第四話 新聞と「あの魔物」
こんにちは!
第四話は、いよいよ、危機が迫ってきている感じです!
さて、ネリー達はどのように危機を乗り越えようとするのでしょうか!?
ぜひ、お楽しみください!
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サンドイッチも食べ終わり、ココアを飲んでリラックスしていた。四人がリラックスしている。時には昔話を楽しみ、時には一人の時間をゆっくりと過ごした。
ネリーも肩の力を抜いて鼻歌を口ずさんでいた。ふと、辺りを見回すと視界の端で何かがはためいていることに気が付いた。
(なんだろう…?見に行ってみようかな)
ネリーはココアの入った魔法瓶を置いて立ち上がる。そして、靴を履いて雪の上に足を踏み出した。
「どこに行くの?ネリー」
後ろからリーナに声をかけられる。ネリーはコートの裾を翻して振り向いた。
「少し見てくるだけ。すぐ戻るから」
ネリーはニコリと微笑むと、再び前を向いて歩き出す。太陽の光に反射してキラキラと輝く雪の上を踏みしめるようにして。
ネリーはピタリと足を止めた。目の前には、岩の隙間に挟まってはためいている何かがある。ネリーはゆっくりと手を伸ばし、はためく物を掴み取る。手に取った物は今朝の新聞の切れ端であった。新聞は所々雪で濡れている。全体的に湿っていた。新聞は一部、濡れたところが凍っていた。
(…冷たい。新聞ってこんなに冷たくなるんだ…。この新聞…風に飛ばされてきたのかな…?)
何気なく新聞を裏返す。ネリーはその新聞の記事を目で追っていく。穏やかな表情が次第に強張り、とても信じられないとでも言うように目が大きく見開かれていった。感情がついていかず、つい先ほどの幸せな気持ちを思い出せずにいた。
「どっ…どうして……!嘘…でしょ……?」
その新聞には……………。
岩々の隙間に挟まっていた新聞の切れ端。その新聞にはこう記されていた。
「インビジブル・ドラゴンが出現!被害増加」
昨日、インビジブル・ドラゴンが現れ、三人を襲いました。その三人は彩子町に観光に来ていた4人家族です。夜にキャンプをしていたところ、襲われた模様です。襲われた三人は互いを殺し合い、三人とも亡くなりました。偶然、その場に居合わせなかった11歳の凛久さん。殺し合っている三人を見つけ、近くでキャンプをしていた人々に助けを求めました。そして、殺し合う家族の元へ人々を案内する途中、足を踏み外し斜面を転倒。その後、崖の先から転落し、崖の下で息を吸い取りました。今後、インビジブル・ドラゴンによる被害を………。
「どうしよ…?とにかく、リーナ達に知らせなきゃ!」
リーナ達が座っている場所に向かって走り出す。ネリーの顔は青ざめていた。
インビジブル・ドラゴン、略してインビーとも言う。
とても危険な幻獣だ。幻獣というのは、簡単に言えば特殊な能力を持った生物だ。インビーは幻獣の中でも異質で危険な存在である。あの魔物に襲われた人は何らかの形で必ず死ぬ。そういう運命なのだ。インビーは人々の恐怖を得るために人々を襲い続ける。そんなインビーがもし、ネリー達を襲ってきたら……ネリー達はあっけなく死ぬだろう。この土地に住む運命なのだから。
「はぁ…はぁ…」
ネリーは必至に雪の中を走る。雪に足をとられて走りづらい。さらに、コートの裾が足にまとわりついて邪魔である。しかし、ネリーはそんなこと気にしていなかった。それ程恐れていた。
「どうしたの?ネリー」
青ざめた顔で息を切らしながら駆け寄ってくるネリーを見てリーナが首をかしげる。ネリーの瞳は恐怖に揺れ、肩から手や足にかけて小刻みに震えていた。一方、リーナはココアの入った魔法瓶をゆっくりと口に添える。口の中に温かいココアを呑気に流し込んだ。
「こっ…これ…、見て!」
ネリーは先ほどの新聞の切れ端をリーナに差し出す。差し出したその手は恐怖でカタカタと震えていた。リーナが不思議そうに新聞の切れ端を受け取る。続いてライナーとフィリアスがその新聞の切れ端を覗き込んだ。
「何々?…インビジブル・ドラゴンが出現!被害増加……。え?インビジブル・ドラゴン!?」
「え…。はぁ!?」
「インビジブルって…例のあれか!?」
新聞の記事を読んで三人は驚く。
「あそこの岩に挟まってた…」
「なんで…。いや、そんなことよりこの新聞いつのだ?」
リーナが冷え切った新聞の上部にこびりついた雪を震える指で払い取る。払い取られたところを見るなり、リーナの顔には血の気が失せた。
「……え…えぇと……。嘘…!そんなっ!なんで!?…なんでこの新聞には今日の日付が書かれているの!?」
リーナの言葉に皆の顔が青ざめた。ネリーは寒さで冷たくなってしまった手にグッと力を入れる。そして、血が滲むほど強く唇を嚙み締めた。
「…噓でしょ?…どうしよ……」
「「「………」」」
四人ともすっかり黙り込んでしまった。そんな中、口を開いたのはライナーだった。
「……おい。この…彩子町って、この丘の西側じゃなかったか…?」
「あ……」
彩子町は、ネリー達の住むこの丘にある小さな町である。ネリー達の家は丘の東側に、彩子町は西側に存在した。皆、恐怖と混乱が先にたって、すぐに気づかなかったのだろう。
「…うわぁぁ!どうしよう!?」
「おっ…おい、フィリアス!落ち着けって…!」
混乱するフィリアスをライナーがなだめる。ライナーはいかなるクライシスな状況でも冷静だ。少し考える素振りを見せた後、すぐに指示を出した。
「…ひとまず家に帰るんだ。話はそれからだ!家の方がここよりは安全だ!」
「うっ…うん!」
「じゃっ…じゃあ、早く荷物まとめて…!」
ライナーの冷静な判断により、家に帰ってから今後どうするか話し合うことになった。インビーが丘の反対側まで来ているのだ。こちらに来る可能性が高い。そうなれば、ネリー達にも被害が及びかねない。四人は急いで荷物をまとめ、家へ帰る道を急ぎ足で辿った。
太陽が南の空から西の空へと移動し始めた頃、四人は必至に歩いていた。
普段よりも早く歩いている。
皆、何も話さないが、心の中では恐怖と焦りでいっぱいで本当は何かにすがりつきたいのだ。それを必死に我慢し、疲れた足を休ませることなく必死に動かしている。
ネリーは疲労によって足の感覚がなくなってきていることを感じながらひたすら歩き続けた。
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