第55話 失意のエリド
一週間後、私達【セイヴァー】はショタリシアス王国にあるダンジョンへとやって来ていた。
私達が受けた依頼は、ロリスタンスに住む商人からによるもので、ショタリシアス王国のダンジョンの下層にあるアイテムを集めてきて欲しいというもの。
どの辺の階層なのかも詳しく書いてあり、二十一階層から下にあるアイテムだと記載されていた。
私もエリドもまだ十階層までしか到達していなかった。
だから私は、仲間を増やすように言ったのだ。
『それでは、行きましょう!』
エリドの号令で、私達はダンジョンの中へと足を踏み入れた。
★ ♥ ★
ダンジョンに入ってからは、特になんの問題もなくスムーズに進む事ができた。
ダンジョンは簡単に進む事ができない。
一つの階層によって、大きさや広さが異なるからだ。
そして、1〜10まで攻略すると、十階層でフロアボスが待ち受けている。
私達は仲間との絆を深めながら、ダンジョンを進んでいく。
十階層のフロアボスも倒し、先へ進んだ。
そして、私達は、二十階層のフロアボスと対峙した。
『姉ちゃん!』
『任せて!』
私と剣を使う男性との連携で、二十階層のフロアボスを撃破。
ここまで長いようで短い道のりだった。
目的である二十一階層はもうすぐ。
そう思い、私達はテンションが上がっていた。
しかし──、
『あれ? フロアボスを倒したのに扉が開かない?』
『入ってきたこっちの扉も開かないわ』
不穏な雰囲気が漂った。
通常、フロアボスを倒せば、次の階層に続く階段の扉が開く。
そして、入ってきた扉も開き、次の挑戦者が入れるようになるのだが、それがない。
かと言って、フロアボスが復活したり、新たに出てくる気配もない。
『よし、みんな! 一度落ち着いて話し合おう』
エリドがそう提案した、その瞬間だった。
グシャ。
『え……』
入ってきた方の扉の前にいた技能使いの女性が、突然姿を消したのだ。
その場に服と大量の血を残して。
『キャァァァァァァァァァ!?』
後ろから悲鳴が聞こえ、そちらを振り向くと、そこには盾を使う男性がいなくなっており、服と大量の血だけが残っていた。
『な、何が……』
エリドの顔に、どんどん焦りと恐怖が滲んでいく。
『みんな! 戦闘態勢!』
『っ!』
剣を使う男性に言われ、私達は戦闘態勢を取る。
エリドも動揺はしているがしっかりと戦闘態勢を取る。
が、その次の瞬間──、
グシャ。
『え……』
弓を使う女性が、服と大量の血を残し消えてしまった。
『これは……目には見えない敵がいる……そう考えるしかないね……』
『そうだな……エリド! もっとこっちに寄れ!』
私と剣を使う男性は、目には見えない敵がいるのだと判断した。
少し離れた場所にいたエリドに声をかけ、エリドはこっちに向かってこようとする。
その時だった。
バババババババババババババババババババ!!!!
天井から、大量の鉛の弾幕が降り注いできた。
『な、なんだっ!?』
私と剣を使う男性は、技能を使用しながらその鉛の弾幕をなんとか弾いていく。
が、エリドは武器を持たないので──、
『がっ!?』
『エリド!?』
エリドの背中に鉛が直撃。エリドはその場に倒れ込んでしまう。
私と剣を使う男性は、急いでエリドの側に行き、エリドを守りながら鉛の弾幕を弾いていく。
しばらくすると弾幕は止んだ。
『一体、なんだったんだ……』
私が天井を見ながら呟いていると──、
『エリド、危ない!』
と言う、男性の叫び声が聞こえてきて急いで視線をそちらに向ける。
すると、男性が何かを掴んでいた。
しかし、掴んでいるそれは目には見えない。
まるで、透明な何かを掴んでいるかのよう。
『そ、それは……?』
『分からない……! でも、こいつは今、エリドを狙っていた……! 剣に触れたからなんとなく分かっ──ぐっ……!?』
『あっ……!?』
突然、男性のみぞおち部分に穴が空いた。
そして、穴の空いたみぞおち部分から、男性は灰になり始める。
『そうか……これで、三人を消したんだんな……エリド!』
『っ……!?』
『エリィさんを連れて逃げろっ!!!』
『え……』
『僕が灰になりきるまで、どうやらこいつは他の人を狙わないらしい! だから、僕に狙いが定まっている間に、ここを逃げるんだ! 扉は僕が壊す!』
『やだ……やだ……そんなのっ!?』
『エリィさん!!!』
『っ! 分かった……!』
『ちょ、姉ちゃん離して! 助けなきゃ! 助けなきゃ!!!』
私は、エリドの手を取り、入ってきた方の扉に向かう。
そして、目の前に到着した時、後ろから男性が技能を使おうとする声が聞こえてきた。
邪魔にならないように避けようとして、後方を見た時、衝撃の光景が飛び込んできた。
『え……!?』
男性はすでに灰になっており、その場には服と大量の血しか残っていなかった。
『間に、合わなかった……?』
私の隣で膝から崩れ落ちるエリド。
『僕を……僕を守ったから……僕を守ったから、セルドさんは……みんなは……』
『エリド、それは違う。決してお前のせいでは──』
エリドのせいじゃないと言おうとしたが、その前に、エリドが悲しみに包まれ──、
『うああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』
叫び声を上げ、私の声はもう届かなくなってしまった。




