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不死身探偵フェニックス  作者: 猫月猫日猫曜日


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透明人間刑事 数寄屋橋透3

その日、夕焼けが街をオレンジ色に染める頃、秋葉原駅前の雑踏は普段通り賑わっていた


「……これで二時間半か…まだ誰も気づいていないな」

佐藤係長が腕時計を見上げ、安堵のため息を漏らした

彼の視線の先には、無数の通行人が行き交う路上

しかし、一人の人物——透明人間である数寄屋橋透の姿は、どこにも見当たらないのは周知の通りであった


「ミツバチドローン、効果抜群ですね!」田中刑事が興奮気味に囁いた


数匹の小型ドローンが透の周囲を蜂のように旋回し、警告音を発しながら巧みに空間を塞いでいる

そのおかげで、本来なら歩行者に衝突されるので、止むを得ず回避行動を取っていた透が、ほとんど邪魔されず道路を横断できるのだ


「しかし……」佐藤係長が眉をひそめた

「透の顔が見られないのが寂しいところだな…笑顔を浮かべているのか、イラついているのかさえ分からない」


確かにそうだ

透の感情は言葉と、わずかな気配だけで表現されていた

透明化能力を持つ彼にとって、身体的なリアクションは極めて重要だ

だが、ドローンの羽音が響くこの状況では、周囲の混乱を招く事は無さそうだ


「おーい、透!次はどうする?」


佐藤係長が問いかけると、透が少し前方で立ち止まった気配があった


「もう特捜部に帰るところです」

声が涼しげに響く

「今日も平和でしたし、この実験データを持ち帰って報告書をまとめます」


「そうか」

佐藤係長は懐中時計を開いた

「じゃあ、車で送ろう!あの黒のクラウンだ」


〜夜のデスクワーク

特捜部の"誰も使っていない机"で、透のノートパソコンが高速でタイプ音を奏でていた

実際には、キーに触れると同時にディスプレイ上の文字が光って消えるという奇妙な光景だが、誰も気にしていない


「検証結果が出ました」

透の指がエンターキーを押すと、画面にグラフが表示される

テスト運用によるデータ解析結果だ

> 「通行人衝突率:通常48% → ドローン使用時1%

>

> 飛行物体への接触頻度:ゼロ

>

> 総評:運用可能

ただし、ドローン充電時に代わりのドローンが必要


「見事なものだ」佐藤係長が称賛した

「これで透の活動範囲が大幅に拡大する!今日の任務もスムーズに進められそうだな」


〜入電

銀座の宝石店で強盗発生

> 特徴:覆面、刃物所持、男性一名

> 逃走方向:明治通り方面


田中刑事が飛び上がり、拳銃ホルスターを確認しながら出口へ向かう

「私が現場に向かいます!」


佐藤係長が片手を挙げて止めた

「待て田中!今回は透に先行させよう!透明化の本領発揮だ」


〜街角の決着

都会の喧騒の中、一台の黒いバンが停車していた

運転席には血相を変えた男が一人——強盗犯である

助手席には略奪品の入ったカバン

周囲には十数名の制服警官が包囲網を敷いている


「両手を上げろ!」スピーカー越しの警告が響く

「要求があるなら聞こう!抵抗はやめて降りてこい!」


「うるせぇ!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって……!」


強盗犯がバックギアを入れる瞬間、突然エンジンがストールした


「なんだ?」

焦った犯人がボンネットを調べようと扉を開けると——突如として空気が揺らぎ、ハンドルがひとりでに回転し始めた


「オカシイ?誰が操ってる!」

慌てる男の鼻先で、不可視の圧力がかかり、ついに彼はダッシュボードに激突して気絶した


「確保完了」

無線から透の冷静な報告が入る

「運転席に滑り込んで、アクセスしました!犯人の心臓に異常はありません!安全確保です」


佐藤係長は遠くから双眼鏡で状況確認、一件落着


透明な勇者は、世間に気付かれず街の治安を守っていくことだろう

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