ようこそ、ブルーバード探偵事務所へ(その3)
夕陽が地平線に消える頃、鳥子は警視庁の特殊捜査班に呼ばれた
重厚なドアの向こうには年老いた刑事が待っていた
「大目付の西郷でごわす!今回の極秘任務の陣頭指揮とっ!おはんの事は知っちょいもす!部下から聞いちょりもす」
若嶋津が捜査班の前に立ち、作戦の内容を話し始める
「地下施設の位置特定に成功した!
今宵3箇所の入り口に分かれて、奇襲攻撃を仕掛ける」
ーパタパター
その時、窓の外にパタパタとコウモリが飛んできた
急いで鳥子は窓を開けて、コウモリの話しを聞いた
話の内容に驚いた鳥子は、部屋全体に聞こえる様に大声で報告した
「地下の宇宙人もどき達に大きな動きがある時に、連絡をするように頼んでおいたコウモリです!彼らの本隊がいるのは地下施設ではなく、国会議事堂の地下に向かっているそうです!」
「国会議事堂の地下?」
驚く若嶋津
「そうか!政治中枢を掌握することで、合法的に人類支配を進めようとしているのか!今は国会開催中で国会議員が集まっている」
「すると、地下施設の方は、陽動の為に所在をリークした可能性がある」
大目付西郷
「よしっ!対象は国会議事堂!地下施設は地元警察に任しもす!かかれっ!」
美咲の表情が硬くなる
「危険すぎる任務ね」
「でもやらなければ」鳥子は決意を新たにする
「この街を守るために……この惑星を守るために」
その時、一筋の流星が流れた
瞬く間に願いを込めようとする鳥子だったが、もう願う必要はない
自分で未来を切り開くのだから
〜国会議事堂
「かかれっ!」
西郷が合図すると、地上班と地下道班に分かれて、同時に突入した
地下道班の若嶋津と山田は戦闘部隊で、美咲と鳥子は人質救出部隊に所属する
国会議事堂の地下には秘密の部屋が幾つか存在する
大地震や空襲があった時の為に、地下深くに頑丈な構造体で造られた司令室がある
国会議事堂の地下入口に到達すると、既に数人の宇宙人もどきの門番がいた
戦闘部隊が交戦し、入口を制圧する
中に侵入していくと、ホールで待ち構えていた黒服の軍団と激しい戦闘が始まる
弾丸が飛び交う中、いつの間にか敵は失神していく
鳥子「奇妙ね…それに地下なのにミツバチが飛んでいる」
「地下二階へ!」美咲が叫び、階段を駆け下りる
二人は最深部を目指した
突然、奥の方から声が聞こえてきた
「愚かな抵抗者どもよ……諦めろ!我々の計画は既に完成に近い」
扉が自動的に開くと、部屋の中央には巨大な水晶のような物体があった
周囲には捕らわれた大勢の政治家達が倒れている
宇宙人もどきリーダー
「これから政治家達に進化の水を飲んで貰う!そうすれば合法的に日本は我々宇宙人の国になる」
若嶋津「そうはさせないぞ!」
宇宙人もどきリーダー
「おおっと!少しでも動いたら人質が無事ではいられなくなるぞ!」
鳥子「宇宙人達、百人は居るわね!それに、人質が多過ぎる」
美咲「丁度いい人数よ!若嶋津先輩の彼女は変な人でね」
鳥子「変な人??」
若嶋津「ところで、リーダーさん!あんたの部下は寝不足かい?」
宇宙人もどきのリーダーが振り返ると、百人の部下がバタバタと倒れ込む
「どうしたんだ?一体??」
その隙に山田がリーダーに飛びかかり制圧する
美咲と鳥子達の人質救出部隊は、政治家達を介抱して、安全な場所まで避難させる
「終わったわ……」美咲と鳥子は安堵の息をつく
〜ブルーバード探偵事務所
数日後、街は平和を取り戻していた 鳥子は自分の探偵事務所で、日常業務に戻りつつあった
「探偵ブルーバードさん!」
美咲が突然訪ねてきた
「事件です!」
鳥子は笑顔で迎える
「どんな事件?」
「ビールの味見をする事件!」
美咲も笑顔を返す
二人は屋上へ上がり、小鳥達のさえずりを聴きながら乾杯した
「かんぱーい!」
「かんぱーい!」
「おつかれさまんさ〜」
「おつかれさまんさ〜」
歳の近い二人は、意気投合する
「ところで、アイツら本当に宇宙人だったのかしらね?」
「遺伝子検査では99%地球人という結果が出たわ」
「1%の宇宙人?」
「どうかしらね?まっ、他の星から見れば、地球人も宇宙人だからね」
「平和に暮らせれば、どちらでも問題はないわ」
「あれっ?蜂が居るのね」
「本当だ!沢山居る」
蜂達は空中にホバリングして、幾つもの塊になった
「あれっ!一番端の塊は平仮名じゃないかしら」
「そうね![へ]と読める」
「次は、[ん]よ!」
「続いては、[な、ひ、と、じ、ゃ、な、い、よ]」
最後まで読むと、二人はドキッとした
すると、蜂達は二人の周りを一周した後、天高く飛んで行った
「そうか、変な人じゃなかったんだ…陰ながら私達を守ってくれているのね」
その時、一羽の白い鷲が優雅に舞い降りてきた
その眼差しには優しさが宿っていた
「お疲れさま」鳥子が微笑む
「でもまだ休息には早いよね」
白い鷲は翼を広げ、高く飛翔していった
その姿を見送りながら鳥子は誓う
「いつでも助けが必要な人がいれば、私は鳥になる」




