透明人間刑事 数寄屋橋透15
〜数寄屋
透は数寄紋を取りに数寄屋へ戻る
すると、驚いた事に数寄屋の一階は破壊されていた
まるで、ダンプでも飛び込んだ後の様だった
「叔父さん!」
透は才蔵を探すが見当たらない
ポタッ
何と上の方から、血の滴が落ちて来た
透は体術を使い、二階へと登るが、何も発見出来ずに、今度は屋根の上に向かう
透
「叔父さん!一体どうしたんだい?」
そこには、血だらけの才蔵の姿があった
近づくと、才蔵は意識があり、掠れる声で話し始めた
才蔵
「透明な熊だ…間違いなく熊だ…天井に頭がぶつかっていた…3mはあった!そんなデカい熊は熊の巣山のボス熊しかいないだろう」
何と、危険な透明の種はボス熊に侵入してしまった様だ
〜病院
透は才蔵の治療を待っていると、護衛のミツバチドローンの通信により、異変に気づいたナイスが若嶋津を連れてやって来た
若嶋津
「犯人は?」
透
「叔父さんは、透明な熊だと…しかも3mあり、熊の巣山のボス熊に違いないと」
若嶋津
「何と!危険な種はボス熊に侵入したのか」
ナイス
「それなら、熊の好物はハチミツ!誘き寄せて眠らせて、数寄紋を貼れば良いわ」
〜東京の森
数寄屋の近くには小さな森がある
透は森の真ん中辺りに猛獣用睡眠剤入りのハチミツの大瓶を置いて、透明熊が来るのを待った
周辺に落葉をジュータンの様に敷き詰めて、透明熊の位置を把握する作戦だ
月光が降り注ぐ森で、風だけが笹を鳴らしていた
森の中の古びた小さな御堂の中で、透は息を潜めていた
やがて、闇の中で木の幹が、メキリと軋んだ
何もない空間が、ぬるりと歪む
落葉に巨大な足跡だけが増えていく
足跡の大きさはボス熊以外には考えにくい
巨大な体は硝子のように透け、骨の輪郭すら月明かりの幻のように揺れている
見えないはずの獣が、吐息だけを白く浮かべていた
ボス熊は真っ直ぐにハチミツの入った大瓶に向かう
やがて、大瓶は宙に浮き中身のハチミツが消えていく
暫くすると、ボス熊が転がる音がした
(麻酔薬が効いた様だ)
透は『数寄紋』を貼る為に近づいていく
グォー
突如起き上がった透明熊は、大地を砕く勢いで森の外に向かって突進する
(巨大なボス熊には麻酔薬が効かないのか)
ドカーン
透が追いつくと、トラックが停車していて、運転手がキョロキョロ辺りを探している
すると、少し遅れて森の外に待機していた若嶋津がやって来た
「どうしたんですか?」
運転手
「何かにぶつかったんだ!しかし、辺りには何もない?」
若嶋津が誤魔化す
「何もないなら、気のせいでしょう」
(今回の事件を国民に知られる訳にはいかない…最も、誰も信じないだろうが…)
運転手
「そうかなぁ…変だなぁ…」
若嶋津
「仕事に遅れますよ」
運転手
「そうだった!ギリギリの予定だった」
そう言って、トラックは走り去っていった
透
「ここに、3m位の透明なのがある!」
若嶋津
「猛獣用の麻酔薬が効かないとは、恐ろしい奴だった」
透
「流石に息絶えているが、念の為に身体中に『数寄紋』を貼っておいた」
(ボス熊は透明化のデメリットの洗礼を受けたのだ)
若嶋津が待機させていた運搬用の車を呼び、数人がかりで透明熊を積み込んだ
「隠し目付の研究所に運ぶ」
そう言い残し、若嶋津は去っていった
そして、透は透明バイクに跨がり、入院中の叔父さんに報告に向かった
あとには、笹を揺らす風だけが残った




