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不死身探偵フェニックス  作者: 猫月猫日猫曜日


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透明人間刑事 数寄屋橋透8


〜瓦礫の山と化した廃工場区画

地震の揺れは収まったものの、遠くからサイレンが鳴り響く


「数寄屋橋!無事か?」

若嶋津の声がヘッドセットから聞こえる


「……はい」透は瓦礫の隙間から立ち上がる

透明な身体に怪我はないが、スーツがところどころ破れている

「でも……」


「でも?」

「奴は逃げたようです」


〜鳥子

「……!見つけました」

青空鳥子がツバメと会話しながら報告する

「ツバメたちが震源近くの地下トンネルを発見したって」


「場所は?」若嶋津が尋ねる

「東京湾海底トンネルから枝分かれした支道です!」


〜ナイス

「ミツバチドローンを支道に向かわせる!」ナイスが叫ぶ

「地震の震源地へ向かってる!」


彼女のスマホ画面には複数のドローンの映像が表示されていた

地下に向かって降下するミツバチたちが捉えた映像は次第に暗くなっていく


---


「時間がありません」

数寄屋橋透は透明なバイクのシートに跨った

「行きましょう」


一行は地震による交通規制を避けながら目標へと向かった

途中、ナイスがドローンから受け取った映像を見せた


「見ろ……爆弾の制御装置だ」

画面には巨大な装置が映っていた

複雑な回路が絡み合い、中心部には[カウントダウン]表示が残り時間を示している


「あと1時間59分……」


「地下深部で強力爆弾を使い地震発生させて、更にもう一回同じ場所に爆弾を投下して、人工的にマグマ噴火を誘発する気か!そんな事になったら、首都圏が消滅してしまう」

若嶋津が重い声で言った

「しかも……」


〜東京湾海底トンネル

薄暗い通路を進む透達

蛍光灯の明かりが断続的に点滅する中、突如として黒服の集団が立ちはだかった


「よく来たな、探偵たち」

中央に立つ男は微笑を浮かべていた

「だが、ここから先には行かせんよ」


「土田!」数寄屋橋透が思わず声をあげる


「さあ……」土田が指を広げる

「これ以上進むなら、このリモコンのボタン一つで爆弾起動だ」


ピーーーンと、緊張が走る


その時―ミツバチドローンの麻酔針


土田の部下達は、突然、蹲り眠りにつく

「狼狽えるな…俺たちの祖先が残した最後の遺産なんだ!止めさせるか」


土田が言い終わる前に、透明な腕がリモコンを奪い去った

そして、躊躇なく装置の解除ボタンを押した


「待ってくれ!」慌てた土田が懇願する

「我々はただ故郷へ帰りたいだけなんだ!祖先の記憶に従って……」


「ならば正しく戻れば良かった」

若嶋津の言葉は冷たかった

「力ずくで奪った自由など偽物だ」


誰かが呟いた

「宇宙人の祖先は自分達の星の環境が悪化して住めなくなったから、地球にやって来たのでは…」


土田「そんな…」



静寂


震動は起きなかった



〜数寄屋

いつものように「数寄屋」の個室で会合が開かれていた


「結局、土竜とは何だったんだ?」

透が尋ねる

「考古学者達の解説によれば」

若嶋津が答える

「紀元前に地球にやって来た『先住民』の末裔だそうで、人類とは違う進化を遂げた別の生命体で……」


「でも見た目は普通の人間だった」

「彼らは『同化』することを選び、本来の姿を捨て、私たちと同じ姿になりながらも、一部の者は祖先の記憶に執着し……」


「暴力的手段に出たと」

透が溜息をつく


外では雨が降り始めていた

透明な窓越しに見える景色が霧のように霞んでいる

外の雨音が静かな調べとなって、店内に流れていく

窓辺に小さな雨粒が一つ落ちた

透明な水滴が一筋の光を放ち、雨上がりの虹を予感させる


新たな事件の兆しが静かに近づいていた

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