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第51話 死闘の果てに……。

 突如現れた、未来視・エリドリアスと名乗る女性。


 リアンとミュリンの二人は、エリドリアスの力でダンジョンの外へと強制送還されてしまった。


 残ったミルルとエリィ、ドゥーザの三人で、エリドリアスと戦う事に。


 果たして、エリドリアスの狙いとは。

 そして、この戦いの果てに待つものとは。

「ハァ!」

「ワンッ!」

「フッ! フッ!」


 エリィとミルルが、積極的に接近し、エリドリアスに攻撃を仕掛ける。


 が、エリドリアスは二人の攻撃を完璧に見切っており軽々と受け流してしまう。


「水能(ウォーター)!」

「「っ!」」

「二人とも、下がって!」


 エリドリアスが攻撃を仕掛けて来る際、二人はドゥーザの背後に下がる。

 そして、エリドリアスの攻撃をドゥーザが大きな盾で受け止める。


「チッ……あの盾が厄介ね……あれを先に潰して……」

「そんな事、させる訳ないでしょうがっ!!!」

「くっ!?」


 ドゥーザの盾が厄介だと思ったエリドリアスは、ドゥーザを先に狙おうと考えた。

 しかし、それを聞いたエリィが自身の剣に技能を纏わせ、エリドリアスに斬りかかった。


「通ったワンッ!」


 エリィの攻撃は、エリドリアスの腕に傷をつける。


 ミルルやドゥーザの攻撃では、一切傷がつかなかったエリドリアスの体。

 しかし、エリィの攻撃では傷をつける事ができた。


「エリィを狙っていた理由はそういう事か!」


 ドゥーザは、エリドリアスがエリィを狙った理由に当たりをつける。


「だとしたら、エリィ!」

「どうした?」


 エリドリアスから距離を取り、ドゥーザの隣に並び立つエリィ。


「あいつにはエリィの攻撃のみ有効みたいなんだ。だから、僕とミルルさんがエリドリアスを引きつける。その間にエリィは攻撃を与え続けてくれ」

「分かった。二人とも、気をつけて」

「うん!」「ワンッ!」


 作戦を立てた三人は、それぞれが作戦決行のために散らばった。


 ドゥーザとミルルがエリドリアスに接近し、引きつける。


「防御担当が前線に出るなんて、よっぽどあの女を殺されたくないらしいわね!」

「当たり前だ! エリィはこの世で一番、いや、宇宙で一番大事な人だから!」

「エリィは、ミルルが守るワンッ!」


 ミルルとドゥーザの攻撃を受け流す……のではなく、躱していくエリドリアス。

 口調では強気だが、実際は余裕がないのだろう。


 そんなエリドリアスに、追い打ちをかけるように──、


「剣閃の技能・聖剣の斬撃(エクストライク)!」

「がぁ!?」


 エリドリアスの背後から技能を使用。

 エリィの技が、エリドリアスに命中し、エリドリアスは吹き飛ぶ。


「ぐっ……! がはっ……! ぐっ……はぁはぁ……!」


 エリィの一撃が強力だったようで、エリドリアスは大量の吐血をしながら息を乱している。


「もう終わりだ。僕達のチームワークに、お前は敵わない!」

「はぁはぁ……ふっ」


 エリドリアスは、小さく不敵に微笑む。


「確かにそうね。はぁはぁ……今のあなた達のチームワークには私は敵わない。はぁはぁ……でも、ここに来た本来の目的は、お前達全員を殺す事じゃない」

「何を言っている? お前は先程、全員殺すと言っただろう?」

「それはついで。私の本来の目的ではない」


 エリドリアスが何を言っているのか分からず、首を傾げる三人。


「ふぅ〜ふぅ〜……まぁ、いいわ。今日はこのくらいにしておいてあげる。でも、今度会ったら絶対に殺すから」


 そう言うと、エリドリアスの背後の空間が歪みだす。


「待ちなさい!」


 エリドリアスが逃げようとしていると察したエリィは、エリドリアスに向かって走り出す。


「ふっ」

「はっ!? エリィ待って!?」


 エリィが走り出した瞬間の、エリドリアスの不敵な笑みを見逃さなかったドゥーザは、エリィを止めるため走り出す。


「もう、遅い! 水能(ウォーター)!」

「はっ!?」


 エリドリアスは、水弾をエリィに向かって放つ。


 その水弾は、エリィの左胸。心臓に一直線に伸びている。


「死ねーーーー!」


 エリドリアスの放った水弾が、エリィに直撃する寸前──、


「っ!?」


 ドゥーザがエリィを突き飛ばした。


「盾の技能・盾の飛行(シールドスラッシュ)! ぐっ!?」

「なっ!? がっ!?」


 ドゥーザの投げた盾が、エリドリアスの腹部に命中。

 エリドリアスは大量の血を流す。


「これが、私の見た未来の結末……くっ……! ふざけるな……! くっ……!」


 エリドリアスは、腹部を押さえながら歪み現れた空間の中へと入っていく。

 そして、エリドリアスが中に入ったその瞬間、歪みは消え、空間は消失した。



「ぐっ……うっ……」

「っ!?」

「はっ!? ドゥーザ!? ドゥーザ! おい! ドゥーザ! しっかりしろっ!?」


 先ほど、エリィの心臓に向かって放たれた水弾は、ドゥーザの心臓に命中。

 ドゥーザは左胸から大量の血を流して倒れている。


 そんなドゥーザに駆け寄り、頭を持ち上げ声をかけるエリィ。


「え、エリィ……」

「ん? どうした?」

「て、手をに、握って……」

「こ、こうか……?」

「ふふ……ありがとう……」

「ドゥーザ……」

「エリィ……」

「ん?」

「そこに、いる……?」

「あぁ、いる……! いるよ……!」

「ふふ……エリィ、笑ってる……?」

「っ!?」

「僕、エリィには、わ、笑っていてほしい、んだ……」

「あ、あぁ……わ、笑ってるぞ……? お前の大好きな、満面の笑みだ……!」

「ふふ……ぐふっ……!」

「ドゥーザ!?」

「ふふ……ねぇ、エリィ……」

「ん……?」

「僕、エリィと一緒にいれて、とても、幸せだった……」

「うん……! 私も、幸せだ……!」

「僕、あの日、エリィと出会えて、がはっ……! よ、よかった……」

「あぁ……!」



「ねぇ、エリィ……」

「ん……?」

「そこに、いる……?」

「あぁ……! いる……! ずっといる……! ずっとずっと側にいる……! 手も、握ってる……!」

「よかった……! はぁはぁ……ねぇ、エリィ……」

「ん……?」

「約束、守れなくて、ごめんね……」

「約束……?」

「ずっと、君の側で、何があっても、さ、支え続けるって言う、約束……守れなかった……」

「…………何言ってんだ。これからも、ずっと側にいるんだろ……? これからもずっと一緒にいるんだろ……? だったら、約束は守れる……!」

「ふふ……そう、だね……はぁ……はぁ……」



「ねぇ、エリィ……」

「ん……?」

「笑って……」

「…………!」

「笑って……」

「…………あぁ! 笑ってるさ! お前が好きと言ってくれた、満面の笑みだ!」

「エリィ……エリィ……エリィ……」

「ん……? どうした……?」

「大好きだ……」

「あぁ……私も、大好きだ……!」




「はぁ……はぁ……エリィ……」

「ん……?」


「エリィ、愛してる……よ……」

「っ……あぁ。私も────」


 ………………………………………………………。

 ………………………………………………………。



 掠れる声で最期の一言を紡いだドゥーザ。

 エリィは、その言葉に返事をしようとするが、 エリィの言葉を待たずに、エリィの手からドゥーザの手が抜け落ちてしまう。



 広がる沈黙。

 エリィの膝の上には、穏やかな表情を浮かべるドゥーザが。


 エリィは、そんなドゥーザの頭を優しく撫でながらそっと上を向き──、




「ドゥーザ、私も……私も『愛している』」




 と、これまでずっと言えなかった言葉を紡いだ。


 その目に、大粒の涙を浮かべて……。

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