くないから寝ててもいいよ」


返事が無いと思ったら全員寝てた、緊張感のないやつらだ


薄っすら明るくなってきたが、森の中はまだ暗いだろうな、することもないので、干し肉ばかり齧っていると手持ちが無くなった


みんなお揃いで買ったフード付きの外套はこんな時に便利、朝露も弾いて光ってる


「おおい!朝だぞ」


「みんな一斉に飛び起きる」


「あれ?いつのまにか寝てたんだな」


結構頑張って起きて多様な口ぶりがちょっと面白かった


「なんか体べとべとで気持ち悪い,早く終わらせて風呂入ろう」


それにはみんな同意のようだ


「ゴブリンのねぐら探しに行こう、さっさと帰るにはそれしかない」


「ああ出発だ」


平坦で木さえなければ、見通しの良さそうな森を進むと岩山が見える


「足跡が見にくくなってきたな、完全な岩になったら足跡消えるだろう」


「あれじゃないか?」


「どれ?ああ洞窟だな、ウサギの骨が転がっているな、ここで間違いなさそうだ」


そこらの枝を適当に切ると油を染み込ませた皮を先端に巻き、火をつける


ゴブリン臭い洞窟の中は静かだった


「行き止まりだな、子供ゴブリンもいないし、最近住み始めたのかな?」


「これで帰れるな、耳どうする?」


「要らないんじゃないか?勝手に来ちゃったわけだし、軽く埋めて帰ろう」


「ゴブリン集落でも在れば報奨金出たのにな」「まあ人助けも出来たしいいだろう」


村に22体討伐と、ねぐらは空だったと伝え帰り道走ってると、前方からギルドの馬車だ


止まった馬車からは大剣を背負ったギルマスとギルドに駆け込んできた子供が降りてくる


「どうだった、おまえら?」「22匹やりました、ねぐらも確認しましたが他には居ませんでした」


「だってよ、良かったな」


子供の頭に手を置きギルマスが言うと


「みんな、ありがとう」


「じゃあギルマス、子供をよろしく」


「なんだ乗らんのか?行って帰ってになるけど楽だろ?」


「俺たちに追い付けたら乗せてもらいます」


早く砦に帰りたいから遠慮した、みんなで走った


折り返してくる、ギルマスの馬車に追い付かれることもなく、砦の前まで来ると二番隊が柵の上で待っていた


奥に向かって「帰ってきたよと叫んでる」


「ただいま」


みんな喜んでいるのが何よりうれしい


「風呂は何度も薪を追加して、いつ帰ってきても入れるようにして待ってたんだよ」


「じゃあ、さっそく入らせてもらうぞ!」


みんなで風呂に入って、食堂で夜明かさなきゃならなかった理由とか説明して、寝させてもらう事に



目が覚めると二階には誰もいない

鶏小屋では年少組が、新しい産卵箱から出てこない鳥と睨めっこしてる


「出てこないね」「眠いのかなあ?」


なんて話をしてる


「卵を温めてると思うぞ、今までのは転がって外の箱に卵入ってただろ?今度のは目の前に卵があるから座って温めてるの」


「そのうち、ひよこ生まれるからな」


子供たちは大喜びだ、ヒヨコ談義が始まった


角笛のような鳴き声でポロが呼んでる、ブラシかな?


さっきまでポロの周りにいた子も、ヒヨコの話が耳に入り鶏小屋に行っちゃった


ポロにブラシをかけながら周りを見ても一番隊はいない


二番隊は回廊で木剣片手にゴブリン討伐ごっこをしてる


畑の人参をポロにあげてから物見櫓に登ると全員いた、ここもいつの間にか椅子が運ばれ談笑スペースになっていた


「もう起きたのか?一睡もしてなかったんだから、夕方まで寝てると思ったぞ」


「今朝の鍛錬がない分、体は楽だから問題ないよ」


「ところで昨日行けなかったから今日行く話にはなってないのか?」


「子供たち楽しみにしてたからな、何なら今から行く?」


「じゃあ行きますか?」「櫓の上から叫んでみる?」


「おーい!今から街に行くぞ」


あっちこっちから年少の声がする、さあしたくして出るか


昨日と同じ、荷車に年少組、みんなで歩いてパン屋に向かう


「パン屋のロバさん今日はいるね」「ほんとだ、ポロに似てるね」


「ポロとこのロバは親戚なんだよ」「そうなの?」


ポロはというとパン屋のロバと鼻先合わせてる、パン屋のロバの方が老けてるから甥っ子みたいな感じか?


二頭がじゃれてると店からロイさんが出てきた


「こんにちは、パン買いに来ました」


「こんにちは、ロバたちも仲良くしてるようで、新作もあるんでゆっくり見ていってくださいな」


今日は子供たちに好きなパンを選ばせることに、三個選んで袋に入れてもらい表へ

当然中々決められない子もいるので、そんな子には他の子にも人気だったものを入れる


後は食事の時用のパンを適当に買って店を後にした


 ーーー屋台街ーーー


ここでは串焼きが一番人気、当然買うとしてベリーやリンゴも買っていく、それと野菜だ


「親父さん久しぶりですね、22本ください」


「おう、来たな、すぐ焼くからよ」


「ところで鉄貨の勇者って知ってるか?」


何か嫌な予感がする、レオンがすぐ聞き返す


「なんだい?そのてっかのなんとかって?」


「昨日冒険者ギルドでな、村がゴブリンに襲われて子供が一人ギルドに駆け込んでな」


「へーーっ、全然知らなかったなあ」


「それでまだ子供なもんだからよ、鉄3しか持ってなかったらしいのよ」


「ふーーーん、それでそれで?」


「あるパーティーがな、鉄3で引き受けたらしいんだわ、いい話だろ?」


「あーーそれでどうなったのかな?」


「それがなあ、ゴブリンの数は90以上で朝まで乱戦だったらしいぞ、一人は重傷だとか」


「聞いてないかい?」


「いやあ、今日はパン買いに行ったりでギルドに行ってないからなあハハハハハ」


「ハイお待ち、22本焼けたよ」


「はいこれ」「まいど」


噂話は恐ろしいな、数は違うし、4人は朝まで寝てたし


「どこであんな話になったんだろうな」


「さー」「まあいいんじゃないの悪ことしたわけじゃないんだし」


公園で串焼きとパンを食べ、商会で買い物して帰った


ギルマスに呼び出されたのは次の日だった






お読みいただき有難うございます

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