第41話 帝国ブラコリスタス/シスタリアス王国
ショタリシアス王国、ロリスタンス王国から北へかなり離れた場所にあるとある国。
【帝国・ブラコリスタス】。
常に灰色の雲に覆われ、国には明るさがない。
住んでいる住民達にも活力がなく、全員が虚ろな目をしており、元気がない。
雨は一切降らないが、常に雷鳴が轟いている。
そんな帝国の一番のシンボル。
国の中心部にある大きな建物。
ブラコリスタスの帝城【ディスピア城】。
その中にある帝王室に、二人の男が集まっていた。
「どうやら、我が国の名を語って商売を行った不届き者がいるようです」
『名は?』
「───です」
『知らぬな』
「はい。そもそも我が国に住んでいる者、商業登録をしている者ではないようです」
「いかがなさいますか、帝王。現在はショタリシアスで拘束されているらしいですが」
二人の側近と思しき男二人が、誰もいない場所に向かって話しかけている。
『我がブラコリスタスの名を語ったのは許しがたい事だ。万死に値する。だが、ショタリシアスにいるのであれば、無闇に手出しはできん。しばらくは静観でいいだろう』
「「畏まりました」」
『それより、計画を少し早める。準備を進めてくれ』
「「はっ! それでは、失礼いたします」」
二人の男は部屋から出ていく。
それと入れ替わるようにして、一人の女性が入室してくる。
『ん?』
「陛下」
『あぁ、エリドリアスか。お前にもちょうど話があった』
「なんでしょう?」
『例の計画を進めようと思う』
「ついに始めるのですね」
『あぁ。なのでお前にも準備に取り掛かってもらいたい』
「畏まりました」
『そっちはどうだ?』
「ヘルズダール様が計画を早め、実行しようとしております」
『そうか。では、それに合わせるようにしてくれ』
「はっ。仰せのままに」
『もう少しだ。もう少しで “この世界とハイルが我のモノになる”』
エリドリアスは、誰もいない所に向かって跪き、頭を垂れたあと、退室した。
一体、声の主は誰で、何を企んでいるのだろうか。
☆ ♡ ☆
ショタリシアス王国、ロリスタンス王国から南へかなり離れた場所にあるとある国。
【シスタリアス王国】。
活気あふれる国で、海水浴ができる唯一の国として人気が高かった。
特徴としては、人間しかおらず、その他の種族がいない事。
差別や迫害などをしている訳ではないが、人間しかいないので、平和を保つ為に他種族の受け入れを断っている。
その為、ショタリシアスやロリスタンスとは仲があまりよくなかった。
そんなシスタリアス王国の王城【ホープリング城】の中、王室に二人の女性がいた。
「はぁ〜……」
王室の椅子に座り、机に肘を付き、手のひらで頬を支える女性は、深いため息をつく。
「王女様? どうしたんですか〜そんな深いため息ついて〜」
「先ほど来た方々、【多種多様の集まり】の方々なのよ。どうやらハイルさんに何かあったらしくてね、その報告と、ブラコリスタスが何かを企みだしているから注意するようにとの忠告をしに来てくれたの」
「へぇ〜。それで? それを受けてなんで王女様はそんなため息をついてるんですか〜?」
「ブラコリスタスの事は正直どうでもいいの。あんな国その気になればいつでも潰せるんだから。問題はそこじゃなくて、ハイルさんの事よ……この国に水鏡神様がいる事を知っているらしくて、それでハイルさんに何があったのかを見せろって言ってきたのよ……」
「見せればいいじゃないですか」
「そんな簡単な話じゃないのよ。水鏡神様は滅多に姿を現してくれないの。それに、この国にあるダンジョンの最深層にいらっしゃるのよ? 簡単に会わせられるような方じゃないの」
「へぇ〜。もぐもぐ」
「……………はぁ〜。太るわよ」
王女──フロラ・シスタリアスが、ソファに座って目の前のテーブルに乗っているお菓子を頬張る女性に向かってそう言う。
「んふふ〜、残念でした〜。私は太らないんですよ〜。脂肪も栄養も全て、このおっぱいとお尻にいってるんで♡ だから〜、ボンッ♡ キュッ♡ ボンッ♡ なナイスバディになってるんです♡」
「………………あっそ」
「王女様は……ふふ、小さいですね」
「失礼なっ!!! これでも昔に比べたら大きくなった方なんです!!! それに、大きければいいと言う訳ではないんですからっ!!!」
「王女様うるさい」
「フレア……あなた、王女をなんだと思ってるんですか……!!!」
お菓子を頬張る女性──フレアに、憤るフロラ。
フレアは自分で言う通りナイスバディで、お尻も大きく、胸はGカップある。
フロラはCカップで、その大きさに常々悩んでいた。
なぜ、そんなに悩むのか。それは……。
「そう言えば、王女様はその、ハイル? と言う方がお好きなんですね」
「ふぇ!?」
フレアの言葉に、フロラは顔を真っ赤にする。
「だ、誰もそんな事言ってないでしょ……!?」
「え〜? だって、ハイルさんの事を話す時の王女様、乙女の顔になってましたよ?」
「え、えぇ……!?」
フロラは自身の頬をペチペチと触り、恥ずかしそうにあたふたしている。
「想像してみてくださいよ〜。ハイルさんに迫られて、ちょっと乱暴に襲われると・こ・ろ♡」
「……………………へへ〜♡」
「キモ」
「ちょっと〜〜〜!!! 想像しろって言ったのはあなたでしょ!?」
「想像しろとは言いましたけど、顔を蕩けさせろとは言ってないで〜す」
「むぐぐ……!!!」
「ごくん。ご馳走様でした。んじゃ、私は自分の仕事に戻りま〜す」
「はいはい。さっさと戻りなさい」
フレアは、テーブルの上にあったお菓子を全て平らげたあと、部屋を退室した。
「はぁ〜……全く、なんなのよ、もぅ……別にハイルさんの事なんて……」
頭の中にハイルの戦う姿が浮かぶ。
「あの日、助けてくれてから、ハイルさんの事が頭から離れない……これって、恋、なのかな……」
と、独り言ちていると──、
「おっぱい大きい人が、男性は好きらしいですよ〜」
「だーーー!!! さっさと職務に戻りなさいっ!!!」
「あ〜い」
突如、ドアが開き、フレアは横槍を入れてきた。
それに対し、フロラは立ち上がり、喝を入れる。
フレアは満足したのか、楽しそうに去っていった。
「全く……ハイルさんは、大きいのと小さいの、どっちが好きなんでしょう……」
と、ゆっくり座ったフロラは、自身の胸を見ながら考えていた。
☆ ♡ ☆
「お帰りにゃー。どうだったにゃん?」
「やっぱり、会わせてはもらえなかった」
「まぁ、相手は神に近い人ですからねぇ」
「でも、それだとハイルに何が起きたのか分からないにゃん」
「うん。だから、一旦ショタリシアスへ戻ろう。何が起きているのか、この目で確かめないと」
「ですねぇ」「にゃん!」
猫耳と猫の尻尾を生やした女性と、熊の耳と熊の尻尾を生やした女性、そして狼の耳と狼の尻尾を生やした女性が、路地裏で集合し何かを話していた。
そして、ショタリシアスへ向かう事にした三人は、茶色の外套のフードを深く被り、路地裏から出てショタリシアスへと向かった。
この三人は一体、誰なのだろうか。




