透明人間刑事 数寄屋橋透11
〜敵襲
飛び込んでくる刺客たちを前に、数寄島才蔵は素早く構えを取った
「透、左側へ回れ!俺は正面を受ける!」
透は瞬時に指示に従い、店内を走り抜ける
彼の透明な姿は相手に捕捉されにくいが、注意深く動かなければいけない
それでも、店内は狭かった
「お前が数寄屋橋透か……」
先頭の刺客が低い声で問いかけてきた
全身が半透明で、皮膚の下に脈打つ血管が青く見える
「透明人間狩りなんて趣味の悪い真似をする連中だな」
透は静かに応じた
「狩りではない」
刺客のリーダー格と思われる男が言った
「選別だ!真の透明人間の資格を持つ者だけが生き残るべき」
「今の時代に本当にそう思っているのかい?」
透は素早く刺客の後ろに回り、『数寄紋』を背中に押し付けた
すると、刺客は電気が流れた様になり、ポカンと天井を見つめて何かを思い出している様だった
一方、剣技に優れた才蔵は布巾を飛ばして瞬間、刺客の視界を遮り、小皿を手裏剣の様に投げると同時に、木刀を振るい、閃光のような一撃で相手の一人を退けた
しかし、敵は次々と押し寄せてくる
「透!台所裏口から外へ出ろ!警察に連絡しろ!」
叔父の声が飛ぶ
「俺は警官だよ!叔父さんを置いていくわけには!」
「俺には時間稼ぎぐらいできる!今は逃げるのが重要だ!」
透は逡巡したが、プロとしての判断力が勝った
台所へ向かい裏口のドアに手をかける
だがその瞬間、
「見つけたぞ……」
背後から低い声
振り返ると、廊下の奥に立つもう一人の刺客
しかも彼の手には小型の拳銃が握られていた
「透明人間は心臓さえ射抜けば死ぬ……その実証実験がしたい」
トリガーに指がかかった瞬間──
透は壁に立て掛けてあったホウキを右側に倒し、反対の左側に動くと思わせて、最短距離で真っ直ぐに飛びかかる
左右に一発づつ撃つ刺客の男
「やめろ!」
透の声と共に、彼の手が閃いた
透明な掌が拳銃を掴み、一気に手首をねじ曲げる
「なんだと?!」
刺客が驚愕する間もなく、透は反撃に出た
透明な蹴りが相手の腹部に命中し、壁まで吹き飛ばす
「お前の勘違いだ…ドラキュラとは違う」
透は静かに言った
「透明人間は物理法則からは逃れられない!だが同時に……普通の人間の物理攻撃も透過するわけではない」
彼の透明な体が淡く光を反射するのが見えた
それは内なる闘志の表れだった
才蔵の声が店内から響く
「透!あまり深入りするな!奴らは多人数だ!」
「わかってる!」
透は再び行動に移った
「警察には連絡済み!あと三分で応援が来る!」
刺客たちが一斉に突進してくる
透は巧みに回避しながら反撃する
透明な拳が敵の側面を襲い、透明な膝が腹部を蹴り上げる
「この……化け物め……!」
リーダー格の男が怒りの声を上げる
「化け物じゃない……」
透は冷静に答えた
「ただの透明な刑事だ」
透は次々と刺客達の背中に回り、『数寄紋』を押し付けていった
すると、刺客は電気が流れた様になり、ポカンと天井を見つめて何かを思い出している様だった
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〜10分後
制服姿の警察隊が店舗周辺を取り囲む
その先頭に立っていたのは若嶋津警部補だった
「無事か?数寄屋橋!」
「なんとか……」
透は疲労困憊しながらも立ち上がった
店内には倒れた刺客たちが取り押さえられている
才蔵も傷だらけだが無事だった
「捕まえたのは九人……だが」
若嶋津は険しい表情で続けた
「まだ仲間がいる可能性が高い」
透は倒れた刺客の一人を見下ろした
「なぜ……ここまでして透明人間を狙う?」
「簡単なことだ」
男は嘲笑を浮かべた
「真の透明人間は滅びるべきだ!その力が存在することが許せない!特に……」
男の目に狂気が宿る
「特別な透明人間は」
「もう、充分だ」
透はそう言うと、背中に『数寄紋』を押し付けた
その時、透の護衛のミツバチドローンからナイスの声が響く
「逃走した刺客の背中でアジト捜索中」
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〜病院
夜明けの光が東京湾を染め始める頃、病院のベッドで目を覚ました透は、傍らに座る叔父を見た
「無事だったんだな」
病室のドアが開き、若嶋津が入ってきた
「数寄屋橋……事情聴取の準備ができてるぞ!ミツバチドローンの報告では、逃げた刺客は熊の巣山の山荘に入った様だ」
透
「熊の巣山の山荘がアジトなのか……厄介な場所だな……」
透はベッドから起き上がろうとする
「まだ怪我をしてるのに……」
「平気だよ」
透は叔父に向き直った
「叔父さん、ありがとう!真実を教えてくれて」
才蔵は何も言わず、ただ強く頷いた




