姉弟はおかしい
今日も普段通りの朝の鍛錬だった
とはならなかった
肺も膝も太もも、ふくらはぎ、も悲鳴を上げている
「パトリック、、、お前の、言ってたあの兄弟おかしい、、って」
「へーーひーーーっ、言ったでしょ、、馬車で、、、一週間、、以上、掛かる、、距離、、三日で、、走って来た、て、、絶対、おかし、、って」
回廊に繋がる階段、家の二階屋根ぐらいの高低差が続く、上り下りの周回コース、最近慣れてきてたと思ってたが、あの二人は次元が違う
「おっ先きにー」
また抜かれた、何周差が付いてるのか分からない、足音すら一切聞こえないまま、鳥がかすめ飛ぶように抜かしていく
ひっくり返ってるレオンに追いついた、たまらずパトリックも俺も座り込む
肺に空気が追い付かない
大人しい感じのエリアスもサンナと同じペースで走ってる
クリス、エド、サロモは早々に脱落して剣士から置物に
「都の人間の割には良かったんじゃないかな?でもまだまだ下半身が弱いね、体硬いんじゃない?柔くしないと怪我の元だよ」
姉弟が柔軟始めたのを見ると異常に体が柔い、いや俺らが異常に硬いのか?
三人で真似すると手伝ってくれるらしい、その笑顔が怖い
「もっと、ぐーーーっと」「イタイ、イタイ勘弁してーー」
そうして拷問が始まった、訓練兵たちは結構柔いみたいだ、身の危険を察知して、少し離れたところで柔軟してる
ーーー食堂ーーー
朝からとんでもない事になったが、あのスピードは是非欲しい
目の前に目標が居るのはいい事だ
「三人朝からバテてるけど大丈夫か?情けないな」
「じゃあマリーも明日から参加ね?」
「なんでそうなる、あたし達は食事の用意なの、ネー」
「ネー」
ロゼを巻き込むんじゃないとパトリックが一言、レオンはぐったりしてる
「ここは窯が一つも無いんですね、食後に作りますか?」
「窯って?」
「パン焼いたりする料理用窯と炭焼き窯ですね」
「レンガは買って来ないとないよ」
「大丈夫です、土魔法で出来ますから」
「ほーーっ見たい見たい!!」
---朝食後ーーー
「炭焼き窯から作りますか、場所だけ教えてください」
「どの辺がいいだろうね?」「うーーん」
「剣で切った木置いてるあの辺でいいんじゃないか?」
「じゃあこの辺で、クレイウォール!」
みるみる半円球が出来るのに全員が驚き歓声が上がる
「ちょっと触ってみてもいい?」
「はいどうぞ、固めたので強度もそこそこありますよ」
手で触ってみる、レンガ触ってるみたいな感じだな
年少組が入りたがって仕方ない
「丁度手ごろな木もあるので早速焼きますか?」
パトリックがいつの間にかノコギリを手に持ってる
「どのぐらいで切ればいい?」「このぐらいですね」
エリアスが窯のある高さに指を当ててこの高さで縦てに詰めます、と説明する
「窯どころか炭づくり始まるとか魔法って凄いね」
「凄いんじゃなくてずるいの」
「手ぶらで狩りに行ける魔法使いはずるい、不公平だ!」
サンナがぼやきだした、こんなの見せられ続けてれば言いたくなるのも分かる
「そんな俺を顎で使ってきたサンナが一番ずるいと思うけど?」
「まあな、はっはっはっは!」
兄と妹に見えてきた
そうこうしてる内に窯はいっぱいになって火入れだ
釜土の火種から火を持ってきて点火
「あとは白い煙が紫になったら上も下も土魔法で塞いで明日には完成かな?」
「楽しみだね」「結構熱いから触ったらだめだからね」
「鶏小屋もやってくれると助かるなあ」
ぼそっとパトリック
「先にやりましょうか?どうしたいのか教えてもらえれば出来るかも」
「いいの?木柵の隙間だけ埋めて欲しいんだけど」
珍しさのあまり全員でついて歩く
「ちょっと小屋の中一緒に来てくれる?これ空いてるでしょ?外が見えなくなればいいんだけど」
「ああ、これなら「クレイニードル!」」
ピュピュピュと細い粘土が隙間を埋めていく、これも面白い
「こんどのは固まる前の粘土です、もう少し時間が経てば固まりますがこれでいいですか?」
「いい、すごくいい固めちゃってください」
「はい、完成です」
「おうーーー凄い」
あとは料理窯ですね、薪使うなら外ですけど、炭も作ってるので中でもいいと思いますよ
「じゃあ中だな、この辺がいいかな?小さい子の手の届かない高さがいいけど土台からでもできる?」
「はい、大丈夫かな、ストーンウォール」
「まず台はこれぐらいでいいですか?」「いいんじゃないかな?」
「何これ台がツルツルしてる」
「はい、石ですからね、出し入れと焦げ付きで差が出ます」
「クレイウォール」
「おおお、ここに炭を入れて熱でパン焼いたりすると?凄いね」
「住まわせてもらってるんで、これぐらいお安いご用ですよ」
「二人はこっち来て街も碌に見てないよね?みんなで出かけない?
窯も出来たし、商会に欲しいものあるんだよね」
「ロバと荷車に子供たちも乗せていきますか?ギルドで角うさぎの依頼もそろそろ受けなきゃならないし」
「うさぎ?ウサギって言った今?」
「ああそうだよ、定期的に行く約束になってて明日行く分受注しておきたい」
「あたしも行くよ、たまたま通りかかって討伐したって言えばいいよね?」
「まあいいでしょ、ヒール草も商人ギルドに持っていきたいんだ、角うさぎのすぐそばで採れるんだ」
「炭に火入れちゃったから俺残るよ」
「ああそうだったね、忘れてた、俺も残るよ色々教えて欲しい事もあるし」
こうしてパトリックとエリアスは留守番、ロバと年少組、全員街まで行くことになった荷車に子供たち乗せると隙間が無いぐらいの状態、それでもロバの旅が嬉しいらしい
エリアスは商会でほしいものをなにやらサンナに頼んでた、岩塩は運んだ量でいくらか決まり、普通の大人の倍以上稼いでいたって言うんだからお金の心配は当分ないらしい
子供たちは大喜び、って言うか五月蠅い
昼にはまだ早いので冒険者ギルド先に寄る
角うさぎの依頼書を取るより先にレオンはカウンターにいる、ギルド嬢一人一人に挨拶してるのがちょっと恥ずかしい
「レオンは何してるの?」
「ついて来たサンナが不思議がる」
「アーシャがサンナに手を振ってる、あっち」
サンナは誰それ?って顔したが世話になったギルド嬢と分かり深くお辞儀する
クエスト受注を終わらせ出ようとドア開けたらアル兄ィ達がマリーと話してる
「アル兄ィお久しぶりです、引っ越し先教えたかったんですよね」
「おう!砦の親分、ずいぶん面白い事になってるみたいだな、ダンジョンの近くらしいじゃん、今聞いたからダンジョンの帰りにでも今度寄らせてもらうわ」
「お隣さんは?もしかして?」
「いえ、身元引受人が居なくて冒険者登録できないでうちに居るんですよ」
「ああギルマスがゴニョゴニョ歯切れの悪い事言ってた姉弟か?」
「いいぞ、お前らと一緒に居るんだろ?妹分みたいなもんだ、でもう一人は?」
「今日は留守番です、それよりほんとにいいんですか?」
「ああ3人も5人も変わらんだろ、さあ妹分、ついてこい!」
「ほんとにいいんですか?どこの誰かも分からない相手」
「いいからさっさとついてこい!」
こうしてあっけなくサンナの冒険者登録はクリアとなった、そしてエリアスの方もギルドに来れば、すぐ登録してもらえる段取りになった
「ホントに良かったのかなあ、後できちんとお礼しないと」
サンナは結構律儀なようだ、鍛錬の時もこうだといいんだけど
そろそろ昼なので屋台街で買って食べればちょうどいい、公園もそばにある
串焼き屋のおやじを年少組に紹介する、普段食べてるのは、ここの串焼きなんだと
「よく来たな、それにしても大家族だな、大変じゃないか?」
「そうでもないですよ、こっちの三人もお兄ちゃんしてくれてますんで」
「そうそう、俺たち居れば百人力だよな」「うんうん」
見習い剣士たちは誰に似たんだろう?マリーだな、うん間違いない
公園で昼にした後、商会で買い物してるのをロバと待ってる時、ロバに名前つけてない事に今気が付いた
うーーん、何がいいだろう?ポロでいいかな?うん今日からポロだ
ポロと呼ぶとこっちを向くので問題ないだろう




