第三話 冬のピクニック
こんにちは!
皆さん、お元気ですか?
私、とっても元気です!
第二話に続いて第三話です!
楽しい感じです!(今回は)
どうぞ、「見えない竜☆インビジブル・ドラゴン」をお楽しみください。
1時間後、ネリー達は家を出て、歩きだした。ネリーは薄茶色の温かなコートを着ている。白色の耳当てと桃色の手袋を身に着けている。リーナはネリーと色違いの紫色のコートを着込み、薄茶色の耳当てとオレンジ色の手袋をはめていた。先頭を歩くのはフィリアスである。フィリアスは緑色の大人サイズでポケットがたくさん付いたコートを着ている。茶色いくまの帽子と手袋をしていた。ネリーはその様子を見て(歳に釣り合わない恰好だな)と考えていた。一方、ライナーは紺色の大人っぽいコートに黒色のニット帽で耳を隠し、赤い手袋をはめていた。
四人は真っ白い息をはきながら雪の中を歩いていた。
「今から行くのはとっても凄い所なんだ。みんなも驚くぞ!絶対に!」
フィリアスは元気が有り余るほどあるらしい。歩いている間、ずっと一人でしゃべっていた。
太陽が南の空から地上を照らしている頃、四人はずっと歩き続けていた。
「ふぅ…ふぅ…。まだ…歩くの?…疲れた…よ…」
ネリーの横でリーナが息を切らしながら、額に滲んだ汗をハンカチで拭った。
「うん…さすがに私も疲れてきた…。フィリアス、あと…どのくらい?」
「ええと…、あと少し。次はあそこを曲がって…その次はここを…」
フィリアスはが道順を説明するが、ネリーは疲れてそれどころではなかった。
ネリー達が住んでいるのはとある丘の上。家の目の前には小さな花畑。その向こうには海が見える。
今、ネリー達は丘を北の方角に登り、いくつもの洞窟を抜け、最後の洞窟の中を歩いている。
(本当に最後なのかな?…フィリアスが言うには最後らしいけど…大丈夫?心配だなぁ)
「あっ…抜けたぞ!」
前方からフィリアスの声が聞こえる。突然、光に包まれた。まぶしさのあまりに思わず目を閉じてしまう。
「わぁ!すごい…」
リーナの声が聞こえて目をゆっくりと開いた。そこには、美しい光景が広がっていた。眼下にはネリー達の家があった。さらに下には雪に包まれた真っ白な冬の街が広がっている。
「…すごく…綺麗…」
感動のあまりに口から心の声がもれた。しばらく見とれていると急にライナーがフィリアスに言った。
「よくこんな所知っていたな。…お前、道順覚えるの苦手だったろ」
「「「………」」」
(そういえば…)
フィリアスは覚えることが苦手だった。暗記するものが多い勉強ではテスト後に赤点の答案用紙ばかり持って帰ってきた。そんなフィリアスがどうやってこの難しい道順を覚えたのだろうか。不思議である。
「…どうやって覚えたの?それに…ここまでの道順…すごくややこしかったよ…?」
「…」
フィリアスが急に押し黙った。フィリアスを除いた三人が顔を見合わせた。その時、フィリアスが口を開いた。
「…俺のこと…なんだと思ってるわけ?」
「「「………」」」
(フィリアスをなんだと思っているかって?それは…なんだろう?…優しくて少し…おっちょこちょい…?)
「バカでお調子者で変わった奴」
ライナーが沈黙もズバリと破った。遠慮のかけらもない言葉にその場にいる全員が驚く。
「え?」
フィリアスが思いもよらぬ返答に目を見開く。そんなフィリアスを見てライナーは顔をしかめる。
「だぁかぁらぁ!バカでお調子者で変わった奴っつってんの!」
「「……」」
ネリーとリーナは押し黙った。四人の間を北風が通り抜ける。
「「「「………」」」」
長い沈黙が流れた。暫くした頃、フィリアスが背負っていたリュックサックを前に抱えなおした。
ガサゴソ…
急にフィリアスが背負っていたリュックサックの中に手を突っ込んだ。何か探しているらしい。三人はフィリアスを凝視している。
「「「……」」」
ガサゴソ…
フィリアス以外の三人は黙ってフィリアスを見ている。
(…何してるのかな?)
ガサッ…
フィリアスの手の動きがピタリと止まる。何か見つけたのだろうか。
「…あった」
フィリアスはリュックサックの中から何かを引っ張り出した。リュックサックからフィリアスの手によって水色の何かが出てきた。
「じゃん!」
フィリアスが出した物は…水色の巾着袋だった。出した巾着袋をライナーに何気なく押し付けると再びリュックサックに手を突っ込んだ。
「……は?」
ライナーは我に返った。何が何だか理解しきれない様子で押し付けられた巾着袋を見つめる。
「おい…。なんだ?この巾着袋は」
「ようしょっ…と」
ライナーがフィリアスに尋ねるが、フィリアスの耳に入っていなかった。フィリアスはリュックサックに手を突っ込んだままだ。
「あった!」
フィリアスがリュックサックの中から何かを引っ張り出す。それは…レジャーシートだった。
「はい!端持って。リーナもこっちの端持って!」
ネリーとリーナにレジャーシートの端を持たせる。フィリアスはレジャーシートの端を二つ、手で掴んだ。
「広げるよー!せーのっ…!」
バサッ…
レジャーシートが音を立てて中に浮く。そして、静かに雪の上に広がった。雪の上にレジャーシート一枚だけでは冷たいのではないかと皆が疑問に思うだろう。しかし、その心配は必要ない。このレジャーシートは、仕掛けがあり、雪の上でも冷たくない。むしろ、温かいのだ。
以前、このレジャーシートを購入したときにフィリアスが好奇心を制御しきれず購入先のスタッフにずっと気になっていたことを聞いたらしい。その『気になっていたこと』いうのはなぜこのレジャーシートが温かいのかということだ。せっかくスタッフがレジャーシートの説明をしていたというのに、フィリアスは途中で遮ってしまった。無論、ライナーは激怒していた。その後、ライナーが散々怒鳴り散らしたことは言うまでもないが、皆も気になるのではないか。なぜ温かいのか…。その質問に対しスタッフは…「誠に申し訳ございません。そのことに関しては企業秘密ですのでー。」とはぐらかしたのだ。フィリアス達が子どもだったことから軽視させたのだろう。故に温かさの秘密は分からないままであった。
「よし!準備完了!さぁ、みんな座って!遠慮しなくていいよー」
「え?…うん」
よくわからないという表情をしつつも三人が座る。三人が座ったことを確認した後、急にフィリアスがライナーが持った巾着袋を指さした。
「開けてみてよ」
「え?…あぁ」
ライナーは状況をのみこめないままゆっくりと巾着袋を開ける。
「…サンドイッチ?」
「そう!サンドイッチ!みんなお腹すいたでしょ?ここで食べようと思ったんだ」
ライナーが巾着袋から出した物はサンドイッチであった。フィリアスを除いた三人が唖然とする中、フィリアスがサンドイッチを順々に渡していった。ネリーの手にもサンドイッチがわたってきた。
「…温かい」
氷のように冷たくなった手先からサンドイッチの優しい暖かさが伝わってくる。リーナはサンドイッチを頬にあてて気持ちよさそうにしている。
「実はね、ネリーとリーナん家言った後、すぐに帰っただろ?あの時、急いで作ったんだ」
少し照れくさそうに言うフィリアスを見て微笑んだ。
「そっか。…ありがと!…ところで、どうやって温かいままサンドイッチ持ってきたの?」
今は真冬である。この丘の真冬はとても寒く、-10℃になることだってある。そんな中、サンドイッチを温かいまま持ってくることは困難である。
「実はね…じゃーん!ココア!」
「…ココア?」
「もしかして…ココアで温めてきたのか…?」
「さらに、カイロォ!」
「カイロも!?」
ココアが入っているという魔法瓶を四本取り出して並べる。確かに魔法瓶は体のぬくもりに近い温かさがあった。さらに、幾つものカイロが魔法瓶の周りに放り出された。それぞれ一つカイロを手にとり、寒さで固まった手を温まる。
「正解~!ライナー、10点!」
「10点?100点じゃないのか?」
「ライナーに100点だなんてもったいないだろ?」
「はぁ!?もう一回言ってみろ、おい!」
ライナーとフィリアスが口喧嘩を始めてしまった。ネリーはため息をつく。口から出た気体が外に出ると真っ白くなった。いつの間にかフィリアスはいつも通りの上機嫌である。
「こっちはこっちで静かに食べよっか」
「そうだね」
ネリーとリーナはそれぞれ魔法瓶を手にする。ふたを開けるとたちまち湯気が立った。湯気と一緒にカカオの優しい香りが鼻先に届く。一口、ココアを口に含む。
ゴクリ…。
「…おいしいね」
「うん、いい香り」
二人は顔を合わせてニコリと微笑む。次に、サンドイッチに手を伸ばした。
パクリ…
一口かじる。口の中で温かなパンのやさしくまろやかな味が広がり、卵やケチャップ、レタスの味がアクセントになっている。一口分を食べ終えると二人は目を輝かせた。
「…おいしい!」
「ね!…久しぶりだね、サンドイッチ食べたの」
二人は幸せそうに残りのサンドイッチを頬ぼった。
お楽しみいただけましたか?
次回、ネリー達がどのような展開を繰り広げていくのかー!?
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