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あれから2年

 僕はアラン。元中年サラリーマンのオジサンだった。

 前世では妻から『枯れてる』と言われた冴えないオジサンだった。それが、よく見ていた小説みたいに異世界転生をしていた。その時に授かったスキル『育てる』を使い、危機に瀕していたリベイラ領を救うために奔走していたのだが……。


 あれから2年が経ち、現在7歳になったアラン君はというと……。


 何これ? 広い大地に緑色に染まる絨毯。僕の品種改良もさらに進み、収穫量や品質が向上していた。その成果がこれなんだよ。

 僕の家庭菜園? いやいや、もはやリベイラ領内では全て僕の品種に切り替わっている。


 食料自給率? 当然、100%以上を叩き出している。それも、移住希望者を受け入れて人口が増えた上での話だ。これなら更に人口を増やしても問題なさそうだね。


 住宅建築もすでに第1段階が終わり、新しく領民になった人たちの住宅を手掛けている。それに、防衛の要である自宅兼砦も完成した。

 領軍の魔力操作も進み、全員が何かしらの魔法を使えるようになっていた。そう、『育てる』を使ったら……。


「アハハ、そら! もう1本だ! 魔の森の木材を運ぶのも、良い訓練になりますなぁ、若様!」


 あっ、この人はガイウスおじさん。リベイラ領の騎士団長なんだけど……20メートルはある大木を素手で運んでいる。後ろに続く団員たちもだ。なんと魔力を使いこなすようになったんだけどね。全身に魔力を漲らせると『身体強化』ができるようになってしまった……。

 向こうでは、剣や斧に魔力を纏わせてスパスパと魔の森を開拓する団員たちが見える。


 その隣では、魔力を練り上げて『超常現象』を起こしている。

 風や水を操り、魔の森を伐採しているのだ。

『育てる』を使う中で気がついたことがある。男性は肉体系を強化、女性は魔法系を操れることが多いのだ。

 もちろん、例外はあるけれどね。


 その例外なんだけど……。


「フフフッ、お兄様。ご覧くださいませ」


 身体強化も魔法も使いこなす5歳児がそこにいた。ドレスを着こなしながら、回復魔法が得意な我が妹のシエラだ。優しい性格で、領軍のケガ人を見ているうちに覚醒した。お淑やかな見た目で順調に成長している。胸は流石にまだみたいだけど。そして……。


「わ、私も頑張りましゅ。若様〜!」


 垂れ耳で垂れ目のリーナだ。こちらは身体強化を極めつつある。ガイウスおじさんも負けそうになっていた。

 この2人は胎児の時からの英才教育で、一番『育てる』の効果を受けているからね。


「2人とも順調に成長してるね。僕は、2人がレディーとして勉強して、成長した姿を見せてくれると嬉しいな」


「……! かしこまりました。お兄様の期待にシエラはお応えします!」


「は、はい! リーナも……若様に褒めてもらいます!」


 小さなお姫様たちは、トテトテと屋敷に向かって走っていった。


「ふぅ、今ならレディーとして軌道修正できれば良いんだけど……このままだと『魔導爆裂娘』と『脳筋解決策娘』になっちゃうからな。恐ろしい幼女コンビだ」


 その幼女コンビが去っていった屋敷を見る。そう、魔の森と隣国の進軍ルートである街道が交わるクロスポイントに築かれた、要塞兼自宅だ。

 2年前に計画したものが、ついに完成したんだ。

 そう、俺たちだけで建築していたらまだ完成しなかっただろうけど……領民の住宅を優先して建てたら、なんと領民の方から「手伝わせて欲しい」と言ってくれたんだ。お父様はその様子を見て男泣きしていたよ。


 その砦を見てみよう。左右対称で、多角形要塞と方形要塞のハイブリッド型にした。魔の森や隣国側を多角形要塞にして、様々な方角からの遠距離攻撃を可能にした。また、反対側を方形要塞にすることにより、色々な機能を持たせている。

 籠城用の食料庫や武器庫などをさらに増やして、継戦能力を最大限にまで高めた。


 当然、木材は魔の森の木材を使用した。頑丈さだけでなく、見た目も良い感じだ。木材を多く利用した要塞になってしまったのには理由がある。

 この要塞が建っている場所は元々は平地だったが、僕と領軍の魔導士たちで高い丘を造ったんだ。そう、地形もこちらに有利になるように造り替えた。


 小高い丘の上に要塞を築いて、そこから戦場を見下ろしながら矢や魔法を撃ち込める。丘は崩れないように、魔の森の木材でしっかりと固定している。この木材も地中深く刺さっているので、地下からの侵入を防ぐ壁の役割もあるし、基礎の支柱にもなっている。


 本当はここまでやるつもりは無かったんだけどな……領民の安全と人手もあるから造ってしまった。

 領軍だけでなく、最近は領民にも『育てる』を使っているからか……能力が突出する人も多く見られてきた。


 そして、この要塞を支える食料は……品種改良も進んで収穫量だけでなく、味の質にもこだわって改良した。

 それだけでなく、魔の森の腐葉土を畑に撒いている。

 結果はまあ、やはりというか……作物が見事に巨大化した。

 味もヤバい。美味すぎる。


 最低限の領地としての体裁は整ってきたね。まだまだ、衣食住だけでなく色々と改良や開発をしていきたいんだけど……隣国が怪しい動きを見せている。

 国ではなく、リベイラ辺境伯家と長年争っているサラダン王国のミランド家だ。

 最近、好調なリベイラ領を狙っているっぽいな……。

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