表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/49

帰ってきましたリベイラ領

 キロイフ領でやるべき事をやった。

 道路工事はリベイラ領・キロイフ領間は完全に出来上がり、現在は王都方面への工事に移った。

 ここからは山道を掘削したり補強したりで時間がかかる。


 そしてベリエラ山脈の鉱山開発だね。これは引き続きリベイラ騎士団から人を貸して、採掘と警備の両方を担って貰う。

 最後に果樹園は農業の親方に面倒を見てもらい、現地のキロイフ領の住人に引き継ぎをして貰う。


 これら全てをルーカス叔父様に丸投げして、僕達はリベイラ領への帰途についた。


「ん〜、頑張ったな〜。しばらくはのんびりしたいな〜」


 僕は休憩のために止まった馬車から降りて、大きく伸びをしながら呟いた。

 うん、よく働いた。7歳がこなす労働量としては僕は頑張ったよね? 間違いなく世界の歴史を塗り替えるレベルで頑張ったはずだ。これでキロイフ領はルーカス叔父様に任せておけば勝手に大富豪になるし、僕の元には美味しいお酒とフルーツが定期便で届く。完璧な不労所得ライフの完成である。そして、僕は何もしなくても褒めて貰える。うししっ……


 すると、すぐ後ろから馬車を降りたシエラとリーナの幼女コンビが、僕の両脇にトコトコと駆け寄ってきた。


「お兄様、本当にお疲れ様でした。お兄様はキロイフ領の救世主ですわ。シエラ、とっても誇らしいです!」


「リーナもそう思うのです。若様は世界一カッコいいのです。パパとは大違いなのです。ウットリ」


 シエラが僕の服の裾をぎゅっと握りしめ、リーナがキラキラとした尊敬の眼差しを向けてくる。うんうん、可愛いなぁ。これだけ全肯定で褒めちぎってくれるなら、泥にまみれて道路を作ったり果樹園を作ったりした甲斐もあるというものだ。褒められて伸びる子だからね、僕は。特に女の子に褒められるのが……


「あらあら、アランちゃんは本当に大人気ねぇ。でも、ルーカスお兄様のあの魂が抜けたような顔を見たら、少しだけ可哀想になっちゃったわ」


 馬車から優雅に降りてきたアメリアお母様が、クスクスと楽しそうに扇で口元を隠している。


 可哀想って、お母様もノリノリで「リベイラへの優先供給」を確約させてトドメを刺してましたよね?

 今頃ルーカス叔父様は、ガイウスおじさんと一緒に、徹夜で果樹園の警備計画と宿場町の建設図面を血眼になって書いているはずだ。


「……はぁ。アラン坊ちゃま、冗談抜きでリベイラへ戻ったら大変なことになりますよ」


 御者台から飛び降りたセバスチャンが、手元の「お父様への報告書」をペラペラとめくりながら、頬を引きつらせていた。


「どうしたの、セバスチャン。道路も繋がったし、鉄も魔鉄も手に入って、果樹園まで出来たじゃない。リベイラ領にとっても一石三鳥の良いこと尽くしじゃないか」


「坊ちゃま。その『一石三鳥』の規模が、普通の人間にとっては大事件なのでございます……いいですか、私が書いたこの報告書を旦那様が読まれたら、間違いなく心臓を押さえてひっくり返ります。そして、リベイラ領へ戻った瞬間、坊ちゃまは旦那様からの、涙ながらの『質問』攻めに遭うかと」


「えっ……お父様怒るかな? 褒めてくれるよね?」


『シーン』と、なる。

 お母様もセバスチャンもミーナも黙る……シエラとリーナの幼女コンビだけが……


「お兄様ステキですわ」「若様、カッコいいです」


 うん、キミ達は本当にカワイイね。このまま素直に育って欲しいものです。将来『お兄様のパンツを一緒に洗わないで……』とか言われた日には軽く死ねるな……世のお父さん達はそんな恐怖と戦ってるんだな。僕は尊敬するよ……『お父さん頑張れ!』


 休憩も終わり、再び馬車で揺られてリベイラ領へと向かう。みんなで作った道路はデコボコしてはいないし、雨水処理用の側溝や中央からの傾斜などもちゃんとできているね。

 これがリベイラ領から王都まで続く大動脈になるんだね。


 そして、今回の果樹園で少し分かった事があるんだ。まだリベイラ領でも少ししか開拓出来ていない魔の森だね。現在は騎士団が魔物の討伐で入って行くくらいで何も分かっていない。

 その騎士団から話を聞くと、様々な植物が自生しているみたい。


 僕も何度も魔の森に入りたいとお願いしているんだけど……みんなから止められて調査が出来てないんだよ。僕の『見える化』もあるから行きたいのに。


 それでも植物と魔力を結びつけるととんでもない効果がある。それなら魔力が豊富な魔の森で自生している植物は凄いモノなんじゃないかな……

 お宝発見の可能性もあるし行きたいんだよな……


 ただ、この話をすると女性陣から泣かれるんだよ。シエラとリーナなんか離れなくなるし、お母様には小言を言われるし、ミーナは……思い出しても、恐ろしい。

 だからまだガマンしてる。でも粘り強く交渉して行けば、きっと行かせてくれるさ。


 この世界ではまだ見ぬお米やバカ高い香辛料やフルーツ類……他にも異世界でよくある薬草なども期待している。

 後は魔物でも食べられる魔物なんかもいるかもしれないしね。そういう魔物を飼い慣らす事が出来れば畜産なんかも……考えただけでもワクワクするよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ