第50話 未来視・エリドリアス
「やっぱり、一度ダンジョンから出るしかないような」
「そうだな……。それしかないか」
「エリィ、何か引っかかるの?」
「いや……なぜダンジョンに入った途端に転移してしまったのか。どうしてモンスターがうじゃうじゃ湧き出るのか。それが気になってな」
「確かに。それは気になる。私達が入った時も入口に転移技能陣が設置してあったし」
「ハル様……心配ワン……」
「ハル殿も来ているのか?」
「はい。ハルさん、クロハさん、ミルルちゃん、テルハさん、私、イリン、ミュリンの七人で来ました」
「まぁ、バラバラになっちまったんだけどな」
五人はこのあとの事を話し合っていた。
「一度ダンジョンの外に出る事にするのはいいが、他の人達の事が心配だな……」
「はい……ハルさんが一人だけになっていなければいいんですが……」
「だな……それが心配だわ」
「ハル様……」
女性陣四人が俯いていると、ドゥーザが──、
「とりあえず、出口を探すことにして、その間にハルさん達も探す事にしません?」
「そうだな。それで行こう」
「「はい」」「ワンッ!」
このあとの方針が決まった五人。
体力も能量も回復した三人。
五人は出口を探すために動き出した。
と、その時──、
「「「「「っ!?」」」」」
突然、五人から離れた場所の空間が歪み出した。
五人が空間の歪みを警戒していると、その中から一人の女性が姿を現した。
「あれ? なんか三人多いわね」
「だ、誰だお前!」
ミュリンが尋ねると、女性は腕を組みながら──、
「私はエリドリアス。未来視・エリドリアスよ」
と、自己紹介をした。
銀色の中に青が混ざった髪色の女性──エリドリアス。
彼女はデルビーズやヘルズダールの仲間で、何かを企む闇の組織の者。つまり──、
「お前は、敵、か?」
「えぇ、そうなるわね。ロリスタンス王国第一王女、エリィ・ロリスタンスさん」
「っ!? なぜ私の名前を……!?」
「そんなの分かるわよ。その隣にいる旦那のドゥーザ・ロリスタンスの事もね」
「っ!?」
エリドリアスは、まだ名乗ってもいないエリィとドゥーザの名前を当ててしまった。
「そこにいるのも、リアン、ミュリン、ミルル、だったかしら?」
「「「っ!?」」」
「私達の名前まで……」
「なんで分かんだよ!」
「だから、名乗りの時にわざわざ言ってあげたでしょう? 未来視って」
「未来視……まさか、お前は未来が見えるのか!?」
「はぁ……そうよ。そんな事もすぐに理解できないなんて、最近の冒険者は馬鹿ばっかりなのね」
エリドリアスのその言葉に、五人は憤りを覚え、臨戦態勢になる。
「やる気になった? もちろん、私も戦う気はあるんだけど、邪魔者がいるのよね。先にそっちを消すわ」
エリドリアスがそう言って、指パッチンをすると、リアンとミュリンの二人が消えてしまった。
「「「っ!?」」」
「二人に何したワンッ!!!」
「安心しなさい。殺してはないから。ただ、ダンジョンの外に強制送還しただけだから。でもおかしいわね。犬人族、あなたも強制送還したはずなんだけど、なぜ残っているの?」
「そんなの知らないワンッ!」
「まぁ、そうよね。ふぅ〜。私が見た未来とは少し違うけど、まぁいいわ。私が見た未来では、あなたはここで死ぬ」
エリドリアスが指さす先。
そこにはエリィ? がいた。
「そんな事、僕がさせない。エリィは絶対に死なせない!」
「そっちじゃないんだけど……まぁ、いいわ。どちらにせよ、あなた達はここで殺す」
「ミルルさん、エリィ、行ける?」
「当然」
「もちろんワンッ!」
「二人の事は、僕が必ず守るから安心して戦って」
「あぁ」「了解ワンッ!」
「かかってきなさい」
こうして、エリィ、ドゥーザ、ミルルVSエリドリアスの戦いが始まった。
ちなみに、エリドリアスがここに姿を現したのと同じタイミングでビャクトリースとスザリークの二人も姿を現していた。




