キロイフ子爵領の発展
「何故こんなことになってるの?」
僕は意味が分からず首を傾げる。その様子を見ていた幼女コンビの妹シエラと獣人リーナがヒソヒソと話している……
「ああ、お兄様……困ってるお顔も凛々しくステキですわ」
「シエラちゃんもそう思う? お母さんから聞いたんだけど……尊いって言うんだって。若様、尊い……」
ミーナ、5歳児に何を教えてるの……
現在、僕の目の前でリベイラ辺境伯領に住んでいる様々な職種の人たちが集まっている。
それを先導していたのは、我がリベイラ辺境伯家執事セバスチャンと、リーナの父親でリベイラ騎士団団長のガイウスおじさんだ。
「うぉー、リーナ。相変わらず可愛らしい。パパの天使ちゃん……若様? 手を出してはいませんよね?」
5歳児の何に手を出せばいいのだ? アホなのか?
アホでいいや……それよりもお母様がリベイラ領から人を呼ぶと言っていたけど……
「なんじゃーーこりゃーー」
僕は数人、来ても10数人くらいの規模だと思っていたけど……数百、いや千人はいるかも。
しかもセバスチャンが先頭でドヤ顔してるし……
まぁ、でもキロイフ子爵領の開発をするにはちょうどいいか……
「さすがはセバスチャンだね。様々な職種のプロたちを連れて来るとは……手間が省けたよ」
「ハッ、アラン坊ちゃまありがとうございます。このセバスチャン、リベイラ領の各分野での親方もお連れしました。みんなが坊ちゃまのお手伝いを申し出てくれました」
セバスチャンが誇らしげに胸を張る。その背後には、鍛冶、大工、農業、果ては物流の親方たちまで、リベイラ領の全てを支える重鎮たちがズラリと勢揃いしていた。
みんな、僕が領内で色々と『育てた』ことで、今や一般人の限界を超えた技術と魔力を持つ「ガテン系超人」と化したプロたちだ。当然のように魔力をまとい身体強化をしている。もはや騎士団だけの技術ではないんだよ……
「若様。ベリエラ山脈に鉄とその中に魔鉄も含まれているとか……」
「さすがは若様だ。鉄の不足はリベイラ領にとっても深刻でしたからな……ズルガト伯爵領を通るだけで関税とかで値段が跳ね上がるからな……」
そうなんだ。キロイフ子爵領の道路整備前は、このズルガト伯爵領を通ると関税がかかりリベイラ辺境伯領に物がなかなか入らなくなっていた。ズルガト伯爵にはクレームを何度も入れていたがシカト……元々はリベイラ辺境伯家に属している貴族なのに。
僕はこのズルガト伯爵を信用してはいない……というか敵になると思っている。リベイラ領を兵糧攻めにしているのだろう。そして品種改良によりリベイラ領の食料自給率が爆上がりしたのは予想外だったろうね。
それでも関税を緩めない。恐らくは……
まぁ、お母様もセバスチャンもそう考えているだろうね……
(僕たちの作った新道路が王都まで繋がれば、ズルガト伯爵領を通る必要は完全になくなる。その上、リベイラが喉から手が出るほど欲しかった鉄と魔鉄が……ついでに魔の森方面には『ミスリル』があるらしい。キロイフ領から格安で手に入るようになるんだ……うん、ズルガト伯爵は完全に詰んだね)
「若様、そのベリエラ山脈の鉄鉱床ですが、どこから手をつけますか? 俺たち、リベイラ領から魔の森の頑丈な木材を積んできてますぜ」
おお、これはありがたいね。木材は色々と使えるからね……これはキロイフ子爵領でもやらないと。
「なら、キロイフ領に住む人たちの住居からだね。そうですよね……ルーカス叔父様?」
「ん? ああ……」
「「「おお、さすがは若様の叔父様だ!」」」
そう、リベイラ領では最初から領民の住居を作ったんだ。その時に『育てる』を使ってリベイラ辺境伯に対する忠誠心が育ってしまい……ちょっと呼んだだけで千人も来てしまう感じに上限を突破してしまった。
そしてルーカス叔父様のキロイフ領もこれでルーカス叔父様に忠誠心が芽生えるだろう。
頃合いを見て『育てる』をしないとね……
「よし、お前たち。早速やるぞぉぉーー」
「「「おう!」」」
大工親方集団はルーカス叔父様に任せよう。叔父様が親方たちを案内して住宅地へと……
そして鍛冶の親方たちにもベリエラ山脈で採れた鉄鉱石から鉄のインゴット作成をして貰う。
そこで専門的なことは分からないけど……
確か耐火レンガで作った炉で鉄を取り出すはずだ。
そして木炭などで熱するはず……
そこで僕は魔の森の木材を木炭にしたらどうかな?
あとは耐火レンガは土魔法で固めた塊を、魔の森の木材の木炭で高温で焼いたら完成するんじゃないかな……
それを鍛冶親方たちと話をして、まずは魔の森の木材を木炭に出来ないかな? 確か木炭は酸素の供給を止めて燃やすはず……空気ゼロにするには風魔法、燃やすには火魔法で出来るはず……
違う種類の魔法を同時に使わないとダメだな。
ここに来て魔法の訓練になるとは……
せっかくだから騎士団で魔法を使える団員を集めてやってみるかな。
その前に農業の親方たちは魔法を使えない騎士団に案内させて、ベリエラ山脈の山を見て貰いましょう。
僕の予想通りなら……フフフッ。




