表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/48

街の区画整理

「おっ、いたいた。セバスチャン。街の区画整理で話が……」


なんだ? ものすごくキラキラした目で見られている。まあ、優秀な執事さんだから忠誠心が高いのはいいことだ。


「そうそう、住宅建築に合わせて街を区画整理しようと思うんだけど……土地自体はリベイラ辺境伯家の所有になるのかな?」


「はい、もちろんでございます。広さや大きさなどにより、税を払う仕組みとなっております」


ん〜、税金かぁ。これも後々に手を入れないといけないね。でも、まずは衣食住からだ。食料もある程度目処が立ったし、建て替えが進めば住まいもクリアだ。衣料もまだ小規模だけど麻の栽培をしているから、これも今後の展開次第だね。


「なら、簡単に動かせるし権利関係も問題ないね。それで、僕の街の構想なんかもあるんだけど……僕たちだけではなくて、お父様やお母様も交えて話し合わない? もう少しで住宅の建築に移れるから、それまでには決めておきたくて」


「ハッ、かしこまりました! すぐに旦那様と奥様を連れて参ります!」


な、なんだ、セバスチャンのこの張り切りようは。まあ、街が良くなるなら嬉しいか。早いうちに決めた方が良いしね。


「うん、よろしくね。執務室に行ってるよ」


……と、思っていたんだけど。今の僕の両膝には、


「まぁ、お兄様はステキでしゅ!」

「リーナも若しゃまに抱っこされてましゅ!」


うん、幼女二人に捕まった。

幼女って温かいんだな。体温が高いんだろうね。それに、なんだかミルクのような匂いがする。スンスン。


「もう、お兄ちゃま! レディーの匂いを嗅ぐなんて……私はお風呂へ!」

「あう、リーナもクンクンしたいでしゅ! でも、私もお風呂へ!」


二人に怒られ、ショックで固まる僕の膝から、シエラとリーナちゃんがぷりぷりと怒りながらトコトコと去っていく。幼女のプライド、恐るべし。


「ハァ……さて、気を取り直して執務室に行くか」


小さくため息をつき、僕はトボトボと廊下を歩いて執務室の重い扉を開けた。

するとそこには、すでにセバスチャンによって『超特急』で拉致……ゴホン、招集されたお父様アレックスとお母様アメリアがソファに座って待っていた。セバスチャンの仕事の早さ、マジで有能すぎて怖いな。


「アラン、よく来たわね。セバスチャンから聞いたわよ? 街を新しく作り変えるんですって?」


お母様アメリアが、聖母のような優しい微笑みで僕を迎えてくれた。

一方、その隣に座るお父様アレックスはというと……。


「おいおい、アラン。少しは手加減してくれよ。今度は何をするんだ……処理するのも……」


「あら? あなたは何も処理してませんよ。剣ばかり振ってますよね? ハンコを押すのは処理とは言いません。私とセバスチャンがやっておりますからね……?」


おお、怖い。一気に絶対零度の空気になる。アメリアお母様が一番の権力者かもしれない……。


「だって、ガイウスのヤツが魔力を纏ってやたらと強くなりやがって……」


「言い訳なんか聞きたくありませんよ。それよりアランちゃん、今度はお母様にどんな凄いことを見せてくれるのかしら?」


ウフフ、と笑う我が母君。マジで怖え〜。


「えっと、領都の区画整理についてです。ところでお母様は、お買い物が好きですか?」


「お買い物? ええ、好きよ。女性ならみんな好きなんじゃないかしら。よくミーナと行くし、シエラやリーナも楽しそうよ」


だよね。だからこそ――。


「良かったです。お母様のためにセバスチャンに確認して、この辺りを大きな商店街にして、お母様たちにショッピングを楽しんでもらえたらなと……」


「アランちゃん……! あなたという子は……お母様は感動しました。いいえ、女性全体に向けてこの気遣いができる紳士は、なかなかいないわ!」


お母様アメリアは両手を頬に当て、それはそれは美しい聖母の笑顔を輝かせた。さっきまでお父様を凍らせていた絶対零度のオーラが、一瞬で春の陽だまりのように変化する。

よし、お母様の買収……コホン、ご機嫌取りは大成功だ。


「うん。メートル法で街を綺麗な格子状に区画整理するのも問題ないし、その中心の一画を『専用のショッピングストリート』にするんだ。道の両側には可愛いお花を植えて、もう少し産業が育ってきたら最新の服やオシャレな家具なんかを売るお店、それから僕の農園で採れたフルーツを使ったスイーツのお店なんかもやりたいしね。そこなら馬車の進入も制限して、シエラやリーナちゃんも安全に、お母様と一緒に一日中お買い物を楽しめるよ」


前世の大型ショッピングモールなんかを実際に見てるしね。

中世の市場といえば、泥にまみれた狭い道に馬車が飛び交い、生臭い匂いが漂うのが普通だ。そんな場所に貴族の女性が気軽に行けるはずもない。犯罪などの懸念もあるからね。

だからこそ、圧倒的に清潔で、安全で、歩くだけでワクワクする「理想の商業エリア」を作る。これがどれほど画期的なことか、お買い物好きのお母様には一瞬で伝わったらしい。


「まぁ……素晴らしいわ、アランちゃん! 馬車が通らない、お買い物のための街だなんて、王都の高級商店街でも聞いたことがないわ! お母様は全力で応援しちゃう!」


「ありがとう、お母様。あ、ついでに商業がそれだけ盛んになると、税金も凄く潤うと思うよ。お母様も今まで貴族らしいドレスとか作ったりしないで我慢してたでしょ? だから、僕とお父様でお母様もシエラもミーナやリーナも、綺麗に着飾れるように頑張るよ」


「アランちゃん……大好きよ!」


うん、お母様を味方にしておけば……成功間違いなしだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ