## 第15話「妹の笑顔」
闘技場での優勝から一晩。
俺は病院の前に立っていた。
手には、510万メモの記憶カード。
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【朝倉 蒼】Lv.35
職業:記憶喰らい(B級)
HP:400/550(回復中)
MP:320/400(回復中)
状態:
・限界突破反動(残り3時間)
・精神疲労(軽度)
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「大丈夫?」
隣には美咲がいた。
鈴音と真田先輩は学園の用事で来れなかったが、美咲だけは付き添ってくれた。
「ああ、大丈夫だ」
深呼吸をして、病院に入る。
主治医の部屋へ直行した。
「先生、残りの500万メモです」
記憶カードを差し出す。
「!」
医師が目を見開いた。
「まさか、こんなに早く…」
「妹を、助けてください」
「もちろんです!」
医師が立ち上がる。
「すぐに最終段階の治療を始めましょう」
### ◆◇◆
葵の病室。
「兄ちゃん!」
ベッドの上で、葵が笑顔で迎えてくれた。
第一段階の治療のおかげで、顔色は前よりずっと良い。
「葵、いいニュースだ」
「なあに?」
「完全に治療できることになった」
「!」
葵の目が輝く。
「本当!?」
「ああ」
「やった!やったよ兄ちゃん!」
葵が両手を上げて喜ぶ。
でも、すぐに心配そうな顔になった。
「でも、兄ちゃん疲れてる…」
「大丈夫だよ」
葵の頭を撫でる。
「もうすぐ、葵は元気になる。それが一番嬉しい」
「兄ちゃん…」
葵が俺の手を握る。
「ありがとう」
その言葉だけで、今までの苦労が報われた気がした。
「葵さん、準備ができました」
看護師が入ってくる。
「これから、最終治療を始めます」
「うん!」
葵が元気よく返事をする。
「兄ちゃん、待っててね」
「ああ、ここにいるから」
葵がストレッチャーに乗せられ、治療室へ向かう。
その後ろ姿を見送りながら、俺は祈った。
どうか、無事に——
### ◆◇◆
待合室。
俺と美咲は、黙って座っていた。
治療が始まって、もう3時間。
「大丈夫だよ」
美咲が俺の手を握る。
「葵ちゃんは強い子だから」
「…ああ」
でも、不安は消えない。
記憶欠損症の最終治療。
失われた記憶を再構築し、記憶機能を完全に回復させる。
成功率は90%以上と聞いているが——
「朝倉さん」
医師が現れた。
俺は飛び上がるように立ち上がる。
「葵は!?」
医師が——微笑んだ。
「成功です。完全に成功しました」
「!」
力が抜けて、その場に座り込みそうになる。
美咲が支えてくれた。
「よかった…」
「ただ、まだ麻酔が効いています。目を覚ますまで、もう少しかかるでしょう」
「会えますか?」
「もちろん。こちらへ」
### ◆◇◆
回復室。
葵が静かに眠っていた。
顔色は、驚くほど良い。
「記憶機能は完全に回復しました」
医師が説明する。
「失われていた記憶も、かなりの部分が戻るはずです」
「本当に…治ったんですね」
「はい。もう二度と、記憶を失うことはありません」
涙が止まらなかった。
やった。
本当に、やったんだ。
「ん…」
葵が小さく声を出した。
ゆっくりと、目を開ける。
「葵!」
「兄…ちゃん…?」
まだぼんやりとした表情。
でも、確かに俺を見ている。
「ここにいるよ」
「兄ちゃん…私…」
葵の目に、涙が浮かんだ。
「思い出した…お父さんとお母さんのこと…」
「!」
記憶が、戻ったのか。
「優しい人たちだった…」
葵が微笑む。
「私たちを、すごく愛してくれてた」
「そうだよ」
俺も涙を拭いながら答える。
「お父さんもお母さんも、葵のことが大好きだった」
「うん…」
葵が俺の手を握る。
「でも、一番好きなのは兄ちゃん」
「葵…」
「ずっと、私を守ってくれて…ありがとう」
もう、言葉が出なかった。
ただ、葵の手を握り返す。
「これからは、葵が兄ちゃんを守る番だよ」
「はは…頼もしいな」
「約束!」
小指を出す葵。
「ああ、約束だ」
指切りをする。
この瞬間が、永遠に続けばいいのに。
### ◆◇◆
病院の屋上。
葵が眠った後、俺は一人で空を見上げていた。
「ここにいたのね」
美咲が現れる。
「ああ」
「本当によかった」
美咲が隣に立つ。
「うん」
でも、なぜか心に引っかかるものがあった。
「どうしたの?」
「いや…これで、俺の最初の目標は達成した」
「そうね」
「でも、これからどうすればいいのか」
今まで、葵を治すことだけを考えて走ってきた。
それが達成された今、次の目標が見えない。
「それなら」
美咲が俺の顔を覗き込む。
「私たちを守ってくれる?」
「え?」
「鈴音も、真田先輩も、ジンさんも。みんな、蒼の力を必要としてる」
「でも、俺は」
「最弱じゃない」
美咲がきっぱりと言う。
「もうB級。立派な記憶屋よ」
確かに、いつの間にかここまで来ていた。
「それに」
美咲が空を指差す。
「まだ、終わってない」
記憶結晶塔が、夕日を受けて輝いている。
記憶統制局。
始原の記憶。
予言の子。
確かに、まだ謎は山ほどある。
「そうだな」
俺も空を見上げる。
「まだ、やることはたくさんある」
「うん」
「でも、今日だけは」
振り返って、美咲を見る。
「喜んでもいいよな」
「もちろん」
美咲が微笑む。
「おめでとう、蒼」
「ありがとう」
その時——
ピピピピピ!
俺の端末が鳴った。
『緊急事態だ!』
真田先輩の声。
『記憶統制局が、学園を包囲してる!』
「なんだって!?」
『お前を引き渡せと言ってきてる。風間局長が直々に』
風間十蔵。
レベル70の化物。
なぜ、今——
『とにかく、すぐ戻って来い!』
通信が切れる。
「行こう」
美咲が言う。
「みんなが待ってる」
「ああ」
平穏な時間は、短かった。
でも、後悔はない。
葵は治った。
それだけで、十分だ。
あとは——
仲間を守る番だ。
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【新章突入】
第一章「妹を救え編」完結
第二章「記憶戦争編」開始
現在のパーティー:
・朝倉蒼 Lv.35(リーダー)
・白石鈴音 Lv.32
・真田剛 Lv.45
・神楽美咲 Lv.???
・クラッシャー・ジン Lv.43
次なる敵:記憶統制局
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病院を後にして、俺たちは学園へ向かった。
新たな戦いが、始まろうとしていた。
【更新予定】
毎日更新を目指します!
最低でも週5は更新したいと思ってます。
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