↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/56

第40話 バレバレ

「ハル君とデート中ですか?」

「はい♪ このあとどうしようかと考えていたんですけど……」


 セシリアがイリンを見ながら思案する。そして──、


「もしよかったら、このあとはイリンさんがハルさんとデートされては?」

「えっ!?」

「い、いいんですか……? セシリアさんとのデートの途中なのに」

「いいんです。半日でしたがとても楽しかったので♪ それに──」


 セシリアは立ち上がり、イリンの耳元で──、


「(イリンさんは、ハルさんに言いたいこと、ありますよね?)」

「っ!」


 と、耳打ちをした。


「なので、私の事は気にせずにデートしちゃってください♪ ハルさんもいいですよね?」

「え!? は、はい……」

「セシリアさん……で、ではお言葉に甘えて……ハル君、行きましょう」

「は、はい……」

「行ってらっしゃい♪」


 二人を見送るセシリア。

 その顔はとても嬉しそうな、それでいてこのあと起こる事が分かっているかのようなイタズラに満ちた顔をしていた。


 ☆ ♡ ☆


「ふぅ〜……気持ちいいですね、ハル君」

「は、はい……」


 二人は今、銭湯に来ていた。


 女湯に入っているイリンとハル。


 周りには当然女性しかいない。

 なので、ハルは、湯船の中でイリンの足の間に座りながら俯いていた。


 そんなハルに、イリンが──、


「合法的に許されてるんですから、もっと堂々と見てもいいんですよ? ハイル」

「っ!?」


 突然、イリンに『ハイル』と呼ばれ、驚いたハルは後ろを振り向く。


 と、そこには優しく微笑むイリンが。


「な、なんで……」

「最初は単なる違和感や疑問だったんです。でも、この間、ロリスタンス王国からショタリシアス王国に帰ってくる時。奴隷商から子供達を救った姿を見て、気づいたんです。あの力、あの感じ……ハイルだって」

「っ……」

「ハル君がハイルだと気づいてから、色々と合点がいく事が多くて、あ〜ハイルはずっと近くにいたんだって、嬉しくなったんです」

「ご、ごめん……ずっと黙ってて……ずっと騙しててごめん……」


 ハルは声を震わせながら謝罪をすると──、


「そんなのは全然いいんです。何か事情があったんでしょうから。それよりもハイル」


 ハルを後ろから強く抱きしめ──、


「生きていてくれて、ありがとうございます……!」


 と、涙を流しながら言ってくれた。


 騙してしまっていた事を怒ったりもせず、ただ生きていた事を喜び、感謝してくれた。


 ハルはイリンの優しさ、心の広さに感謝し、イリンの腕を優しく握る。


「イリン、心配かけてごめん。弱くなっちゃったけど、これからまた、よろしく……してもいいか?」

「はい……! もちろんです……! ハイル……!」


 イリンはハルを強く抱きしめながら、大粒の涙を流し続けた。

 イリンが泣き止むまでの間、ハルはイリンの腕を握りながら優しくさすっていた。


 ☆ ♡ ☆


「ぐす……すみません……ハイルにもう一度会えたのが嬉しくて……」

「ううん。大丈夫。イリンが泣き虫なのは知ってるから」

「は、ハイル……! それは聞き捨てなりませんよ!」

「あはは。もう大丈夫みたいだね」

「は、はい……/// はぁ〜……こうしてまた、ハイルと話す事ができるなんて……本当に、嬉しいです……」

「俺も嬉しいよ」

「私、ガイルがあなたを殺したって知った時は、もう、どうしていいか分からなくて……ハイル」

「ん?」

「今回の事で身を持って知りました。後悔してからじゃ遅いんだって。だからもう後悔しないようにします」

「ん?」

「私、ハイルが好きです。大好きです。世界一、愛しています」

「っ……!?」


 イリンからの突然の告白に、ハルは驚きが隠せない。


「ふふ。驚いてますね。私、分かりやすかったと思いますけど?」

「い、いや、その……シリシアちゃんをどうにかするのに必死で……」

「ふふ。シリシア様は押しが強かったですからね。でも、これからはシリシア様だけでなく、私も沢山アピールしていくので、覚悟してくださいね?」

「は、はい……」

「ふふ♡ はぁ〜……こうしてハイルと一緒にお風呂に入れるなんて、夢みたいです」

「イリン」

「はい?」

「俺がハイルだって事は……」

「はい。私とハイル、それとセシリアさんだけの秘密です」

「え……セシリアさんが俺の正体を知ってるって気づいてたの?」

「はい。見てれば分かりますよ」

「嘘……」

「女の勘は鋭いんです♪」


 女の勘、怖いと思うハルだった。


「でも、どうしてハイルは小さくなっちゃったんですか?」

「う〜ん……それが分かんないんだよね。死んだと思ったのに、気がついたらこの姿になってて、クロハさんに拾われてた」

「不思議ですね……。でも、私はよかったと思ってます」

「え?」

「だって、こうして堂々と一緒にお風呂に入れてるんですから♡」

「お、俺としては罪悪感が半端ないけどね……」

「罪悪感を抱く必要なんてないですよ。ハイルは今子供なんです。だったら、子供らしくしていないと。子供は一緒にお風呂に入ったりするもんです♡」

「う、うん……」

「あ、あと」

「ん?」

「私の裸、見てもいいんですけど、言ってからにしてくださいね。やっぱり少し恥ずかしいので……///」

「な、何言ってるのっ!?」


 このあと、ハルは治療院で目覚める前に見た夢の事、代償の事、頭痛の事、倒れてしまう事など。

 セシリアにも話した事をしっかりと報告した。


「分かりました! 私がしっかりとサポートしますので、安心してください!」


 と、胸を張って元気よく宣言した。


 頼もしいなと思うハルだった。



 こうして、ハルの正体を知っている人物が二人になった。


 これが今後、吉と出るのか凶と出るのか。


 それはまだ、分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。